前回までのあらすじ


壁に隠れて生きる変態忍者・ファントムの股間が、ジジきゅんの興味を惹いてしまった!
『ロリコン』ファントムの異名に『ショタ』と付け加えられるのが先か! トチ狂った変態忍者にジジきゅんの貞操が奪われるのが先かっ!!
(「・・・拙者、あまりに酷い言われ様ではござらんか? 扱い悪すぎでござるよ」「可愛いは正義!」「可哀相な拙者・・・」)


しかし、そんなジジの危機(「・・・拙者は?」「出歯亀の危機なぞ知らん!」)に対して救いの女神の声が!

「ジジー! ジジーっ! 何処に行ったの〜!」

やや遠くから聞こえて来たその声は、ジジこと、ジゼル=ジュノーのおねーさん兼、保護者的な存在であるウルスラ・オイラー。
その声を聞けば、普段のジジならば母に駆け寄る仔犬の様に嬉々として向かったであろうが、今は・・・

「・・・あぁっ!」と『シクペニ』するジジ。そりゃそうだ。下半身露出(マッパ)で、主砲(リーゲル・カノーネ)も半勃ち状態なのだから。

慌ててその場を離れ、猛禽を発見した小動物の様に、近くの物陰に隠れるジジ。隠れながら彼が想うは・・・

『すぐにズボンを穿いて、ウルに「ごめんね」と謝ろうよ・・・』と、天使が励ます。
『このまま隠れて、あの色っぽいお姉さん(ヘレナ)に大人の味を教えて貰おうよ・・・』と、悪魔が唆す。
『ウルに叱られるよ』『でも、ウルはあんな事してくれるのかい?』天使と悪魔が交互に囁き合う・・・。

その隙に、ファントムは移動した様だが・・・さて、何処に行ったのやら。
(「中継のEEEさ〜ん、そちらで見えます?」「己(オレ)の科学(シナプスアイ)にそんなおぞましいモノを探させないで下さい!!」)


一方、マハンを探しに行ったヘレナも・・・

「マズい・・・非常にマズいわ、これは・・・」

そう。しばらく前までマハンや彼女が居た辺りの天井や床の一部が『補修直後』なのである。もちろん、さっきまで居た筈のマハンの姿も無い。
そこから導き出される結論はたった一つ。

『黒兎 〜蹂躙のミミー〜 が、この場所に居た』

戦慄と共に、その事実を噛み締めるヘレナの足元に吹き寄せられたのは、『チャモワン』たすき。彼女のたすきと瓜二つだった筈のソレは・・・
この短時間の内に見る影も無くボロボロになっている。しばし呆然とするヘレナだったが、そこから漂うオイル臭で正気を取り戻す。

「このままじゃ、姉さん(ティカ)達からのお仕置きは免れないわね・・・」幸い、姉妹達との感覚共有は切ってある為、直ぐにはバレないが。

そしてハイヌゥエレの十七女であるヘレナに残された道は・・・

『敢えて修羅の道を逝く(近くに居るだろう黒兎と対決する・・・玉砕必至だろうが)』
『毒を食らわば皿までよ(戻ってジジと最後までヤる・・・可能な状況ならば良いが)』
『逃げるんだヨオォ〜! スモーキーッ!(ジョースター家 家訓)』

・・・果たして、ヘレナはどの選択肢を選ぶのか? それとも第四の選択肢があるのか?! 謎を残しつつ本編へGO! だ。



第六話「必殺料理人〜料理道とは遠く、険しいもの也〜 …エロ要素? 何ソレ食えるの?」



「・・・コホン。諸君、先程は失礼した。まさか『ツンデレ』ならぬ『詰んでる』対決になるとは余も予想しなかったのでな・・・」
「殿下、親父ギャグはお控え下され。タダでさえ萎えた『息子』が更に勃たなくなりますわい」
「安心しろ、テッシン。皆の者も期待するが良いっ!! 次の課題は・・・コレだ」

パチンッ! とユリウスが指を鳴らすと同時に、本大会6度目の『新井式廻轉抽籤器』(ガラガラくん)が運ばれて来た。
もちろん運び手は今までと同じく、見目麗しいハイヌウェレ達なのだが・・・ッッ!!
どよめきと共に、男の観客達はいつもの『シクペニ』ポーズに加えて体が前屈して行く!!
そのまま上体をもっと曲げれば『ちゅぱ衛門』とでも呼びたくなる異様なポーズを男達が取っている理由は! ハイヌウェレ達の服装にあった!!


