――戦争の話をしよう。
――茶色い戦争の話を。
五年前の、あの戦争を!
星を見ていた。緑色の円に、ちりばめる様に砂色と水色の歪な水滴を落としたような星を。
そう、それは緑あふれる星だった。
宇宙船の透過壁から見えるそれは、闇色のベルベットに一つ落とされたエメラルドの原石。見映えるそれは白い雲のヴェールをまといながらも、酷くまぶしくティカには見えた。
初めての外の世界。見るもの全てに感慨を覚える。空の色を知ったのも、緑の香りを知ったのも、ついこの前のことだ。
視線は自然にあたりを見渡す。箱庭の外の世界、そのすべてを。
「姉さんったら、まーた上の空だねェ。食い入るように見ちゃってまー、はしたないったらありゃあしない。飽きないものなのかなー?」
そこには、四人のハイヌウェレがいた。二十四人いる姉妹のうち、ティカ――すなわち女王蜂である自分と、筆頭である次女から四女。もちろん、軽口を叩いたのはその中の一人だ。
この四人はそれぞれが秀でた教官を持つため、戦略面という観点においては他の妹たちとは比べられない知略をもっていた。
ガフを師に持つ"長女"ティカは全面的な戦略と、相手の行動をいち早く見破るための反応力。"次女"アトロスは人心を巧みに利用した策略を得意とするパリサ大尉から、敵味方双方の精神面でのコントロールを得意としている。"三女"や"四女"も同じく、純粋な戦闘力以外の面を得意とする将校を師としている。
例えるならば、総指揮権をもつティカはヘルパーT細胞、間接的な攻撃を得意とする三人はB細胞、そして残りの姉妹たちはナチュラルキラーT細胞といったあたりか。
免疫系という狭い世界でたとえるには、戦争というものは複雑で難解なものだろう。だが、それぞれが司る役割のみを考えれば、これがもっとも当てはまるたとえに違いない。
「星を愛でる事に飽きなどという低俗な感慨はないと思う。何を楽しむかは、その当人が決めることで、他の誰かに言われて改める必要も無ければ義理も、無い。付け加えて言うなら、理由付けや説明も要らない。そこにあるのは、ただの感情だけ」
「ラケシスぅー、そーゆーヘンテコな理屈を言わないでさぁー、もっと気軽にぱぁーっと楽しい事考えておこうヨ。あんたってば、難しく考えすぎだってば」
何も考えていなさそうな"次女"アトロスがいう。相手を問わずに絡みたがるのは彼女の特徴だが、その裏には相手の性格を推し量るために行っている事をティカは知っている。
不必要なまでにべたべたとされた場合、人は本音を言いやすいし直情的な行動に移りやすい。そういった、相手を逆撫でする言動によって観測し、対策を立てるのがアトロスの得意の手だ。
もっとも、その作戦とは関係なく、彼女は常日頃からベタベタと付きまとってくる。もはや、性癖の一種だ。
「しっかし、あのユリウスっつー宰相さんも無茶なことやってくれるネェ。いっきなし、新型機体押し付けて一番隊に名指ししてくるなんて、冗談きっついよ」
「ユリウス様でしょ、アトロスちゃん」
たしなめるのは"四女"クロト。おっとりとしながらも凛とした佇まいをしている彼女は、ティカよりもよほど姉らしい。不可思議なまでにニコニコとしているティカに比べ、こちらはふわりとごく自然に笑う。もちろん、喜怒哀楽の感情もきちんと表現するので、不気味さもない。
これほど外見は似ていても、内面に隔たりがある姉妹も珍しい。それもそのはずだ、彼女たちは同一の遺伝子を持ちながらも、その環境……教育者がまるで異なるからだ。
