某超大国 M州S市にて…

“私”は尊敬する科学者“R”氏の研究室に来ている。
そこで“私”が手にしている一冊の資料…

その資料には、M州D市の某球場で行われた16名の闘士による試合の記録が書かれていた。
しかし、それはボクシングや柔道、ましてや昨今流行りの総合格闘技のようなスポーツとは一線を画すルールがあった。

「ゴクッ…」

“私”は心を落ち着かせ…

「それは…」

「それは…!」

「それは……!」

「それは………ッ!」





「『相手の死を認めているという点であるッッッ!!!』」



〜Rコロシアム・序章〜



M州D市 某球場 PM 7:00…

普段ならここはMLBの試合が行われ、球場は選手や人々の熱気に包まれているが
シーズンはとっくの昔に終わり、球場には自主練習で来る選手以外は来ないハズである。



だが今日は球場に多くの人々が集まっていた。



それは何故か…?

これから始まるのは血の宴の為に集まったのである。

集まった観客は、ホームランやタッチダウンなんかで興奮するような『ゼンリョーなる一般市民』とは違う。

彼らが求めるのは…『屍臭』と『血の匂い』…

この球場で今から凄惨な試合が始まる為に集まった、クレージーな観客達なのである!



観客の一人である、アメリカ上院議員ミッキー・ホフマン氏は女性秘書に尋ねた。

「これから始まるショーは、あの『地下プロレス』のようなものと聞いていたが…何時、始まるのかね?」

「もうすぐかと思いますが…議員、このような場所にいてよろしいのでしょうか?」

「今日は休暇だからいいじゃないか。毎日毎日、金融対策やらアムステラの対策やらで疲れているんだ。
 こういう“エンターテインメント”でストレス発散したいのだよ。」

「…………」

世間一般では『家族思いでチャリティーに積極的に参加する“善良な政治家”』で通っている男が
これから行われる非合法の試合…いや殺戮ショーに『子供が好きなアニメを今か今かと待ちわびているような態度』を取っている。

表と裏の顔があるというが、これがこの男にとっての表の顔で
世間に対するときが裏の顔なのであろう…

(週刊誌に教えたら面白いだろうな…)

そう女性秘書は思った。





そして!

そしてェッ!!

そしてェェェェェェッッッ!!!

パチン!

照明がついたァァァッッッ!

パチンと照明がついたのであるゥゥゥッッッ!!!






その先には…!

マイクを持った一人の男が立っていた!!!








そう!この大会の実行委員長である!!!







科学者“R”である!







「M州D市…この国で一番治安が悪い場所である。」

そう語るは科学者“R”!

「しかし、それ故に法の取締が緩いといえる…」

そう語るは科学者“R”!!

「観客の諸君は安心したまえ。既に警察は私が所属するO社の力により『ダンマリ』を決めている。」

そう語るは科学者“R”!!!

「では、始めようか!古代ローマのコロシアムの再来だ!」

そう語るは科学者“R”!!!!

「いや…」






「諸君らの大好きだった『地下プロレス』の再来だッ!!!」

そう語るは科学者“R”ッ!!!!!

「今宵限りの『殺し合い』を楽しもうではないか!」

ウオオオォォォ―――!!!

「『一般のプロレス』や『一般のキックボクシング』の試合では見れないような試合ばかりだ!」

ウオオオオオォォォォォ―――!!!!

「さぁ!開演だ!!!」

ウオオオオオオオオォォォォォォォォ―――!!!!!

球場は興奮と狂気の歓声に包まれる!

「クックックッ…せいぜい良いデータを取らせてくれよ。」

科学者“R”はニヤリと笑った。



O社主催 Rコロシアム

                 大会実行委員長 科学者“R”

                  大会スポンサー O社
                          E・タイムズ
                          G自動車
                          K製作所        

                     参加選手

                     空手家2名
                     総合格闘家1名
                     柔術家1名
                     レスラー1名
                     拳法家1名
                     古武道家1名
                     カポエイリスタ1名
                     剣士2名
                     軍人2名
                     忍者2名
                     傭兵1名
                     流派不明1名

                   計16名 全8試合


                     大会ルール

                      概要

                   双方は修斗に乗り込むこと。

           禁じ手含めて全ての攻撃を認める(武器の使用も許可)が火器の使用は禁止。
    (ルール違反を犯したものは、大会実行委員長である科学者“R”の手により修斗に内蔵された爆弾で爆破される。)

   
                  ラウンド:無制限一本勝負


              勝敗:KO、ギブアップか『対戦相手の死』によって決まる。


              試合場:ケージ(金網)で囲われた8角形の舞台で行われる。


              選手の服装:特に禁止するものはなし


              その他:各試合の勝者は5万ドル(約450万円)が支払われるが
        対戦相手を殺害した場合、ボーナスとして100万ドル(約8900万円)が支払われる。



― 続く