それは・・・色々と見えそうで見えない絶妙な隙間を保つ夢の衣装・・・『 裸 エ プ ロ ン 』ッ ッ ! !
だとすれば少しでも身を乗り出して、秘奥を覗き込まんとする男達のその心理、理解できるっっ!!


「そう! それは熱き漢(おとこ)達の夢っ!!」と、ユリウスが叫ぶ。

「そう! それは疲れた漢を癒す心のオアシスッ!!」と、テッシンが続ける。

「最高の素材と最高の腕をもって競え、萌士(もののふ)達よッッ!!」ユリウスとテッシンが同時に唱和する!

「さぁ、この『料理対決』に出場するのは誰だっ!!」ガ〜ラ、ガ〜ラ、ガ〜ラ、と。ユリウスとテッシンがガラガラ君を回す。

「・・・それでは・・・」間を持たせる2人。同時にさりげなく合図して、瞬間転送装置(=技術力の無駄遣い)の座標をセットさせる。

「選手入場ッ! 先ず、青龍の方角ッ!! シグニィ=ハーケットおぉっ!!」
「・・・えっ? ボク?!」ヒュッ!

どちらかと言えば、かなり慎ましい胸なので(「うるさいっ! リボルバーで撃ち抜くぞ!!」)、豊満な肉体に裸エプロンのハイヌウェレ達を
見るのが悔しくて、そっぽを向いていたシグニィがいきなり転送される。

「続いて、白虎の方角ッ!! アリス=ウィンドワードおぉっ!!」
「何だ、アタシかい・・・ッ?!」ヒュッ!

肢体ではハイヌウェレ達と良い勝負だが、男勝りなアリス(「悪かったね! ガサツな女でさ!!」)も、こんな色キチ揃いのイベントに居続けて
機嫌が良い筈も無く、仏頂面でそっぽを向いていた処を強制的に転送される。

「・・・」「・・・」入場門辺りでお互い顔を見合わせた後、無言で仏頂面を続ける2人。

「・・・テッシン? これはもしかしたら・・・」ユリウスが小声で囁く。
「また、人選を間違えたかもしれませんのぉ・・・」テッシンが沈痛な顔で頷く。

(「・・・料理対決だって?! ボクが苦手な種目だよ〜!」)今までの経験上、流石に自分が料理下手な事を知っているシグニィは嘆く。
(「アタシはレイに任せっぱなしだし・・・料理なんか特にね」)有能だが、家事に関してはダメ人間のアリスは溜息を漏らす。

(「何で『カード対決』じゃないんだよ! それならイカサマで何とかなるのに。後、『射撃対決』とかさぁ〜」)シグニィは虚しく願望を呟く。
(「こんな事なら、入場の時あった『悪態』で対決した方が本気で良かったよ! 後、『銃火器の扱い』とかさ」)アリスも無言でこの企画を罵る。

「・・・それでは選手の方々。準備に入って欲しいであります」

その険悪な空気を読んだかの様に、手伝いに駆り出されたスレイプニルのガイノイド(女性型アンドロイド)R・ロロが2人を別室へ連れ出す。


 ブゥンッッ・・・

選手2人が去った後、会場に設置された大型モニターが点灯する。そこに映し出されたのはこの会場内。同時に若い娘の元気な声が聞こえる。

「はいは〜いっ♪ レポーターのメイで〜す。放送席のゴードン大佐、聞こえますか〜?」
「聞こえてますよ、メイ君。私の声も届いて居ますか?」「はい、バッチリ届いてま〜す♪」
「それは良かった・・・ところでメイ君。君はまた、私の事を『大佐』と呼びましたね? ・・・後で罰金です」「あっ!・・・トホホ〜」
「それはともかくメイ君、証言は取れましたか?」「えぇ。証言は全部録画済みです、ゴードンさん。そちらのモニターに映しますね〜」


(仮名)Kさんの証言(顔にモザイク処理された、空手着を着た女性。尚、プライバシー保護の為に声は変声機に掛けてあります)

「え〜っ? シグニィの料理の腕?! あぁダメ、ダメ。ありゃあ『料理』じゃなくて、良く言っても『エサ』だよ! エ サ ッ !!」


(仮名)Bさんの証言(顔にモザイク処理された、赤いTシャツの大柄な男。尚、プライバシー保護の為に声は変声機に(ry)

