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ウルトラマサイ 第2話


「うわーっ、ここがコマンタレヴ・シティですか!!凄い賑やかですねバッドさん!」
「おしーりーおしーりー!」

顔を両手で挟むアッチョンブリケのポーズをしながら、ムチャウ・ザイネンは
目の前に現れたレゼルヴェの首都に対して大げさに驚いてみせる。

「おう、今この町には腕自慢の民間人達がパイロットになるために集まってるからな。
宿屋と観光業は以前の10倍の売上を記録しているそうだぜ」
「えーっ!それじゃあ僕達の泊まれる場所もうなくなってるんじゃ!」
「おしーりー!」
「ばっはっは、心配いらん。パイロット試験受験者、皆兵舎泊まれる」
「そうなんですかー、よかったー」
「何?ハンサム?」
「「言ってない!!」」

ブブラカのボケにムチャウとバッドが同時に突っ込む。
と、その時である。一番後ろから腹這いで着いてきていたジュダがついにお尻以外の言葉を発した。

「いつまで続けるんだよ!私の服もう泥だらけだぞ」
「あ、わりぃ。よーし、それじゃあそろそろ人目について恥ずかしくなってくるから普通に話すか」
「了解」
「はーい」

車での移動中、自己紹介の後意気投合してノリで始まっていた『美食屋と旅の仲間達ごっこ』を切り上げ、
彼らは元通りの口調と歩き方で首都中央部へと向かう。
ちなみにキャストはバッドが美食屋、ムチャウが相方の料理人、ブブラカが酒好きの上司、
ジュダがペットのオシリフリトカゲ。キャスティングがおかしいと真っ先にジュダが文句を言ったが多数決で却下されていた。

「ここが、役所かーっ」
「ムチャウ、もういいから」
「いや、美食屋ごっこじゃなくって本当に驚いているんだ。俺の居た村には役所なんて無かった」

不慣れなムチャウを連れて、四人組は役所の受付に行く。
さあ、これが終わればいよいよ主人公の大活躍のスタートだ。

「いらっしゃいませ、パイロット試験はどなた様でもウェルカム。
ただし、一番後ろのモヒカン、てめーは出直してこいでございます」

主人公何故か一人だけ受験拒否、スタート前からつまずいた。
マサイの青年ムチャウ・ザイネン24歳、レゼルヴェの軍人を目指していた彼は
どういうわけか門前払いをくらう。一体なぜ?その答えは以下次回。
全てはまだ闇の―

「なんで!?」

どうやら物語はもう少し続くようである。
受付のカウンターにバンと手を置きムチャウが受付に理由を問う。

「この国はあらゆる人種に差別は無いはずじゃ無かったのか!」
「その通りでございます。ですが、社会的な最低限の決まりは守って貰います。
服も着てない槍を担いだモヒカンは一昨日きやがれでございます」
「…服?」

ムチャウは首を傾げる。生まれてこの方24年間腰蓑一つ槍一つで生きてきた彼が
服を着ろと言われたのはこれが初めての事だった。
マサイとしての格好があまりにハマりすぎていたのでバッド達三人には突っ込まれなかった為
ここまで半裸で来てしまっていたが、普通に考えて受付の方が正しい。
公務員試験に腰蓑と槍はアウトである。

「うーむ…、よし、ちょっと出直してくる」

ムチャウは一人役所の外に出て、物陰で槍を頭上に掲げる。

「マー!サー!イー!」

数分後、先に登録を済ませた三人がムチャウの帰還を待っていると
入口からズシャズシャと足音を立てて銀色の毛に包まれた白面の怪物が現れた。

「のわー!」

バッド驚く。どこかでTシャツ買ってくるのだと予想していた所に謎の怪物がやって来たのである。
こうなるのは当然だ。

「アワワワワ…、クスリ…ダメゼッタイ…」

ブブラカ目を白黒させる。イケナイクスリのフラッシュバックで幻覚を見ているのではないかと
慌て出す。そりゃあ町のど真ん中にある役所にコレ、とても現実とは思えない。
こうなるのは当然だ。

