第12話「ユリウス様の勘違いとお家騒動」



ガラガラガラガラ…

機動兵器対決の熱気も冷めやらぬまま、12試合目の回転式抽選機によって
選手が決定されようとしていた。

ユリウス「テッシン、この抽選機もだいぶ軽くなってきたな」
テッシン「ええ、もう少しで一回戦も終了ですからな。しかし、残りのヒロインも
良い子がそろっております。まだまだ萌えも燃えも終わりませんぞ」
ユリウス「まあ今回は『SM対決』燃えも萌えも程遠いテーマだがな!!」

言いながら抽選機を回すと玉が転がり落ちる。
今回は3個出る等というイレギュラーは無く。二人で一個ずつ二名の選手が選ばれる。

テッシン「一人目はソニア・アリストン!」
ユリウス「二人目はギタラン!そしてテーマは『SM』!!」


「ウオオオンンン!!!!」「ウッ!」


黄色い声を湧かせながら観客の男達が腰を引く。
クール系美女ソニアと天然少女ギタランでSM、
これはかなりの当たり回だと男達の股間が想像だけでシークレット・ペニス。
女性達は久しぶりに軽蔑の眼。
いつもの会場の空気である。

ユリウス「それでは両名入場!!」

白虎の方角から来るは白いナース服のソニア・アリストン。
青龍の方角からはピンクのナース服のギタラン。

「・・・・・??」

観客達はナース服の両名に興奮しながらも首をかしげる。
SM対決なのになんでナース服なのん?
その疑問は選手も同じ様で、頭の回転の速いソニアが先に衣装とテーマの食い違いへの
疑問をユリウスにぶつける。


ソニア「宰相、これSMとは違いませんか?」
ユリウス「問題無い、これもSMだ。兄ちゃん(アムステラ聖帝)の持ってたビデオに
こんなのがあったから聞いてみたらSMだよって言ってたから間違いない
最も、余はそんなのよりもティカの方がいいんだけどな」
ソニア「はあ…(しるか!)」


謎多き最重要人物アムステラ聖帝の秘密の一つが思わぬ所で判明したが、
そんな事より衣装の謎である。この時、ギタランも「あー、何かおかしいのかなこれ」と
違和感に気付きだす。しっかりしろギタラン、君以外皆とっくに気付いていたぞ。

かつみん「…あーっ!う、うんうんうん!!おかしいおかしい!」
サティ「二人とも似合ってるヨ。何がおかしいの?」
カマロカ「そうそう、ナース服って結構面白んだよね。(ピー)を袖で
挟んで、それで(ピー)が(ピー)だから―」
ドリス「病院で採用されているだけあって、普通の着衣には無い肌触りが
メリットでありデメリットにもなるのよね。SMに使うには主に(ピー)を
(ピー)にして―」


すまないギタラン、君以下も会場に結構いた。
それと下二人、今回はそういうのじゃないから。


テッシン「ふむ…、やはりというかなんというか。ユリウス様がルールを説明せん限り
全員分からないか、勝手な想像していますな。かくいう私もこれの内容は聞いてませんが」
ユリウス「ふっ、余が兄ちゃんのビデオを元に考案したSMだ。庶民には分かるはずも
ないか。よかろう、ならば解説だ。アドニス」
アドニス「はい、ここに」


ユリウスの言葉に応えて現れたアドニス、彼女もまたなぜかナース服だった。

アドニス「今回はファンタジー対決や告白対決と同じく、設定された舞台で勝負してもらうよ」
ギタラン「うんうん」
アドニス「今回の舞台はもちろん病院、ボクが婦長で君達は新しく病院に来た
新人ナースという設定だ。君達はボクの後に続いて病院を見学し、そこで起きる
様々な出来事に対処して欲しい」
ソニア「了解しました」
アドニス「ただし―」

