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プロトスリー物語 第三話 「4人いた!」



「どうすんだよこれ…」

スガタ&2型によるスク水ショーは「こんなの入らないよお!」状態にて決着。
哀れスク水はサイズ差と力加減のミスによりビリビリに裂けた。
実はスガタとしてはこれで終わってくれればとも思っている。

「心配いらない。届いたスク水はまだ3着ある」

2型との比較実験の結果ビリビリに破れたスク水は諦め、もう終わって欲しいという
希望も諦め、スガタはいよいよプロトスリーでのスク水着用実験に取り掛かる。

「これが3型、いやプロトスリーの操縦席か…」

操作マニュアルとにらめっこしながらプロトスリーの動かし方を、
何が出来て何が出来ないかを確認していく。
やがて棒立ちだったプロトスリーがゆっくりと身をかがめて、
床に腰を下ろす。

「流石だな中尉」
「私はボタンを押しただけ、こんなの誰にだって出来るさ」
「なんと、小十朗め…。それでは素人が乗っても動かせるではないか」
「量産型ってそういうモンだろ?だからあんたの案は採用されねえんだよ」
「キー!」

ライブが白いハンカチを口に咥え小十朗に嫉妬する間にもプロトスリーは
次々と姿勢を変えていく。両手を床に付いて女豹のポーズ、うつ伏せになって
土下寝のポーズ、そこから起きあがっていき片膝をつくポーズ、立ち上がり
両手を上げて降参のポーズ。
念の為に述べておくが、これらはビル影からの銃撃や同型の味方同士での
弾薬の受け渡し等に使える実用的なモーションであり、決して制作者のおふざけではない。

「すげえよこれ!両腕が肩より上に上がる!指が5本別々に動く!
上半身を捻って左右を狙える!2型と違ってまるで人間そのものだ!
これがボタン操作だけで出来るってのだから本当に驚きもんだよ!」

通販番組のアシスタントばりのテンションで最高の評価を下すスガタ。
それを見るライブも小十朗への嫉妬は瞬く間に消え去り、素直にプロトスリーの出来に
感心していた。

「中尉、自動操作で出来る事は大体分かった。次は君自身の腕前でどの程度動かせるのか
テストしよう。さあ、プログラム操作ボタンから操縦ハンドルに持ち替えそのスク水
を着るんだ」
「やっぱスク水は着なきゃダメなのか!?」
「スク水着た写真送らなければインドのパイロットはこの程度かと笑われるぞ」

オードリー=スガタにとって実力を認められない事、舐められる事は耐えがたい事で
あるのだが、それ以前に―やはりスク水は恥ずかしい。

「着たら着たで笑われるだろ!世界中で唯一の操兵スク水軍人なんて称号いらねえ!」
「安心したまえ、君以外にも世界各国にプロトスリーを受け取ったパイロットは存在する」
「私だけじゃなかったのか」
「そりゃそうだ、試作機といえども量産に向けてのものだから様々なデータが
必要だからな。無論全員今頃スク水実演中だとも。ちなみに君含め世界に4人存在する」
「分かった、あんたの為じゃ無くかわいそうな同士の為にスク水を着てやるよ
ベテランがお手本を見せてやらないとな」

スガタは手動操縦によってプロトスリーの腕を細かく操作し、まずは指先でスク水の
襟部分をつまんでみせた。


【韓国・精霊三合拳の南龍】

スク水を着用したプロトスリーの指が自らの体の上を這っていく。

「チョー!」

妖艶なプロトスリーから発せられるは色気あるが逞しい男の声。

「チョーチョー!」

スク水の食い込みに指を引っかけて直しながら艶めかしくポーズを取り、

「チョチョチョのチョー!」

「もういい!降りろ南龍!」

たまらず訓練の中断を伝える韓国軍の偉い人達。
程なくして長い黒髪を後ろで縛った青年がコックピットから顔を出す。

「訓練結果は合格、しかし今度は一体何の悪ふざけだ!」
「やーね、いつもの冗談じゃないの。中国武術界名物チョー先輩のモノマネ、
博士は知らなかった張英傑?」
「全く…、何でこんな奴がまたもやテストパイロットに選ばれたんだ」