同じものの下、同じ教育を受けたほうが統一は取れるだろう。だが、アドニスはその意見を無視してこう言い放った。
――同一の機能を持つものが多数そろえば、同一の弱点で全滅する。
――高い性能をすべての個体が保持するのはいいが、それの振り回し方は異なるほうがいい。
そしてもう一つ、明かされていない"第三の理由"もあった。が、それはまだ誰も知らない。
誰も。
「まあ、確かに唐突すぎてこまっちゃうわね。ガフ大佐も二つ返事で飲んじゃうし」
「そーそー、ガフおぢさんったらホント困っちゃうよねェー。新人だからダメだってことわりゃいいのにさぁ」
「マスター・ガフにも考えがあると思う。現に自分の隊を副官に任せ、コチラの隊を総指揮すると言っている。これは予測だけど、何らかの思惑があっての行動に違いない、私はそう判断しているけど」
一番隊の任命、それは新兵に与えられる名としては非情に重い意味を持っていた。
本来、ガフが率いる部隊は四つの構成があった。それぞれ威力制圧のガントレット隊、拠点防衛のアルバレスト隊、強行突撃コルセスカ隊、高速機動のセスタス隊といい、それを組み合わせた多面的な戦闘を得意としていた。その中でも一番隊とは、最も重要な役割を与えられる最強の駒の名だ。
だが、その名を奪った部隊がいた。ハイヌウェレ隊――突如として現れた、過去の経歴や隊員の詳細が不明の少女たち。
一番隊の名をかけて競い合ってきた彼らが、憤慨しないはずが無かった。
「もし嫌がらせなんかされちゃったら、困っちゃうわね」
「ま、なるようにしかならないんじゃないの? どうこう言ったって、何かできるわけでもなし」
事実、彼女たちには何も出来やしなかった。
戦績もない文字通りの新兵、それも不気味なまでに瓜二つな二十四人の娘。すでに他の部隊の裏ではさまざまな憶測が飛び交っている。寝技でガフ大佐を虜にしただとか、媚を売って入り込んだお飾り部隊だ、などなど。
彼らは何も知らない。彼女たちが、果たして"何"であるかを。
「言いたい人には言わせておく方向で。私たちは結果で彼らを黙らせればいい、そうマスターも言ってたから、そういう形にしておいてね。アトロス、挑発とかは禁止だから」
ぽつり、ティカが振り向きながら言い放つ。話には加わっていないが、きっちりと話題は耳にしていた。
へーい、とやる気の無い声でアトロスは答える。不遜な態度にも取れるが、いつもの事なので無視する。
無視ができないのは、次の言葉だ。
「ンでもさぁ、こぉー…敵愾心とか持たれて足引っ張られちゃったら困るヨねェ」
「確かに、余計な手出しをされて此方に不利益を与える可能性は高い。ガフ大佐も上官とはいえ、部下全員の懇願を完全に無視するには、その任に徹し切れてはいないと予測される」
仲間同士のいがみ合いによる自滅。それを危惧していた。
歴史上、大国はさまざまな派閥によって成り立つ事が多い。特に、巨体であれば巨体であるほど乱立し、計略や暗殺などで互いを食いつぶし、やがてその体である国家もろとも崩壊することがある。
彼女たちと他の隊の溝は広い。戦地の真っ只中で見捨てられたり虚偽の連絡を与えられ壊滅的打撃を受ける可能性は、決して低くはないのだ。
この不仲をどうすればいいのか……。三人は"姉"に問う。
だがその答えは――
「うわぁ……姉さん、黒いよ。驚きの黒さだよ、それ」
にこにことしながら平然と、味方の死を願うような事を言う姉に、アトロスは過剰に引いてみせる。もちろんそれはポーズで、内心ではははあなるほど、そういう使い方も人戦略の一つか、などと感嘆していた。