アドニスは言葉を切り、不意に体全体で後ろを向いた。

ギタラン「ぷっ!!あははははは!!何ですかそれー!(笑)」
ソニア「…何やってるんですか(呆れ)」

大笑いするギタランと困惑と侮蔑半々の表情を浮かべるソニア。
二人が別々の反応をした原因、目の前のアドニスの服装にあった。
アドニスの着用しているナース服は二人のと違って後ろ半分が無かった。
云わば「びんぼっちゃま状態」であり、後ろを向くと背中もお尻も丸見えだったのだ。

(デデーン、ギタランアウトー)

ギタラン「えっ?」

突如響き渡ったアナウンス。ギタランがアウトだと言っていたが何の事なのかギタランは
理解できないままアタフタとする。

ギタラン「何ですか?ひょっとしてさっき笑ったのがまずかったんですか?」
アドニス「うん、まあそうなんだけどさ。ギタランくん、そのまま直立不動で待機ね」
ソニア(なるほど、そういう事ね)

ソニアはこれから起こる事に早くも気付く。一方、間違いを犯したギタランは
まだこれから起こる事が予想すらできないでいて、ただ言われた通りその場を動かないで
いるしか無かった。

やがて入場口から一人の男がやって来る。アスパラヘアーをたなびかせバットを
振り回するこの男、そう、我々はこの男を知っている!


レンヤ「飛ォ〜ばせ♪弾丸〜♪」
ソニア「ギタランさん、お尻に力入れといた方がいいわよ」
ギタラン「はい?」
レンヤ「男レンヤのいちげき〜っと!」

ズパアアアン!!と快音が響いた。
レンヤの持っていたバットがギタランのヒップを勢いよく叩いたのである。
ここに来て罰ゲーム執行されたという事実を知り、同時に痛みが襲ってくる。
幸い、プラスチック製のおもちゃバットなので怪我は無いがフルスイングされたから
かなり痛い。


ギタラン「にゃほおおおおおお!!!!!!!!!!」
アドニス「…と、この様に病院を移動中は様々なアクシデントがあるだろう。
だが、ナースたるもの病院内では真面目にしなければならない。もし笑ったりしたらこうなるからね」
ギタラン「ふぁ、ふぁい」
ソニア「それで、今回の具体的な勝利条件は?」

しょっぱなから涙目のギタラン。一方ソニアはクールに質問だ。

アドニス「ペナルティに耐えられず片方がギブアップするか、最後まで行って
笑った回数の少ない方が勝利」
ソニア「で、これのどこがSM対決?」
アドニス「宰相、やっぱりこれSMじゃない見たいだよ」
ユリウス「そうか、よし、余はちょっと兄ちゃん倒してくるから後は任せた」
ギタラン「この人、自分の間違いを兄に押し付けた!」

ユリウスは立ち上がり、審査員席から客席に向かって走っていく。
小さい頃見たお笑い番組をSMと勘違いしていた事に顔を真っ赤にしごまかす様に逃げる。
だが、モニターを注視していた観客は気付いていた。尻を撃たれたギタランの表情と悲鳴、
褐色の肌を赤く染め恥じらいながら臀部をさする行為。

(問題あらへん…これはSMや…!!)

声にださねど、観客的にはオッケーだった。


ギタラン「またあの人審査ほったらかしてどっか行っちゃった!」
ソニア「それよりも、アムステラの聖帝がこの会場のどこかで観戦している事の方をつっこむべきじゃない?」
テッシン「またあの人はー、まあ今回は審査員が必要な勝負では無いからのう」
アドニス「そうだね、今回は笑う度にあそこにポイントが加算されていく。
機械の判定だからユリウス様は必要無いかもね」


電光掲示板を見上げると【現在のスコア、ソニア:0 ギタラン:1】と表示されていた。

ギタラン「すみません、開始前から私にポイント入ってるんですけど」
アドニス「さっき笑っただろ?さっ、チュートリアル中に病院のセットも完成したし
ついて来なさい新人さん」
ギタラン「わーん!」