「みょぉぉおん!殺すならこの二人からにしてー!」

ジュダ椅子から転がり落ちて役所の奥へ逃亡。
しっかりしろ元軍人。

「動くんじゃねえ!手を後ろに回してその場に寝そべるんだ!」

受付さん迷わず拳銃をムチャウに向ける。
流石、数多のならず者を相手にする立場なだけあってこの場で一番冷静で的確な動きだった。

「あるぇー?」

ムチャウは手を後ろに回しながら何がいけなかったのか考える。
服は着た。槍も見た目にはもってない。ただ、何か互いの思い違いでこうなった事は分かる。
ムチャウは落ち着いて自分の目的を述べる事にした。そうすれば誤解は解けるはずだと考えて。

「俺はただ、(試験を)受けようとしただけです」
「嘘付け!お前みたいな殺気まみれの押し掛けコメディアンがいるか!」

カチャリ。ムチャウの腕に冷たい輪っかがはめられる。
拳銃を向けていた受付との対話に集中していて後ろから迫る警察に気付けなかったのだ。

「11時24分、被疑者確保」
「えっ、ちょ、まって」
「話は署で聞こうか」
「俺は無実だ〜、皆助けて〜」

一緒に来た三人に救いを求めるが三人揃って目を逸らす。
不運にも、ここに来るまでにムチャウの変身を三人は見ておらず、
さらに不運な事に手錠がはめられた状態では元の格好に戻ることも出来ない。
故にあの怪物がムチャウかもとは思ったが確信が持てないでいる彼らは
パトカーに載せられて行くムチャウをただ見つめているだけだった。

◇◇◇

【一方その頃アムステラ側では】

「シュッポッシュッポポポポッポー、さあ飲めお前好きだろ野菜ジュースぅー!」
「俺らが決めた今決めたーゲヒヒヒ」

赤いスーツの男と青髪のてっぺん禿げの男が仲良く奇声を上げながら腕を組みグルグルと回っている。
ボギヂオとサスーケ。共に、特殊な人材を一本に纏め高い地位に就く似たもの同士な
彼らの話し合いは終始平和にしてお花畑であり無難に完了した。

「では、当初の予定通りと言うことで。ですな」
「そう、君達の役目はズバリ『ギガント破壊しねえ』!既にこちら側には
ギガント対策の戦士は準備済!手を出しちゃダメダメのダメー!」

レゼルヴェを守護する巨神、『ギガント28号』との戦いはとある事情により
南アフリカ方面司令とその部下の手で行うという約束が為されていた。
ならば、援軍にきたサスーケ達には出番はないかと言うとそうでもない。

レゼルヴェがいかに小国といえども、そしてギガントがいかに巨大であっても
たった一機では全土は守れない。ましてや、これから先レゼルヴェは育成した兵士を
自国の防衛へあるいは各国へ傭兵として送り出す段階へとシフトしつつある。
レゼルヴェを落とす事がギガントの撃破とイコールとは言い切れない。

「と、言うわけで俺らはギガントが出たら逃げる、倒すのも倒されるのも駄目じゃ。
分かったかおのれら!」
「はーい」

サスーケは自分の部下達5人に確認を取る。帰ってきたのはティニークの肉肉しい声のみ。
部屋を見渡すといるのは自分とティニークだけ。リノア隊は全員で6人。数が合わない。

「残り4人どこいった」
「お二人が協定成立喜びの舞いを踊っている15分の間に出ていきました。
グーチェはギガントと戦う奴がどの程度のものか観たいと、
リノアはギガントとの接触を避けつつ効率的にレゼルヴェを叩く案を作ってくると、
フォヨンはリノアの手伝いに行くと、
ミューはあのアクートが女連れてここに来ているらしいからからかいに行くと、
そう言って出ていきました」
「うぐ…、ま、まあ結論が出た後だからよかろう。いいかティニーク、くれぐれも
ギガントと戦おうとはするなよ。玉無しコブチが万全の状態で負けた相手に
お前が勝つことはぜーーーーーーったいにありえんのだからな!」

サスーケは強く念を押してティニークに警告する。
いつもビルダースマイルなティニークもこれには少しだけ嫌悪感を覚えた。
コブチの仇を討てないのは織り込み済みだったが、ここまで格下呼ばわりされると
流石にカッチーンと来るものがある。が、今反抗しても自分が不利になるばかり。
下手をすれば出撃させてもらえない事にすらなりかねない。

「わっかりましたぁ!この上腕筋に深く刻み込んでおきますよ!」

ティニークは表情筋を操作して何時も通りの笑顔を作りサスーケの忠告に何時も通りに応えた。

(続く)