人に見えても、成人に見えても。
彼女たちはヒトデナシで子供だ。
子供というのは残酷だから、自分の嫌いなものにはこれ以上ないほど冷徹になれる。それが彼女たちの強さの一つだ。いやむしろ、人ではないという認識からくる"強かさ"なのかもしれない。
「ンでも、もし成功しちゃったらどーするのさぁー。他の兵隊みなさーんだって、素人じゃないでしょ? 連戦連勝続いちゃって、うちらお暇の真っ最中になったらどーするのさー」
だので"死なせるもの""捨て駒"のつもりでアトロスは疑問をぶつける。大事なのは自分たちであって、こちらを嫌っている"あちら側"の人間ではないのだ。
「問題はない。私たちは別段勲章を欲しているわけでもなければ立場が欲しいわけでも無い。むしろ被害の無いまま任務を終えることが出来るので、好都合ともいえる。そういう意味では、四部隊には頑張ってほしいものがある。……アトロス姉さんは、戦場に出たいと思っている?」
「んー、別にぃー。まぁせっかくだから一度くらいはやってみたいけど、どぉでもいいやー」
冷静に分析するラケシスにきゃっきゃと抱きつきながら、アトロスはさらりと告げる。
興味は多少なりとあるのだろう。教育の成果を発揮するにはまたとないお披露目の舞台だ。
だが、それは必ずしも今で無ければいけない、というわけではない。不当な対応だと憤り、自分たちの有能性をガフに示そうとしている四部隊の兵士たちとはそこが違った。
肩書きを欲さないハイヌウェレとしては、滑稽にしか見えないが、人とはそういうものなのだろう。
争う事が好きで、競い合うのが好きで、自分が勝つのが好き。
彼女たちは人間を、そう評価している。
「けど、アドニスさんが付いて来てますし、多分途中からはでるんじゃないかしら?」
「あー……うーん、まぁあのおネーちゃんなら言いかねないね、出陣させてデータを取らせろって。ま、いいんでないの? そんなに重要じゃなさそうな場所に回されて、適当に相手を――ぐっ?!」
くぐもった悲鳴を出したのは、思わず舌を噛んだせいだ。だがそれは、直前に発生した爆音のために耳には届かない。
突然の揺れ。緊急アラームの音。紅い危険信号。
宇宙船に、何らかの飛来物が直撃でもしたのだろうか。ティカは冷静にそう分析するが、しかし実際は予想を上回る最悪の代物だ。
『乗員各員に告ぐ。属星であるグェス惑星の衛星兵器からの超々距離砲台の攻撃に当艦は被弾。動力ユニットの損害が六十五パーセントを上回り、爆破の危険性あり。当時刻をもってして、当艦"目鷹"を破棄。総員、航空降下ユニットに搭乗し、速やかに退避せよ。くりかえす――』
「敵のほうが一枚上手、先制攻撃による牽制ってことね……」
ぺろり、人差し指の第二間接を舐めながら言う。
聞いていた話とはまるで違っていた。聞かされていた内容は、離反の疑いがあるというものだけ。それに、グェス星の人間も一枚岩ではないはずだ。では何故、攻撃されている? いや、そもそも何故敵にこの船の航路がばれていた? いや、それ以前に、まだアムステラとグェスとは開戦もしてないはずだ。では何故、何故、何故だ?
憶測が、疑念が、戸惑いが頭の中を蹂躙していく。
艦内は騒然としていた。
悲鳴、怒号、味方をなじる声。
足音、爆音、あたりが軋む音。
考えろ、いや考えるな。今時分にできることはあるか? 今自分がやらなければいけないことは何か?