こうしてしょっぱなからハンデ付きで勝負は始まった。
頑張れギタラン!傷は浅いぞ。


アドニス「さて、ナースといえばまずはナースコールだね」
ソニア「そうですね」
ギタラン「そうなんですか?」
アドニス「そういう事にしておいてよ。台本にはそうなってるんだし」

病院のセット内に入って早々無茶振りをするアドニス婦長。
ギタランの疑問に答えるべきユリウスは現在兄と全力戦闘中なので質問への
答えは与えられず最初の関門が始まった。

アドニス「この扉の向こうにはナースコールのボタンが置いてあるから
一人ずつ部屋に入って押してきてよ」
ギタラン「ナースコールって患者が押すモノじゃあ」
アドニス「じゃあ不利な先行はギタランちゃんで。いってらっしゃい」
ギタラン「基本天然なのに中途半端に突っ込みスキル持ちの自分が憎いです!」
ソニア「あらあら、難儀ね。クスッ」

盛大に自爆をしたギタランに対してソニアは『ほくそ笑む』。

(デデーン、ソニアアウトー)

ソニア「ええっ!?」
アドニス「だから笑っちゃ駄目なんだってば。全てにおいて」
レンヤ「飛ばせ〜一撃っと!」

いてまえ打線省略バージョンと共に病院入り口から入って来てソニアの尻を一閃。
ゲーム進行を阻害する事無く風の様にレンヤは去っていく。

パコォォォォン!【ソニア:1、ギタラン:1】

ソニア「…んっ!」
アドニス「ギブアップ?」
ソニア「…のー!」
アドニス「流石に一発目から両者ともギブアップはないか。
ふふふ、ハンデも無くなった所でギタランちゃんゴーゴー」
ギタラン「はーい」

ちなみに、アドニスはいくら笑ってもオッケーだ!婦長だから。

ギタラン「失礼しまーす。あっ、あのボタンかな」

無人のガランとした、カーテンが閉じ電気も付いていないうす暗い部屋。
入ってすぐの机の上に『N』と書かれたでっかいボタンが設置されていた。

ギタラン「ポチっとな」

(デデーン、ギタランアウトー)

カーテンが翻り、隠れていた褐色の男が首をポキポキと鳴らしながら近づいてくる。
ユール・パンチャーメー29歳。今回の役職名は『タイキック』である。

ユール「アイアム、ナックモエ」
ギタラン「知ってます。…私笑って無いよね?」
ユール「オマエ『ナックモエボタン』オシタ、ウシロムケ」
ギタラン「なんでカタコトなんですか」
ユール「シャッ!」

ズバァァァン!!
華麗なミドルキックがギタランの尻に吸い込まれる。
痛みが尻で吸収しきれずに直接蹴られていない太ももまで瞬時に赤く染まる。

ギタラン「〜〜〜〜〜〜〜!!!!(声も出ない)」 【ソニア:1、ギタラン:2】


扉越しにデデーンという放送音、破裂音、ギタランの転がる音が聞こえ、
ソニアはびくりと震えながら身構える。
やがて、半べそ掻きながらお尻を押さえてギタランが戻って来た。

ギタラン「私笑わなかったのにー!」
ソニア「笑わなかった?じゃあなんで」
アドニス「ストップ、ネタバレは禁止だよ二人とも。ではソニアちゃんゴーゴー」

部屋に入りソニアはギタラン同様、机の上のボタンを見つける。

ソニア「失礼しまーす、あっあのボタンかな…ってこれをギタランさんは
普通に押してそしてデデーン。だからこのボタンは多分ダミーね」

ソニア後攻の利を活かしナックモエボタンをスル―。机の向こう側にあるベッド脇に
もう一つのボタンを発見する。

ソニア「ナースコールボタンなんだからやっぱりこういう形よね。ぽちっとな」

これも罠の可能性もあるが、他にボタンも見つからないしベッドのボタンを
緊張しながら押す。少しの間があってから―、

(ピンポーン)

