「イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!!!」

それは下卑た嗤い声であった。
その声の主もまた“下卑た男”であった。

丸くて黒いサングラスと。坊っちゃん刈りに八の字眉毛の。
ナイフで削ぎ落したかのような、こけた頬をした・・・。

190cm110kgを誇るマッスルボディの持ち主。


「イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ『マッチョ虫男』です。」


マッチョ虫男。今宵、ジ・ハンドレッドこと、若き日の『耐撃の百文字』が死合う『 7戦目の死合相手 』で あ る 。


オギャア!オギャア!!


泣き声である。赤ん坊が挙げる声である。


「そのまま死合う気か『マッチョ虫男』よ・・?」

ジ・ハンドレッドがそう問うわ。その赤ん坊の『居付く場所』とは・・・!!


 ッ


 ッ



「いやねぇ、ハンドレッドくぅ〜ん。」

「私は君のねぇ。『仏心』に期待しているんですぅ〜。」

「イヒヒヒヒヒヒ!赤ん坊を抱き抱える、この私ん・・・。」

「ハンドレッドくぅん!そんな私んと『どう戦ってくれる』のかなぁ〜ん??」


ジ・ハンドレッド!!

「下卑た男であるな。」


マッチョ虫男!!

「下卑?下卑ィ??イヒヒヒヒヒヒ!!」

「そうなんです。」
「私は暗くて、とても卑怯なんですぅ〜ッ!!」

「イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!」


ジ・ハンドレッドォー!!

「開始(始め)るが良い。」

「貴様には『虫』らしく『下衆な死』が良くも似合おう。」


マッチョ虫男ォー!!

「イヒヒヒヒヒヒ!お言葉に甘えますゥ〜、ジ・ハンドレッドくぅ〜ん!!」


  程


  無


  く


  !


 ドッッ ァ ァ パ パ パ パ ア ア アア ア ア ン ン ン ンン ! ! ! ! ! ! ( なんと、“銃声”が撃ち鳴らされたぁぁああああ!!! )







・・・・




○超鋼戦機カラクリオー外伝

 クロガネの賛歌・番外 ー 響 鐘 ゥ ! 地 下 プ ロ レ ス 編 ! !  ー



 「 『 狂 気 』 の “ 狂 音 ( メ ロ デ ィ )” 」







・・・・







口である!

口である!!

赤ん坊の“口(ベイビィ・マウス)”だァーッ!!


赤ん坊の“口(ベイベィ・マウス)”から『散弾(ショット・ガン)』が発射(ファイァァアアー)されたァァアアアーッ!!


見るも飛び交う散弾の嵐!


ブシャァァァアアアアアアアアア!!!


マットに真っ赤な血(薔薇)が咲くゥー!!


  し

  か

  し

  !


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


「イヒヒヒヒヒ!頑丈ですねぇ〜!!」


「流石ですね。流れ石ですね、ジ・ハンドレッドくぅ〜ん!!」



散弾が着弾した、ジ・ハンドレッドはッ!

数多の弾丸、体躯に撃ち込まれるモノも!!


不動の如きに立ちて居(お)り!

仁王の如き瞳にて!マッチョ虫男を睨みつけるッ!!


  だ


  が


  !


「イヒ!イヒ!けど、君は避けられない。だって君の後ろに居るのは・・・!!」


  ッ


  ッ


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


「ゴング前に奇襲・・・。」


「赤ん坊を引き取ろうとしたのが仇になったわね、ハンドレッド。」


ハンドレッドがその後ろ!

包帯だらけのその女!レディ・ミィラが其処にいたァー!!

マッチョ虫男がこう言い放つゥー!!


「イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!」


「私は何発も撃つモノねん、とっても精力的なんですぅ〜、 僕 ち ん ッ ッ ! ! 」



そして、観客(狂者)共が狂気に乱舞!!