「・・・アリスの手料理ぃ? ガッハッハッ!! あのねーちゃんがマトモなメシを作れる訳無いじゃないか!!」


(仮名)Lさんの証言(顔にモザイク処理された、細身で引き締まった体格の女性。尚、プライバシー保護の為に声は(ry)

「シグニィさんの料理? ・・・以前、一度つまみ食いして後悔しました! あんなの食べたら、お姉さまでも耐え切れませんっ!」


(仮名)Dさん(【EX】版ですが)の証言(顔にモザイク処理された、青い服の男。尚、プライバシー保護(ry)

「アリスさんの料理か・・・一度だけ食べたが、外食した方がマシだと思い知らされたね。しばらく好物のドーナツの味も判らない位だった」


「以上、リポーターのメイがお送りしました〜♪ 放送席のゴードンさん、後はお願いしま〜す♪」
「・・・メイ君、もうちょっと編集というものを勉強した方が良さそうだね」ドン引きした会場の反応を見つつ、ゴードンが呟く。

「それでは、彼女達の実力を判定して貰う為の審査員であるが・・・」と、テッシンが宣言すると共に会場がざわめく。

それもそうだろう。『とてつもなく不味い』と確定してる料理を、好き好んで食いたい奴など居る訳が無い。誰がそんな審査員なぞ受けるものか。
しかし・・・それにも関わらず。名乗り出る猛者が居たッッ!! それは、フランスの誇るデュランダールのパイロット。その名もッッ!!

「か弱き乙女達の苦境を助けずして何が騎士かっ!! シャルル=ド=サンジェルマン、審査員として名乗りを挙げるぞ! 来いっ、ローラン!!」
「何故いつも僕を巻き込むんですか、貴方はっ!!」と、『技術開発教導団』設立者の、ローラン=ド=アトレーユが悲鳴を上げる。
「馬鹿者っ! 我輩は頭でっかちのお前が、人の役に立てる機会を提供してるだけではないかっ!!」「それが余計なお世話と言うんですっ!!」

この幼馴染/腐れ縁の2人が会場の一角で喚き合う内容を聞いて、テッシンが横合いから口を挟む。

「お主らの熱情、誠にもって有難い限りじゃ! しかし、安心召されよ。審査員は既に決まっておる。乙女の苦境の心配は無用じゃ!」
「・・・そうか。だが、苦境にある乙女の助力が出来るならば! このサンジェルマン、何時でも馳せ参じよう!!」

飛び入り審査員候補をあしらい、中断した宣言を再び続けるテッシン。

「・・・え〜、コホン。皆の衆、お待たせした! それでは、審査員一同を発表する。まずは『スティング』と『名無しのエリート兵』・・・」
「俺か?」ヒュッ! 「フッ・・・」ヒュッ!

指名されたカスム隊のエンジニア・スティングと、ヘルメットを被ったままの『名無しのエリート兵』が壇上に転送される。

「審査員はもう1名居るのじゃが、ここに着くまでしばし時間が掛かるそうじゃ。だから、先にお主らで審査を行ってくれい!」
「それは構いませんが、良いんですか? もう一人の方を待たなくても」「お主らで審査結果が決まるかもしれんでの。構うまい」

「ところで、ユリウス殿下。一つお願いがあるのだが・・・」エリート兵が『エロ形容詞』無しでユリウスに頼みごとをする。
「んっ? 何だね、言ってみたまえ♪」気さくさ増量中のユリウスは、『宰相って偉いからね』と機嫌良く要望を尋ねる。
「俺の食事時には、モザイク処理をお願い出来るか? どこぞの変態忍者と違って、ヘルメットは脱がないと食事が出来ない」
「モザイクなら可能だが・・・『これが俺本体のハンサム顔だ!』とかしないのか?」「・・・そんな予定は無い」

「・・・しかしお主、普段の食事はどうしておるのじゃ?」「その描写が無ければ、問題は無いからな」・・・何かメタな会話になりつつある。


モニター証言やら審査員であれこれやってる間に、シグニィとアリスの調理準備も終わった。着替えて来た2人の格好は・・・

 Boo〜! Boo〜〜!! Boooou〜〜〜!!!

観客席から激しいブーイングが飛ぶ。前座のハイヌウェレ達を見て、シグニィはともかくアリスの裸エプロン姿には絶大の期待を寄せていた連中。
しかし、2人共それを大きく裏切る長袖、長ズボンの肌を見せない無骨な作業服、とでも言える代物を着込んでいた。

「ど喧しいっ!! アタシは料理しに来たんだ! テメェらエロ小僧の要望を満たしに来たんじゃねぇ!!」ズドンッ! ズドンッッ!!