正解音、そして扉が開きアドニスが現れた。

アドニス「ナースコールで呼ばれて婦長参上。ソニアちゃんよくできました」
ソニア「フッ…私にはこの程度のトラップ通用しないわ」
アドニス「後攻だったからでしょ。まあいいや次の部屋いくよ」

後ろ半分裸の婦長に続きスカートに隠れた腫れた尻を擦りながら二人が廊下を歩む。

アドニスの半裸(といっていいのかコレ)への観客の反応は薄い。
大会開催時に配られたパンフレットにより、開催者であるユリウス宰相・テッシン・
そしてアドニスの簡単なプロフィールと各人物関係が知らされており、
アドニスは男だというイメージが先行しどうにもオープン・ザ・ペニス。

対して二人の尻への反応はかなりものだ。
打撃によってスカートが破れかけ、勝負内容に夢中のソニアと
ギタランはまだ気付いていないが下着と赤いお尻が歩くたびにチラチラと見えている。

そして、ダメージの大きさがそのままスカートの寿命に直結しているのだろう、
ギタランのスカートの破れはソニアのそれよりも大きなものとなっていた。

さて、そんなこんなで三人がついたのはテレビのある談話室。

アドニス「ここは病院、当然ここにいるのは病人というわけで中には困った人もいる。
では、これから二人には困った患者さんのビデオを見てもらう事にしよう」
ギタラン「順番からいって今回はソニアさんが先行ですよね?」
アドニス「残念、こっから先は全部二人同時にやるテストのみだ。さっテレビを見てね、
顔背けたりしたらその時点で笑ったとみなすから」

テレビの電源が入り、モニターに人の顔が映される。60歳ぐらいの男の顔のアップ、
それが徐々に引いて行き全身図が現れた。
男は、いい年こいてピカ●ューのパジャマを着てポージングしていた。
白い歯を輝かせながら男はカメラの前に向かって自己紹介を始める。

アレクサンダー「僕はサポートネズミのアレクサンダーでちゅー!
これから前話でちょっと登場したミンファンちゃんの寝込みを襲うのでちゅー!」

【アレクサンダー】
1.金色の宇宙に登場、ミンファンのサポートをするネズミサイボーグ。
2.連載中の小説プロトスリー物語のキチガ●、アレクサンダー=シュタイドルフ。
今回の人物は2だが、本人は1のネズミであると言い放っている。

カメラがさらに引かれると画面の隅にお休み中の絶壁…ゲフンゲフン、ミンファン。

アレクサンダー「添い寝+うんぬんかんぬんでちゅー!!」

いざルパンダイブとばかりに飛びこむアレクサンダー(人間)。
だがその体は空中で謎の障壁にはじかれる。

アレクサンダー「うむぅ、何奴!!」

力の方向を見やると大量の点滴と酸素チューブを背負い車椅子で迫る年齢不詳の
老人が怒りに震えながら瞳孔の開きっぱなしの目でアレクサンダーを見つめていた。

ディラード「この不埒な異教徒めガアァァァァァ!!!毎度毎度アムステラ人の
入院患者を襲いおって!!このワシが成敗してくれるゥ!!」
アレクサンダー「ワシの前に立つかぁ!憎い(いとしい)外来者よ!」

アムステラ対地球の最狂人決定戦のゴングが鳴らされた。
こうなる事が運命だったかのように二人は怒りそして笑いながら相手に襲いかかる。

ディラード「ホヒョェェェェ!!」
アレクサンダー「ぬおおおおお!!」

生身で宙に浮き防御障壁を展開するディラード、対してそれを素手で突破を試みる
アレクサンダー。浮かぶ血管、噴き出る鼻血、ちぎれ飛ぶパジャマ。
そして二人の間でぐーぐー寝ているミンファン。