「「「うひょぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!赤ん坊と思ったら、散弾銃(ショットガン)!!こいつはびっくらこいたァーッッ!!!」」」


「「「見てぇなぁ。無力な女が撃ち殺される様ァ〜!!」」」「「「でも、ハンドレッド庇うんじゃね!!?」」」「「「それはそれでオモシレェー!!!」」」


「 「 「  も っ と や れ 虫 男 ォ ー ゥ ! お 前 ホ ン ッ ト に 、 暗 く て 卑 怯 だ ぜ ぇ ぇ え え ! ! !  」 」 」 


  ピ


  キ


  ィ


「イラっと来るわね。どの位掛かりそう?ハンドレッド」


ハンドレッドは答える。


「3分と言ったトコロであるな。」


レディがこう言う。


「チキンラーメン二つ作っとけば良かったわね。」


ハンドレッド。


「ならば6分後に、食すとしよう。」


レディ。


「キマリね。仕留めてらっしゃい、ハンドレッド。」


ジ・ハンドレッド!!


「言われるまでもない。」


 ジ


 リ


ハンドレッドがジリジリと歩み寄るッ!!


 ジ


 リ


虫男へと歩みて寄るゥーッ!!



ド ッ ッ パ ァァ ァ ア ア ア アアアアア ア ア ア ア ア ン ン ! ! !



最中、散弾銃(ショットガン)が幾度となく幾度となく撃ちては着弾するがァー!!



ド ド ド ド ド ドドドド ドドド ドド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド


「イヒヒヒヒヒヒ!」

「そうゆうもんだ、みのもんたぁん。」

「大型の猛獣を散弾銃(ショットガン)じゃ仕留められないようにね、イヒヒヒヒヒヒ!」


そう!仕留められないッ!!

身長210cm体重145kgを誇る、巨岩を人型に刳り抜いたが如くの大男ッ!!

それが『ジ・ハンドレッド』であるのだ!それが後の『耐撃の百文字』であるのだーッ!!


 ジ


 リ


ハンドレッドがジリジリと歩み寄るッ!!


 ジ


 リ


虫男へと歩みて寄るゥーッ!!


「イヒヒヒヒヒヒ!」

「あらあら♪おやおや♪それからどんどこしょ〜ん♪♪」

「そうやってジリジリと近付く度にですねぇ・・・♪」

「ジ・ハンドレッドくぅ〜ん!“私の勝利”も近付くんですよ、イヒヒヒヒヒヒィーン!」


ニヤニヤと嗤うマッチョ虫男ッ!

赤ん坊(ショットガン)の手足を掴み、右太ももに内蔵された“引き金(トリガー)”を引き続ける。

散弾される銃弾。にも関わらず前進をする獲物(ジ・ハンドレッド)・・!!


 ジ


 リ


ハンドレッドがジリジリと歩み寄るッ!!


 ジ


 リ


虫男へと歩みて寄るゥーッ!!



ド ッ ッ パ ァァ ァ ア ア ア アアアアア ア ア ア ア ア ン ン ! ! !



最中、散弾銃(ショットガン)が幾度となく幾度となく撃ちては着弾するがァー!!



ド ッ ッ パ ァァ ァ ア ア ア アアアアア ア ア ア ア ア ン ン ! ! !



最中、散弾銃(ショットガン)が幾度となく幾度となく撃ちては着弾するがァー!!



ド ッ ッ パ ァァ ァ ア ア ア アアアアア ア ア ア ア ア ン ン ! ! !



最中、散弾銃(ショットガン)が幾度となく幾度となく撃ちては着弾するがァー!!



 ー 残り5mのトコロでぇぇぇぇぇええええええええええええええええ!!!!


      グ


      ル


      ン


 ー 赤ん坊(ショットガン)を前転半回転をさせぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!


      ズ


      ン


 ー 赤ん坊(ショットガン)の後部(股間のソレ)を突きてだしぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいい!!!!