先にキレたアリスが、愛用のSPAS−12ショットガンを宙に向けてブッ放す。

「ボクも同じだよっ! あんな恥ずかしい格好を見せる位なら、見た奴全員射殺するっ!!」ダン! ダン! ダンッ!! ダンッ!!

同じくプッツン切れたシグニィも、愛用のマテバ社製リボルバーを二挺拳銃で構え、空に向かって乱射する。


 シィィィィィィィィ・・・・・・ン!


耳が痛くなりそうな静寂が、会場を支配した中。その静寂を打ち破ったのは『審査員』という名の犠牲者達。

「・・・とにかく、君達の料理を披露してくれないか?」「・・・食べなければ、判断は出来ないからな」


〜調理中・・・しばらくお待ち下さい〜


「調理待ちの間、アトラクションとして地球側からはバリー=ブランクス率いるグリーン・ベレー(@SRC・De Natura Strifeより)による演習!
 アムステラ側からも、バリー=ブランクス率いる阿羅矩音(アラクネ)隊(@SRC・毘沙門より)による演習を披露します!」
「さぁ!エクササイズの時間だ!」「レッツ!エクササイズ!」
「何で同じ奴が2人居るんだ!」「ありゃ兄弟か親戚か何かか?」「クローンとかじゃないのか?」観客達から口々にツッコミが飛ぶ。
「おぃおぃBABY。馬鹿な事を聞くんじゃないよ」「俺達は・・・そう! 魂の兄弟(ソウル・ブラザー)さっ!!」


〜調理終了・・・審査開始〜

「頂きます」と言った後、無言でシグニィとアリスの料理を食べる、スティングと(ヘルメットを外し、顔にはモザイク入りの)エリート兵。
見た目が(そして、まず間違い無く味も)最悪な料理を、それでも何も言わずに完食する2人。「ご馳走様」

「・・・して? 結果はどうじゃな?!」想像以上に『恐ろしい』料理を目の当たりにして、顔を強張らせたテッシンが2人の審査員に尋ねる。

「これは・・・甲乙付けがたい、ですね」スティングが静かに言う。
「確かにな。生焼けと消し炭。しかも味の付け方で更に状況を悪化させている」エリート兵がスティングの意見を補足する。

エリート兵の歯に衣着せぬ言い方にグサリと来たシグニィとアリスだが、それでも完食してくれた彼らに文句は言えなかった。

「君達、食事というものはね。相手に『食べて欲しい』という想いを込めて作れば、それで美味しくなるんだよ」と、スティングが食の心得を説く。
「それと『食材への敬意』も忘れない事だ。敬意をもって接すれば、相手もそれに応えてくれる」と、エリート兵も続ける。
「いきなり背伸びしなくても良い。自分の出来る事から始めれば良いさ」「基礎は大切だ。初心に戻るんだな」

シグニィとアリスを諭した2人の審査員は、テッシンの方へ向き直る。

「この勝負・・・最後の審査員の方に任せるという事でお願いします」スティングはそう、告げる。
「お嬢さん達も、今度はシンプルな・・・だが、食える料理を作ると思うぜ」エリート兵が苦笑しながら付け加える。
「あい判った。それでは3人目の審査員を待つ間に、次の料理を作って貰うとしよう!」テッシンが宣言する。


〜観客席に戻る審査員’s〜

 コツ、コツ、コツ、コツ・・・
「・・・しかし、こう言っては難だが。良く完食できたな」シグニィやアリスに聞こえない位置に来てから、スティングが疑問を呈する。
 コッ、コッ、コッ、コッ・・・
「ふっ・・・俺は色々な地獄を見てきた。お前こそ良く完食出来たな。(・・・リア充の臭いがする割には、な)」キュ…。
 カッ、カッ、カッ、カッ・・・
「それが食事を作ってくれた人への礼儀、だからね。(いや、メシマズ嫁だから。いくらかは慣れたが)」キュル。
 タッ、タッ、タッ、タッ・・・!
「まぁ、次の審査員とやらが無事で済む事を祈ってやろう・・・か。(だが・・・俺達の腹は・・・)」キュルルル…。
 ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド・・・!!
「そ、そうだなっ!(・・・もう限界だッッ!!)」グルルルルル〜〜〜ッッッ!!!
 ズダダダダダダダッ・・・バンッ!! 〜【WC】〜