ミンファン「う〜ん、もう食べれないよぉ〜」
ナレーション「これが困った患者のケース1、『病院食をつまみ食いして廊下で寝るミンファン』である」

(デデーン、両者アウトー)



映像終了後、非情にも両者アウトの放送が響き渡る。
ギタランもソニアも現在進行形で笑いっぱなしだったのだ。
二人の後ろにそーっと『バットハリセン』レンヤ&『タイキック』ユール。
笑った回数だけ連打を放つ。

パァァァン!ズパァァアン!パッパアーン!ゴスッ!
ズパァァァァン!バァーン!ズバァーン!!スパーン!ベシッ!

ギタラン「病院で暴れるお爺ちゃん達はお咎めなしかーい!アハハハっヒギャアー!!」
ソニア「この落ちは予想できなかったわ、卑怯っヒー、っ痛だぁぁぁぁ!!」

両者10発以上の攻撃を尻に受け身も心もスカートもボロボロと化す。
何度か肉の少ない部位にヒットした為腰回りや背中まで痛い。

【ソニア:14、ギタラン15】

アドニス「お二人、ギブアップはするかい?」
ソニア・ギタラン「「ここまできたら最後までやる!」」
アドニス「グッド!それじゃあ最後のナースレッスンを行うよ。君達はこれから
この部屋で患者に直に接してもらう」
ソニア「患者に…」
ギタラン「直に…」

この時点で既にスゲー嫌な予感の両名。

アドニス「一人目の患者はこちら!」
シン「拙者、大人の階段登り過ぎたでござる」

前回の薬の作用でヒゲ面のオッサンと化したシン登場。
何故か棘付きのチョッキを着用している。

ギタラン(ブライアンさんに似てる、何でだろう?)
ソニア(くっ…、大丈夫。さっきのに比べたらまだ耐えられる)

これは二人とも耐える、だがアウトコールが響き渡った。

(デデーン、ヘタリアアウトー)

首をポキポキ鳴らしユールが観客席のヘタリア席に突進する。

マモート「どういうことだ!!」
エンツォ「神父様がなんでかしらねーけど腹抱えて笑いっぱなしなんですよ!」
フェル神父「クククっ…やっぱりシン君は成長するとこうなりますか。ハーハハハ!!」

周りの迷惑なレベルで大笑いするヘタリアトリオ(二人冤罪)にタイキック炸裂。

エンツォ「いてえ!これマジで痛いっすよマモートさん!」
マモート「ぬわー!」
フェル神父「チクビーン!」

タイキックにより悪は去った。
勝負を再開し二人目の患者登場。

ユール「実はエアロビクスに転職したい」
アドニス「うーん、本業へのストレスから来る逃避行動だね」
ソニア(あれだけ嬉々としてタイキック撃ってたのに今更―!?)
ギタラン(カタコトはどうしたー!!プッ…がまん、がまんだ私。もう少しで終わり)
アドニス「三人目の患者さんどうぞー」
バリー・プランクス「やっぱり時代はムエタイだよね!」
アドニス「四人目五人目一緒にどうぞー」
バリー2号「エアロビなんかより空手やろうぜ!」
毒砲ちゃん「どーんなもんじゃーい!歌うで!」

チューチュートレインで迫る4人のマルコメ小僧とシンを見て、
二人の中で大切な何かが切れる音がした。もう限界だったのだ。

ソニア「ぶはっはっははははははは」
ギタラン「ぬはははははははははは」
(デデーン、デデーン、デデーン、デデーン)

毒砲の爪先蹴りがソニアの尻の割れ目に刺さる。
ダブルバリーのダブルキックがギタランのスカートを引き裂く。
しかし、一度感情の爆発が起こると容易には納まらず二人とも撃たれながら
笑い続ける。そして連打、連打、連打。