春南龍(シュン=ナンロン)は一言でいうと残念なイケメンである。
操縦技術だけを見るなら韓国一、さらに話術にたけており他国パイロットとの
交流関係も深い。ただ、彼には大事な所でウケを取ろうとして常に変なキャラ立てを
するクセがあった。

彼の専用機である餓狼の試運転時においては長髪をワックスで逆立てて、「〜だモヒカン」
という語尾を駆使しながらテストには真剣に取り組むという離れ業を見せており、
今回も何か余計な事してくるのではないかと心配してみれば案の定これである。

「昔、中国武術省との交流試合の大将戦で知り合ったんだけどさ、
参加してないのに自分が勝利したかの様に喜んでたチョー先輩をみて、
この人のモノマネをいつかネタとして披露したいなーって。
で、今日という日は絶好の日だと笑いのゴッドが降りて来たわけよ」
「芸の話はもういい!それで操縦してみてどう思った?」
「システム面で2型に比べ凄い便利になったし、装甲に不安もあるけどこれだけ動けば
格闘もできそうなのよね。俺の愛機と比べもトータル的に見ればプロトスリーの方が
上回ってると見ていい。まっ、どっちかに乗れって言われたら俺は餓狼の方を選ぶけどね」

客観的に自戦力の利点と弱点を見抜く眼力、こういう時の横顔は英雄譚の主役の様
なのだが―、

「だってプロトスリーにはドリンクホルダー付いてなかったから。
やーねー、コーラ持ち込んでもこぼれちゃうじゃないのよ。オホホホ」

そして振り返り上手い事言ってやったぜとドヤ顔を見せる。

「ばかもーん!」

韓国軍に今日もゲンコツの音が響いた。


【オーストラリア・英雄候補ブレイブ】

地続きの国が無い。航空ルートから外れている。国土は無駄に広く、攻め落としても
その後守りきるのに人員が裂かれる。鉱山はあるが大規模な軍事工場も作戦本部も
民間のむっちゃ強い正義の組織も何にもない。だからアムステラにとって積極的にここを
占領する理由が無い。敵が狙う可能性が低いからこちらも戦力は少なくていい。
オーストラリアにおけるアムステラの侵略頻度は他の大陸に比べ低く、
オーストラリア軍の練度も低いのは当然の帰結だった。

「だからこそじゃ、だからこそお前にこのプロトスリーが届いたのじゃよ。
ブレイブ=レベルワン軍曹、君は今現在世界最弱の人型パイロットとなった。
胸を張るがよい」
「はい」

ブレイブ=レベルワンはオーストラリア軍に属するごく普通の新兵だった。
身長172センチ、髪は金、目は青、肌は白いが取り立て綺麗でも不潔でも無い。
性格もやや無口な点を除けば特に問題はなく取りたてて優れた点もない。

そんな彼が量産試作機のパイロットの一人に選ばれたのは本当に偶然の事である。
世界中で一定レベルの戦力として使用可能である事が要求される以上、
テストパイロットの内最低一人は操兵未経験者が必要であるとされ、
アムステラ戦の知識と技術共に未熟かつ若い兵が多くいるオーストラリアの軍人から
抽選でブレイブが選ばれる事になった。

「さあプロトスリーに乗り込み、その雄姿をワシに見せておくれ!」
「はい」
「まずはスク水の着用からじゃ!」
「えっ!?」
「なんと嫌だと申したのか!?」

嫌だというか状況が良く分からないからハイと返事できないでいた。
人型戦闘マシンの新型試作機のパイロットに抽選の結果選ばれたと知ったのが5日前、
次の日いきなり二等兵から軍曹にまで昇進しており何枚も事務手続きの書類を書かされて
気が付いたらここにいた。
そして生で人型兵器を見た事すら始めてのブレイブに最初に下された命令が『スク水着ろ』。思考回路の処理能力がダウンするのも仕方のない事である。