〜第三の審査員の為に調理中・・・しばらくお待ち下さい〜


「調理待ちの間、アトラクションとしてユール・パンチャーメー率いるスア隊修斗による演舞を披露します!」
「そこのナレーター! 私を呼ぶ時は『パン・トリー(少佐)』と呼べ! それと、只の演舞ではないッ! 『ワイクルー』だッッ!!」


〜ようやく料理完成・・・審査員待ち〜

「・・・ふぅっ・・・今回はちゃんと事前に味見もしたし、上手く出来たと思うけどなぁ〜」
「料理を真剣に作るなんて、久しぶりだね・・・だけど、やってみるとこういうのも悪くは無いねぇ・・・」

今回の料理は。見た目こそチト悪いが、旨そうな匂いを漂わせる数種類の皿。(ちなみに先程の料理は、比較の対象にすらならない)
指の絆創膏や服の焦げを増やしつつも、それでも『達成感』に満ちた顔を見せるシグニィとアリス。

「これはボクの想いが詰まった料理だ、そう簡単に負けるもんか!」と、シグニィが誇らしげに料理の出来を自慢する。
「おや、奇遇だね。アタシもそんな風に思ってたのさ」と、アリスも清々しい顔で己の料理を誇る。
「だけど、どっちが勝とうと!」シグニィがアリスに左手を突き出す。
「悔いは無いよ!」アリスもその左手での握手(ライバル同士の握手・とかいう奴らしい)に力強く応じる。

「さて、審査員の準備も出来た様だ! 第三の審査員、出でませいっ!!」と、テッシンがコールする。

すると、料理の載ったテーブルの手前の床が丸く口を開け、そこから大きな椅子がせり出して来た。
演出のスモークと共に現れた、椅子に座るその人影とはッッ!!!


・・・ウドランだった。


 Boo〜! Boo〜〜!! Boooou〜〜〜!!!

 Boo〜! Boo〜〜!! Boo〜〜!! Boooou〜〜〜!!!


そして審査員が『ウドラン』と判った瞬間、観客達から怒涛の如く吹き荒れるブーイングの嵐!!
もちろんそのブーイングは、前の試合で『ぷちっ♪』っと逝った筈のウドランが、ゴキブリの様に復帰した事に対するものだけでは無い。
ハイヌウェレ達の『裸エプロン』以降、まともにエロスを味わってない(アトラクションもアレだったし)観客達の禁断症状がはけ口を求めて暴走、
そこへ火に油を注ぐ様に(『何で貴様が来るんだ!』と)現れたウドランが、怒りの焦点と化しただけなのである。

「・・・んん〜っ、カス共の怨嗟の声が心地良いぜ〜」今度は濃密なブーイングに包まれて、すっかりご満悦のウドラン。
「これよこれ! これでこそ『悪の華』って感じじゃねぇか。棺おけから無理やり引きずり出されただけの価値はあったな・・・」

「そんなぁ〜・・・ボクの想いが詰まった料理を、あんなブタなんかに食べさせるなんて・・・」シグニィが落胆して呟く。
「我慢おし。あんなクズに食べさせるには惜しい出来なんだけど、奴が審査するまでの辛抱だからさ!」と、アリスが小声で励ます。

彼女らがそんな会話をしてる間に、尊大な顔をしてテーブルにつくウドラン。そして害虫でも見つけたの様にしばし料理を眺め・・・

「・・・フンッ!!」ガラガラ、ガッチャ〜ン!!!
「なっ!! 何をするんだよっ!」「何すんだい、このデブっ!!」

・・・星一徹ばりのちゃぶ台返しを炸裂させた。当然、シグニィとアリスが作った料理が床に散乱する。

「・・・おめーら、犬のエサなんぞ出して何考えてんだぁ? あぁ〜ん?! ちゃんと人間の食い物を作ってきやがれ!!」

憎々しげな顔をして、そう言い放つウドラン。余りのショックに、シグニィとアリスはその場に膝から崩れ落ちる。

「あぁ悪ぃ。犬のメスなら犬のエサしか作れねぇのは道理か! しかしそんなんじゃあ人間の俺様は食わんぜ、ガッハハハハッッ!!」

馬鹿笑いをするウドランを他所に。俯いたまま、ゆらっと立ち上がるアリス。次いで同じ様にシグニィもゆらりと立ち上がる。

「・・・おい、エロ宰相。一つ確認しとくよ…」アリスが顔を伏せたまま、低い声で尋ねる。
「…ボク達が今やってるのってさ、『料理対決』だよね?」シグニィも顔を伏せたまま、アリスの科白を引き取って続ける。
「・・・はぁっ? そうだ。『料理対決』だが?」『今更何を言っているんだ』という顔で、ユリウスが答える。


「「だったら・・・アタシはっ!!/ボクはっ!!」」2人が低いながらも、はっきりした声で同時に叫ぶ。



「「その白ブタを『料理』してやるっ!!!」」顔を上げ、怒りに満ちた眼でウドランを睨み付けた2人は、愛銃を抜く!!!