ソニア「あはははア、痛い痛いんははあはんほっほおほほおおh!!!」
ギタラン「いたたああああああんぎいぎいいいいいいいいいいい!!」

ついにスカートが破れ観客の前に真っ赤な尻が露わになる。
そしてギタランは痛みからかそれ以外の感情からか床に倒れ伏し、
それに続くようにソニアも倒れ込んだ。

【最終ポイントソニア:55、ギタラン:55】



アドニス「おっと、これはダブルノックアウトかな?えーと、ユリウス様の
用意したこの勝負のルールだと『二人がギブアップせずに同時に倒れ
ポイント同数の場合は片方だけ立ち上がったらそちらを勝者とせよ』か。頑張れー」

会場から巻き起こるギタラン・ソニアコール。それを受け、一人が立ち上がった。
先に立ちあがり勝者となったのは―。

アドニス「それまで!先に立ちあがったのは、勝者は…ソニア!」

へろへろになりながらも立ち上がったソニアに惜しみない拍手が観客から飛ぶ。

アドニス「勝因は僅かながらも前半リードを保っていた事、
そしてこの変則SMに君が感じにくい体質だった事にあるね」
ソニア「…どういう事ですか?」
アドニス「ソニア君、尻への攻撃はどう思った?」
ソニア「どうって…ただ痛かったとしか」
アドニス「うん、流石処女!それに引き換え―」

アドニスが倒れっぱなしのギタランの顔を覗きこむ。舌を出しヨダレを流しながら
白目を剥いてギタランは痙攣していた。

アドニス「見たまえこの変態女を。彼女はこのシチュエーションに感じてしまったあまり
勝負すら忘れてヨガっていたのさ」
ギタラン「…はっ、違うモン!!変態じゃないもん変態じゃないもん!」
アドニス「それに比べ流石処女!うん、ソニア君は見事な処女だ!
汚れ一つない、異性と手を握った事も無いレベルの処女力だったよ!」
ソニア「処女て言うな処女って連呼するなこのオカマー!」

観客達はその通りだとばかりにこの辛い戦いを最後まで奮闘した二人に惜しみない声援を送った。

「へーんたーい!へーんたい!」
「しょーじょ!しょーじょ!」

ギタラン「変態じゃないもん!変態じゃないもん!」
ソニア「処女ゆーな!処女だけどゆーな!」

試合に勝って勝負に負けたソニア、試合に負けて勝負もフルボッコのギタラン。
勝者なき戦いを終えた二人は身を寄せ合いながらお尻が見えない様に去っていった。


ユール「この勝負はプロのナックモエ・インストラクター・空手家・アスパラ王の
指導のもと行っている。よい子はマネするなよ、もしどうしてもやりたいのなら
近所の遺伝子研究家から蘇生装置を借りてくるように。ユールお兄やんとの約束だ!」
アドニス「タイキック役お疲れ様、さて次の準備に取り掛からないと」
テッシン「ワシ、今回ほとんど出番無かったぞ。ユリウス様も帰ってこんし」
ユリウス「ただいま、―ゴフッ」
テッシン「おお、ユリウス様どうなされたので?顔が血まみれですぞ」
ユリウス「兄ちゃん予想以上に強くて逆にボコボコにされた、病気じゃなかったのか」
テッシン「このトーナメントによるエロパゥワーが聖帝の病も癒しているのでしょうな」
アドニス「やれやれ、兄弟そろってエロ王家だね。というかユリウス様、
卑怯にも病気の兄をボコる気だったのかい?」
ユリウス「だって余は宰相だから!快王の称号持ってるとはいえ王家では頭脳労働派
だから!余が健康体の兄ちゃんに相手に勝てるわけねーから!!」
アドニス「宰相だから、か。それじゃあしかたないね」


第12試合『絶対に笑ってはいけないSM対決』結果
○ソニア・アリストン対ギタラン●(決まり手、処女力)

第十三試合に続く