過程は捨てて、状況だけを見ろ。
「とりあえず、みんなと一緒に逃げちゃうのが得策じゃないかしら」
特にあわてた表情もなく、さも当然とばかりにクロトがつぶやいた。頭が緩そうな雰囲気をかもし出しているが、実際は姉妹の中でも驚くほどの胆力を持っている。
そのためか、状況の変化を問わずに常に最適な指摘を出せる、訓練では中々得難い判断力を有していた。
「ん……とりあえず、あきらめて逃げないとね」
近くにある脱出路はどこだったろうか。艦内の見取りを脳内で思い浮かべながら、四人は一斉に駆け出した。
Hainuwele #02 Hard Shot
「さぁて、困った困った。どうしたものかなぁ」
さほど緊迫感のない口調でつぶやくが、現実はそう甘いものではない。あれから起動兵器用の降下艇に乗り込み脱出したはいいが、降り立った土地に問題があった。
砂漠ならまだいい。方角さえ間違わなければいいだけだ。
森林ならまだいい。切り開いて進めばいいだけだ。
だが彼女たちが降り立った場所といえば、最悪中の最悪、敵基地近くの盆地だ。せめてもの救いは、あちらも突然の降下艇に仰天し、即時対応ができていないことと、さほど大きな基地では無いという事だけ。
対しこちらの武装はといえば起動兵器"吾亦紅"十体とハイヌウェレ四人、そして便乗した整備兵が二人だ。整備兵に戦闘力は余り期待は出来ないだろう。つまるところ、実質四人分の兵力しか保持していない。
絶望的な状況。彼我戦力差には隔たりがある。
だがティカは――ティカは笑みを崩さない。ニコリとしたまま、平然と言い放った。
「三倍どころじゃない酷い被害うけちゃったし、こちらも反撃しとかないと、ね」
基地の指揮権を渡されているマドラック長官は戸惑いを隠せなかった。突如基地近くの盆地に降下ユニットが着陸したからだ。
彼のスケジュールにはそんな視察の予定は無かったし、第一ここはそこまで重要ではない場所だ。精々がレアメタルの発掘場も兼ねていて、それの輸送のために用意された滑走路や飛空挺が用意されている程度でしかなく、他にめぼしいものなど何一つとしてなかった。
だが彼らは突然現れた。何の前触れもなく、それも滑走路ではなく少しばかり離れた盆地にだ。
彼は無能な男だった。上への指示を仰ぐか、相手方に電信を送るか、はたまた接待用のプランでも急いで組むか、などと躊躇してしまった。
指揮官にはすばやい決断力が必須とされる。なので、彼はまぎれもなく無能な指揮官でしかなかった。
せめて降下艇に連絡を送ればよかっただろう。そうしておけば、基地が半壊する事も無ければ死ぬことも無かっただろう。悲劇を免れる事が出来ただろう。
すべては、遅すぎたのだ。
本部への連絡をせんと、通信回線を開こうとした彼の目にとまったのは、降下艇の壁面にある射出装置から、突如噴出した大量の白煙。盆地はおろか基地周辺にまで達したそれは、まるで迫り来る白き壁。あっという間に一面を白く塗りつぶすと同時に、"それ"は飛び出してきた。
それは、彼が見たこともない機体だった。脚部がまるでダンゴムシのような装甲に覆われ、両手には巨大な盾がついている。紅く染め上げられた装甲が目に鮮やかな、肉厚の体。そして、その凶悪そうな相貌。
がしんがしんと重厚な足音を響かせ、それは駆ける、駆ける、駆ける。
その獣は強大で、凶悪で、そして何より驚くほどすばやかった。
あぜんとしているマドラック長官が部下に指示を与えるよりも早く、それは外壁を飛び越え、着地。地盤が割れる耳障りな破砕音、破砕音、破砕音。時間差を置いて着地した三機の鉄塊は、その着地の衝撃が逃げ切らないうちに再び駆けだす。
マドラック長官のいる、司令塔目掛けて。
「ぬえっ!? ちょ……」
それが、最後の言葉。この世で最後の声。
先頭の一機が盾を突き出して飛び上がり、その総重量と加速によって得られたエネルギー全てを、目前の司令塔にたたき付けた。
