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インド英雄伝説2 上 『PG隊最大の危機!?』


インドのとあるホテル内のレストランに男女がいた。
整った顔の上に濃い化粧をした西洋人の男、聖女を思わせる雰囲気を纏った大柄な色黒の女。
彼らが何者かを知らぬもの達が見れば劇の撮影かと思うだろう。

「アンドレ、どうしても駄目なの?」

黒い肌の美女が男に問う。その顔には焦りが浮かんでいる。
それに答え男は…、アンドレ・ボンヴジュターヌはテーブルにバン!と力強く手を付き、厚化粧の顔を女の目の前にまで近づけ嫌らしさたっぷりの顔で再度拒絶の返答をする。

「ノンッ、ノンッ、全てにおいてノ〜ンッ!!フェミー、貴方は良い友人だけどこの件については今回で完全にラ・フィィン(終わり)!
これ以上引きのばす事はインポッシブルト(不可能)なのですよ!」
「お願い、融資へのお返しはいつか必ずするから」
「何と言われようとノンッ!我が家の資産も無限にあるわけじゃないのですよぉ〜。フェミー、私はそうやって情に流され続け切るべきものも切れず
破滅していくアンウィドゥ(お間抜けさん)な貴族を知ってます。PG隊なんていう役に立たない組織の為にお金は出せないのですよ。
私にメピリス(軽蔑)されたくなかったらこの話はこれ以上しないで欲しいですねぇ」

フェミリアとアンドレの出会いは今からかなり前、まだ二人の父が健在だった頃まで遡る。
当時フェミリアの父ライブ・ハーゼンは資金を調達する為様々な人物に融資を持ち掛けており、フランスの英雄と呼ばれていた
ヴァルル・ボンヴジュターヌからは毎年かなりの額の融資を受けていた。
その事もあり、アンドレとは幼い頃から何度か顔を合わせている。

フェミリアには人生の師匠となった親子がいる。精神感応の修行を付けてくれたマッハ親子、
そして共にいた時間は短いが聖女を演じるが為の高貴な振る舞い方の参考となったボンヴジュターヌ親子もまたフェミリアにとっては第二の師匠だった。

だが、蜜月の時は突如終わっていく。ヴァルル・ボンヴジュターヌの出奔、ボン・マッハの暗殺と同時にネール・マッハが行方不明に。
そして父ライブ・ハーゼンの病死。瞬く間に自分とアンドレ以外の全てが消え去った。
さらに今日、ボンヴジュターヌ現当主であるアンドレにより二家を繋いでいた融資、―かつてはガンダーラを我がものにする為の野望達成の為に、そして現在は
PG隊の運営に当たられていたそれ―も終了を告げられたのである。

(ちなみにヴァルルもアンドレもこの融資のPG隊設立以前の用途は正しくは知らされてはいないでいる。
いくら恩人であろうと「実はこの融資でインドを征服するつもりなんですよー」なんて軽々と言える訳がない)

「では、アデュー」
「まって」

席を立とうとするアンドレの手をつかむフェミリア。
そして、なんとか融資を止めさせないよう彼女は飛んでも無い事を口走る。

「アンドレ、さっきあなた言ったわよね?友のためとはいえ役に立たない部隊への融資は出来ないって。
この目で実際にPG隊を見てもいないのにどうしてそんな事言えるの?」
「ハッ、役に立つとでもいうのですかぁ?あの低スペックの象さんが」
「ええ、素晴らしいものを見せてあげるわよ」


【三日後、PG隊会議室】

「と、言うわけでフェミリア前隊長の親友であり我々のスポンサーの一人でもある
アンドレ・ボンヴジュターヌ中佐率いる
飛鮫騎士団と我々PG隊の交流試合が組まれる事になったんですよー。結果しだいでは融資が切られるそうですから頑張りましょうねー」

PG隊隊長であるスガタ・オードリーの発表により対戦を知らされた隊員達から口ぐちに無理だと声が上がる。
これは隊員達がヘタレだとかではない。

6型に匹敵するスペックに加え飛行能力まで持ち量産機動兵器最強候補とも名高いグラニMを駆り日々アムステラと戦い続ける騎士団。
対してはカタログに給水車と書かれているピンクガネーシャでたまに正規兵の後ろから放水で戦うPG隊員。
グラニの生みの親であるクレア博士は女小十郎の異名を取る天才であり数々のスーパーロボットを作り上げ成功してきたし美人。
ピンクガネーシャの生みの親である故ライブ博士はスーパーロボットでの貢献は無く、他国の研究者との技術差を埋める事も出来ず
量産機の為のバトルAIすら満足に作れなかったカッパハゲ。
わーお、これ勝ち目どこ?フェミリアも苦し紛れにエライ事してくれたもんだ。

「はーい、皆さん質問はある時は挙手でお願いしますよー。
勝てないだろとかいう文句はスガタじゃなくてフェミリアさんに言ってくださいねー」
「じゃあ質問っす」

PG隊一番の若手、ついこの間めでたく正隊員になったばかりのアナンド君(19)が挙手し質問する。

「普通は軍の資本って国からの税金でバクシーシされてる(賄われる)ものですよね?
お金持ちの貴族が手を引いても別に問題はないんじゃないですか?」
「んー、さすがお金には真面目なアナンド君ですねー。いい質問です。
それじゃあその辺を踏まえてこちらのフリップを見てくださいー」

こんな事もあろうかととばかりにピンク色のフリップを取り出し机の上に立てるスガタ。
フリップにはPG隊の資金の出所について書かれてある。

『本年度PG隊収入分類別割合』
・防衛費 約90%
・フェミリア・ハーゼンの聖女的活動収入約7%
・ボンヴジュターヌ家融資金約3%

「3%ならなんとかなりそうっすね、つーかフェミリア前隊長すっげ」
「彼女は凄いんですよー、元男だった事を知っても未だ支援者が結構いるらしいんですねー。
それでCDを出したり、ガンダーラのある寺院や他国で慰安活動を行ってカンパを集めてるみたいですよー」
「あっ、聞いた事があります。確かスーパーロボットの掌に乗って歌ったりしてるんですよね」
「その話はその辺にしてと、こちらがフェミリアさんの作って来た3%分の
予算減をなんとかする方法ですよー」

2枚目のフリップが後ろから登場。それには3%分の予算が減ったらどこを削るかが書かれたフリップだった。
ただし各項目にはピンク色のテープが貼られておりまだ内容は見えていない。

「収入減後の一つ目の無駄省きはこちらー」

スガタが一番目のテープをめくる。「定食のカレーピラフセット廃止」という文字が出て来た。
途端アナンドを始めとする若い男性隊員の目が真剣になった。

「二つ目ー」

「オーディオ装置買い替え見送り」の文字が出てくると眠そうな顔をしていた壮年の男性隊員の目にも光が宿った。
マニ・バーシャ、PG隊の整備班長であり音楽を愛する男である。

「そして、最後にこれで3%削減達成ですー」

「ピンクの塗料使いすぎ、控えるべし」の文字が出る。一瞬間を置き、

「出来ませんよこんなの」

ピンク大好きの余り隊内をピンク一色に染めて来たスガタが冷めた声と共にフリップをパキンと真っ二つに折る。

「皆さん、フランス貴族に目にモノ見せてやりましょうか」
「オオー!!」

会議室の外の廊下まで響く士気の上がる声にフェミリアがほくそ笑む。
予定どうり皆やる気になってくれた。まず最初の条件はこれでクリアだ。
後は何とかして勝負になるようにせねばならない。


イン英伝2・中『ありえない動き』に続く