      ポ


      チ


 ー 赤ん坊(ショットガン)の目玉(スウィッチ)を押す事によりてぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええ!!!!!


      ジ

      ャ


      キ

      ィ


      ン


      !


 ー 赤ん坊(ショットガン)から勃起(ニードル)が出たァー!太くて硬い『針刃(レイピア)』と化したァァァァァァァ!!!!!!


      ッ


      ッ



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


「イィヒィーン!イヒイヒ!イヒヒヒヒィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンン!!!」


「これぞ『勃起針(エレクトロ・ニードル)』なんですぅぅぅぅぅぅうううううううううう〜〜〜!!!!!!!!!」


「狙いは正中線ですぅ〜!もしも避ければ『女が死にます』ゥ〜ん!!イヒヒィ〜ンン!!」


「ジ・ハンドレッドくぅ〜ん!! 詰み(チェックメイト)ですぅねぇ〜ん、イヒヒヒヒヒヒィィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンンン!!!!」


      ダ


      ッ


      !


そして、マッチョ虫男が一気にも一気にも!

ジ・ハンドレッドを刺し貫きに掛かったァー!!


  ・
  ・

  ・

  ・


  ・


「レスラーへの賛歌 その9・・・ッ!!」






・・・・







確実な事は『避けられぬ“間合い”』である事。

避けられぬ『“訳(後ろ)”』がある事。そして狙いは『“中心線”の「ど真ん中」』。

何処かは当たろう。何処かは刺さろう。その後、二の手、三の手と手数を用意している。

盤石の布石。腹を支点とした、確かな構えにて『勃起針(エレクトロ・ニードル)』が、ジ・ハンドレッドに襲いて掛かるッッ!!!



 ブシャァァァアアアアアアアアアアアアア ア  ア ア ア ア ア ア ア  ア  ア ア ! ! ! ! !


   否


   ァ


   !



 ズ ド ォ ォ ォ ォォ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ! ! ! !


(刺さってません?) (何故です?) (何故ですぅん?)

 (頭に“肉”が覆いかぶさっている。) (私の動きはそれで制御??)

(ズドォォォォオオオオオオン!) (あれ、仰向けに倒されて・・・・!!?)


  ッ


  ッ



ド ド ド ド ド ドドドド ドドド ドド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド


「知らぬのか虫男よ。」

「古来より『突進(タックル)』とは。」

「『覆い被さる事“波の如し”』。如何に獲物持つだとて!」

「その基礎事実に変わる事は無いッッ!!!」


  ー そう!それは『レスリングの理(ことわり)』


    基礎中の基礎!攻撃の第一手!!


   “タックル”仕掛け『相手倒す事から始まる“数多の技々”が存在すると言う事ッ!!』



  ー 故に“防御策”もまた『“確立”されており!!』


    必然として、突進した虫男の攻撃は『 防 が れ た ッ ッ ! ! 』


    恵まれた体躯!20cm上の身長にて、覆いかぶさる事により 攻 撃 を 防 い だ の だ ! ! !


  ー そ し て ッ ! !



 ズ ド ォ ォ ォ ォォ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ! ! ! !


(間髪入れず『膝蹴り』が『“虫男の顔面”』に突きささるッ!!さしものこれには、マッチョ虫男もぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!)



「 『 イ ヒ ィ ィ ィ ィ ィ ィ イ イ イイ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イイ イ イ ン ン ン ン ン ン ! ! ! !  』 」



絶叫と共に“仰向け”に倒されたァーッ!!


「ワシは捧ぐるッ!