――ランクラッシュ。そう呼ばれるこの攻撃方法は、不動直立の物体には恐ろしい破壊力を発揮する。
一撃で、たった一撃で司令塔は脆くも潰れ去った。高さは百メートルを下らないであろうそれは、あっけなくへし折れあたり一面に残骸を撒き散らしながら倒壊する。
あざやかな、騎兵突撃だった。
「……さて、こちらもお仕事始めないと。デインさん、パーキーさん、危ないから攻撃なんてしないで、ずっと防御を固めたまま走ってください」
敵司令塔の壊滅を確認した瞬間、ティカは整備兵二人に命令を下した。その声を聞いた二人は、やや緊張した表情を浮かべたまま"吾亦紅"を動かす。
整備後の調整のために試運転をやったことはある。だが、実戦で、それも敵陣地にて走る事は初めてだ。ぎこちなさのある動きだが、それでもまあ、なんとかなるだろう。
作戦は単純なものだった。先行したクロトがまず司令塔を叩き、追従したアトロスとラケシスが倉庫や施設を破壊する。三機はそれぞれ散開し離れて戦い、敵を釣りつつ飛行ユニットを爆破する。そうして隙を計らい、ある程度の敵を引き連れた瞬間、整備兵たちの乗った"吾亦紅"二機が中央を突貫し一気に北上する。
敵はもちろん煙幕から現れた二機に驚き、そちらにも迎撃の手を回すだろう。そうすれば先行した三人への包囲網も緩くなる。その瞬間、ティカが援護射撃によって陣を崩してやればいい。
煙幕は敵の行動範囲に制限を与える事と、二機を覆い隠すための布石だ。さらに付け加えるならば、二機が飛び出した後なら、さらに何体出てくるか予測がつかないと敵も警戒するだろう。打ち止めとは知らない彼らは、どうしても注意の目を向けてしまう。無意味とも知らずに。
非常に効果的な方法だった。もちろん言葉にすれば単純な策だが、実行するにはリスクが高い。三機だけの突撃で本当に大丈夫なのか。敵が闇雲に砲撃してこないか。不安は数多くあった。
だが、賭けに勝ったのは彼女たちだ。運に左右されたとはいえ、彼女は決して無能ではない。
無能者と有能な指揮官の戦いは、至極あっさりと決着がついてしまうものだ。
三機の"吾亦紅"は敵の出鼻を挫くように、撃つ、撃つ、撃つ。エネルギータンクを、荷が詰められた倉庫を、今まさに出撃しようとした迎撃の敵を、撃つ。
あえてこの作戦に選んだ獲物は――ミサイル、そしてロケットランチャー。特に攻め手の少ない現状においては、誘爆による連鎖爆破が最も有効、かつまだ起動兵器に乗り込んでいないパイロットを焼き殺すことが出来る効果的な攻撃だ。
あたりは瞬く間に炎に彩られていく。朱の地に、焔を散すのは紅の機体。まるで灼熱地獄のようだ。
だがその地獄にも蜘蛛の糸があった。一面焼け野原となりつつも、ただ一本の道だけが決して燃え上がることなく残っている。
北への一本道、脱出経路への最短距離。
時期を待ち構えていた二機はティカの指示と同時に、我先にと飛び出す。その手には武器を持たず、ただ盾だけを構えて全力で走る。阻む敵はいない。向かう事もできない。
先に突撃した三機と、そして――煙幕を張ると同時に空へと飛び上がったティカの機体が、その手に持った銃で敵を撃ち貫いている。
飛翔用の追加装備を付けた"吾亦紅"は、蓄積電力の強大さから長時間の飛行が可能となる。ティカはそれを利用して、全体の戦力を見定める目と、強力なバックアップを担当していた。
ロングレンジライフル・カスタマイズ仕様アサルトモード。放たれた弾丸は一片の狂いも無く、敵機体の眉間――カメラアイを容赦なく貫く。
撃つ、撃つ、撃つ。照準、射撃、必殺。照準、射撃、必殺。単純な作業は、あっけなく人の命を奪う。あっけない、殺戮の宴。
その一方的な死の宣告は、二機の整備兵、三機のハイヌウェレが離脱するまで続けられた。
彼女の始めての戦場は、地獄のような業火ではじまった。
続く