「よく聞こえなかったぞ!嫌と申したのか!?」
「…」
「よく聞こえなかったぞ!嫌と申したのか!?」
「…」
「よく聞こえなかったぞ!嫌と申したのか!?」
「…いいえ」

上官との延々と続くループにブレイブは折れた。
急展開に頭が少しずつ慣れ始めたのもあるが、自分は軍人である以上理不尽な
命令であってもそれが命に関わらないものである以上は従わなければならないと
思い至ったからだ。


オート操作システムのボタンを何度か押し、プロトスリーの右手でスク水を拾い、
肩に担ぐ様に引っかける。

「これでいいですか?」
「ブレイブ=レベルワン軍曹、防具はちゃんと装備しないと意味がないぞ!」
「恥ずかしいです」
「文句はワシではなくこれを考案した小十朗に言ってくれい。これが出来ないと
以降の訓練も出撃も許可されないからとにかく頑張るのじゃ!」

ブレイブの脳内に目が4つで腕が6本口から炎を吐く魔王小十朗が現れた。

(魔王小十朗。今はあえてお前の策に乗ってやる。スク水の刑受けて
やろうじゃないか。そして一人前のパイロットになりいずれ貴様の前に立ってやる)

スク水云々を決定したのは小十朗一人の意思によるものではなく結構な数の人間の
意見が混ざった結果の事だが、ブレイブはそんなの知った事じゃない。
普通の少年が魔王打倒へと向かう物語が始まった瞬間だった。


【アメリカ・火の玉野郎ブライアン】

「イットウショー!」

右手を天に上げイットウショーのポーズの機体を皆が見守っていた。
プロトスリーである。既にスク水着用テストクリアー済みである。
今も着たまんまイットウショーである。

「か・ら・の!ドーン!」

空いている左手をスク水の股間に突っ込み擬似モッコリを強調する。
たちまち爆笑の渦、わき上がるドーンコール。

「セイヤッ!ソイヤッ!」

さらにプロトスリーはギャラリーに背を向け、尻を突き出しながら
両手で水着をアゲサゲする。セイヤッ毎にスク水が股間に食い込みソイヤッで解放される。

「いいぞーブライアン!」
「プロトスリーちゃんきゃわい〜、脱ーげ!脱ーげ!」

元レスラー・ブライアン=バーンズの華麗なショーにその場の誰もが熱狂した。
今日も元気だアメリカ軍、兵士もメカニックも管理職もみーんなお祭り大好き野郎ども。
ツッコもうものならきっとこう返って来るだろう。
「これぐらいでなきゃ戦争なんてやってらんねーよ!」と。


【再びインド・鬼姫スガタ】

さっきのボタン連打で気付いたが、自動操縦のプログラムをいくつか繰り返せば
手動操作なしでスク水は着用可能だ。
だが、アムステラ侵略以前から軍人をやっているというプライドがスガタに
オート操作を拒否させた。手動でのレバー操作で摘まんだスク水を引き寄せ、
2型でやった時の様に片足ずつ上げてその隙間からスク水を通していく。

(やっぱり人間が着るものとは違って結構伸びるな。
とはいえ力を上手く加減しないとまた破ける。気をつけないと)
「スガタ中尉、スガタ中尉」

足元でライブが手招きしているのに気付く。

「なんだよ、今慎重にやらなきゃならない所だからあんまり話しかけんな」
「これ見てみなさい」

ノートパソコンを広げてライブは人型兵器の画像を見せてくる。
プロトスリーのカメラをズームにして確認すると―

「ぶっ!!」

そこには「ドーンなう」というタイトルが付けられたブライアンとスク水スリーの雄姿が!
これにはスガタも苦笑い。びりびりー。

「また失敗したな」
「テメーのせいだ」

走るスガタ、逃げるライブ、唸るアイアンクロー、駆け巡る走馬灯。
残り二着のスク水、仕方なく自動操縦でゆっくりと着こなす。

オードリー=スガタ。(主にライブのせいで)ベテランのくせに初期のテストで
一番苦戦するという屈辱を味わうが彼女がこれから味わう絶望はこんなものではない。

(続く)