 『革命戦士』と呼ばれた、ハイスパート・レスリングの第一人者へと、

 こ の 『 サ ソ リ 固 め ( SCORPION DEATH LOCK ) 』を ッ ッ ! ! ! 」



・『サソリ固め(さそり・がため)』



 倒れている相手の両足の間に『右足』を入れ、相手の左脇腹の横へ踏み込み、
 相手の両足を膝でクロスをさせた後、相手の右足を自分の右腕でロック。

 右足を軸にして反転 (ステップオーバー) をし、相手をひっくり返し『腰を落とす!!』

 掛けられた相手の姿が『サソリのように見える』事からこの名が付いた!!
 完全に極まれば相手の「足首」、「膝」、「腰」が締め上げられ、また「気道」や「横隔膜の動きが」制限されるため、
 相手を『窒息』させる効果も併せ持つッッ!!

 故に、必殺の技ッ!

 フィニッシュ・ホールドとして使用される事が多い!!

   ッ


   ッ


「 『 イ ヒ ィ ィ ィ ィ ィ ィ イ イ イイ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イイ イ イ ン ン ン ン ン ン ! ! ! !  』 」


再び、虫男は絶叫を挙げた。

ミチ・・・ミチミチ・・・ミチミチミチ・・・・!!!

絞り。絞り。絞り上げれる己が『腰骨』。ミチミチと肉が捩じ曲がる『狂気の狂音(メロディ)』が奏であげられて行く・・・・!!!


万力の様に万力(ばんりき)に。

ペンチが如くにガッチリと。

歯車が回る様にガチガチリと確実にそれは反り返って行き・・・!!


 ヴ ォ  ボ ォ キ ィィィ ィ イ イ イ イイ イ  イ イ イイ  イイ イイ イ ッ ! ! ! ! ! !


  ッ


  ッ


  ッ



「 イィィィイイイイイ〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜〜 〜 〜 〜 〜  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ッ ! ! 」


絶叫!声枯れてまで息を吐き続ける『痛覚』ッ!!

それは溶解した鉄筋を、腰骨に流し込み続けられるが如き、熱と痛みの『コントラスト』ッッ!!


そして、ハンドレッドはトドメの一撃を放ったッ!!


「レスラーへの賛歌 その10ッ!!」

「ワシは捧ぐるッ!

 『千のサブミッションを持つ男』と呼ばれた、マゴメトハン・ガムザトハノフへと、

 こ の 『 首 極 め 腕 卍 ( 変 形 フ ロ ン ト ス リ ー パ ー ) 』を ッ ッ ! ! ! 」



・『首極め腕卍(くびきめ・うで・まんじ)』


 向かい合った相手の右脇に左腕を差し込んで、右手で相手の左腕を背中のほうに折りたたむッ!
 それから相手の左手首を左手でつかみ直し、右手で相手の右手首をつかみッ!!

 相手の首をフロントネックロック(立ち首折り)の要領で抱え込んで背中を反って頚動脈を絞め上げるッ!
“ロシアの狼”と呼ばれたヴォルク・ハン(本名 マゴメトハン・ガムザトハノフ)のオリジナルサブミッションッ!!


  ッ


  ッ


 ミチ・・・ミチミチ・・・ミチ! (再び奏でられるッ!)


 コキコキゴゴキ・・・・!! (『狂気の狂音(メロディ)』ッ!!)


  ッ


  ッ


 ゴッッ ッ ギ ュ アァ ァァァアアア ア ア ア ア ア ア アア  ア ア ア ア ア ! ! ! ! !


鈍音と共に、マッチョ虫男は口から大血を吐き・・。

二三度ヒクついたと思ったら、そのまま動かなくなった。


圧倒的有利。重火器まで使用した男の下衆な末路。

幾度となく捻じ曲げらた『狂気の狂音(メロディ)』を奏であげた者の醜い死に様が、今、目前で繰り広げられていた。





            ・

            ・

            ・

            ・

            ・




  ー マッチョ虫男 男 年齢 39歳

    必殺技 赤ん坊(ショットガン)、勃起針(エレクトロ・ニードル)



           ・・・ ・ ・ ・ ・ 『  死 亡 。 』






ーーーーーー





 ・・・続く。