ジャコンッ! 「アタシの誠意を食べられないってんなら、鉛玉を食わせてやるよっ!!」ズドンッ!! ズドンッ!! ズドンッ!! ズドンッ!!


「乙女の想いを踏み躙るなんて許せないっ! ダンス・アーヴ・クーレ(銃弾の舞)ッ!!」ダン! ダン! ダン! ダン! ダンッ!! ダンッ!!


「ぶぅぅぅぅぅるぎぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!」数十発の弾丸を連続で叩き込まれ、ウドランが瞬時に蜂の巣となる。


一瞬の惨劇。しかし気の利いた裏方がモザイク発生装置を作動させつつ、仕掛け椅子をウドランごと奈落に落とす。
(ウドラン、本日2度目の死亡。死因:銃殺)


そして再び訪れる、空気が凍ったかの様な静寂・・・。しばし間を置いた後。その空気を割るが如く、司会役のテッシンが口を開く。

「皆の衆、お騒がせして申し訳無い。対決結果はじきに出る筈じゃ、しばし待たれよ」

・・・えっ? あれって審査員のウドランが殺られて無効試合じゃないの?! そんな無言の疑問が会場内から湧き上がる。

「皆の衆、彼女達の発言は聞いておったか?」その無言の疑問に答えるかの様に、テッシンが問う。
「あのブタは『料理する』と言われた時点で、肩書きが『審査員』から『素材』へと変わっておったのじゃよ。・・・おぉ、結果が出た様じゃ!」

テッシンが会場の一角を向くと、そちらにライトが当たる。そのライトの中を歩んで来るのは2名の人物。

先に進むは影狼隊の隊長。そしてその後方。やや遅れて来るは、ハイヌゥエレ達の生みの親・アドニス。

「結果は如何に!」近付く影狼隊隊長に対し、テッシンが声を掛ける。

「2人共、なかなか良い仕事だ。集弾率はほぼ互角。ただ、命中部位の有効性はショットガンの方が上だった」
「ハンドガンの方も命中はしてるが、少々狙いが甘過ぎるきらいがあってな・・・これは武器の差を考慮しても、見過ごせない処だな」

淡々と分析結果を語る影狼隊の隊長。

「ほぉ? と、なると結果は・・・」「ショットガンを使って居た方となる、な」「あい判った」


「厳正なる審査の結果、勝者は、アリス=ウィンドワードとするっ!!」テッシンが観客に勝者を告げる。

おざなりに歓声は上がるが、観客の反応は微妙・・・てぇか。スプラッタの後にテンション上げろと言うのも無茶な話ではある。
いや、これが地下プロレスとかだったらテンションは上がるんだろうけど・・・。


「ところでアドニス主任? ブタの様子はどうだ?!」ユリウスがどうでも良さげに尋ねる。
「あぁ、大丈夫さ。例え死神が連れに来ても、首根っこ掴んで引き戻すよ・・・何度でも、ね」そう言って、アドニスは酷薄に笑う。


〜その頃のブタ・・・もとい、ウドラン〜

「う・・・うぅ・・・俺様は一体・・・」頭を振りながら、病院の患者が着る様な白衣を着たウドランが起き上がる。
「おや? お目覚めですか」優しい女性の声が語りかける。
「げっ!・・・き、キサマは・・・ッッ」しかしウドランは、何故かその声に怯えたかの様に振舞う。

「さぁ。起きたのなら次の出番の為に準備して下さいね」と、微笑を浮かべつつ。そのハイヌゥエレは言う。
「次の・・・出番、だと?!」「いつになるか判りませんけどね? さぁ、行きましょうか」

しかしウドランの耳には、その『行きましょう』が『逝きましょう』と聞こえていた・・・。(あながち間違いでは無いが)


「い、嫌だ・・・俺の傍に近付くなぁァ〜〜〜ッ!!!」



一回戦・第七試合に続く