それは美しい音色であった。
それは力強い音々であった。
それでいて、儚く。
それでいて、切なく。
かのようでいて、狂気に満ちた・・・。
一度でも耳にしたら、忘るる事なんて出来やしない、蒼くも深い『 鎮 魂 歌 』。
ー 邪 曲 ・・・ 。
ー 蒼 い 運 命 の 鎮 魂 歌 ( ブ ル ー デ ィ ス テ ィ ニ ー レ ク イ エ ム )
E E E ( エ ロ イ ・ エ チ ャ ノ バ ・ ア イ ザ ッ ク )
邪曲家(ダークフーゴー)の死体を中心に・・・。
『 半 径 2 0 m 』。
今まさに『圧倒的なるは、 破 壊 の 空 間 』が 生 ま れ ッ !
怪音波、流るるままに、邪 曲 が 、『 織 り 成 さ れ よ う と し て い た ・ ・ ・ ! 』
「・・・ッ!」
デスロイドは、その鎮魂歌(レクイエム)をこう解釈する。
ー 付かず離れずに・・・。
ー 半径10mを破壊射程とする邪曲家(フーゴー)との小競り合いを続け・・・。
ー 機を見る事、逸脱する事無く、敵者2名を撃ちて倒したその直後、故に・・・ッッ!!
「 回 避 不 能 ! 」
デスロイドは分析を続けるッッ!!
ー 損傷を覚悟するのなら。
『電磁フィールド』による『 防 護 』は可能。
だが・・・ッ!
「( 脚部『右』。)」
「( 破損確率100%。)」
ー 先の戦闘。
企業戦機(モビルスーツ)・ジャック=ダグラスが放った、
『柔装甲(ジェルメイル)一点集中における、 左 下 段 の 廻 し 蹴 り 』を被弾した、
『 脚部・右の、 関 節 部 』は・・・ッ!
行動にこそ支障は無いが、如何に電磁フィールドを張ろうとも、
『 圧倒的破壊空間 』とも言える『 この鎮魂歌(レクイエム) 』に対して、
『 耐え得る事が 出 来 る 状 態 で は 無 か っ た ッ ッ ! ! 』
そして、それが意味するモノは『 一 つ で あ る ッ ッ ! ! 』
「( 『 内蔵型爆撃ミサイル弾 ー 004(ハインリヒ) ー 』の、 誘 発 爆 発 ・・・・ッッ!! )」
・
・
・
・
・
・
○『 内蔵型爆撃ミサイル弾 ー 004(ハインリヒ) ー 』
脚部・右に内蔵された『 高性能小型ミサイル弾 』。デスロイド最大の攻撃能力を持つ『 必殺兵器 』である。
直撃すれば自身をも破壊し得る『 爆発力 』を秘める為。「頑強な外殻」「透視機能へのジャミング」「電磁フィールド」・・・等々と。
耐爆と誤爆に対して、二重三重の防護策が張り巡られている。が。
しかし、この場合(ケース)・・!
ー どれも、これも・・・!!
『 その防護(意味)を為さないッッ!! 』
ー そして、最悪なるは『 内部の爆発ッ!! 』
頑強な外殻は元より、電磁フィールドもまた『 内部破壊を 止 め 得 る モ ノ で は 無 く ッ ! ! 』
全 て を 無 と 帰 す 『 誘 爆 自 爆 』と な る だ ろ う ッ ッ ! ! !
そ・し・て ! !
そ・れ・こ・そ、 そ・れ・は ぁぁあああああああああああ あ あ ああ ! ! ! !
「 『 任 務 失 敗 ! 』 」
そう!
それは任務失敗の意味を持つッ!
殺戮を旨とするゴーレムッ!
兵器の人間ッ!!
デスロイドの電子頭脳は『 任務失敗 』との判断を下したのであるッッ!!
ー そう判断をするのならッ!
如何にッ!
如何にッ!!
如 何 に 痕 跡 を 残 さ ず に『 死 す る 事 、 最 優 先 ッ ! 』
ー 元より『闇夜八行衆(アンノーセス)』ッ!
元より『兵器の人間(サイボーグ)』ッ!
死刑囚の身にして、自由其処に無し、死人に口無し、殺戮を旨とするゴーレムは・・・ッ!!
『 不利益な情報を残して死ぬ、 自 由 す ら 無 い の で あ る ッ ッ ! ! 』
「 機 動 停 止 ・・・ 。 」
そして電子頭脳は”不利益な情報を残さぬ為”に『機動停止』の選択を行った・・・!
数秒も満たない内に『圧倒的な破壊の空間』は、鎮魂歌(レクイエム)を奏でながら、己が身を包み、全てを無に帰す誘発爆発へと導く事だろう。
痕跡を残さずに『 死 す る 事 ・・・ ! 』
何一つとして問題は無い。
何一つとして問題は無い。
そう何一つとして。
そう何一つとして・・・。
その判断は概ね正しい。
間もなく、デスロイドは無と化し、塵と化す。
その判断は概ね正しい。
その判断は概ね正しい・・。
だが・・・ッ!
誤 算 が あ る と す る の な ら ・ ・ ・ ッ ッ ! ! !
・
・
・
・
・
・
・
・・・・
○クロガネの賛歌・第3章
ー ギ ガ ン ト 破 壊 指 令 ー 激 闘 ! サ イ ボ ー グ 編ー
第21話「 邪 曲 ッ ! そ し て 、 紡 ぐ は ”生 者 ”ッ ッ ! ! 」
・・・・
機動の停止。
脱力でもしたかのように、ダラーンと下げられたデスロイドの両の腕。
義手を掴んだまま・・・。
エネルギー熱線銃(ロイドガン)を露出したまま。
力無く下がった両の腕。
だが・・・。
摩訶も不思議な事に。
その姿から連想されるモノは・・・。
死の直前を予感する、蛇に睨まれた蛙の如き、
絶命の瞬間をただ待ちうるのみと言う『 絶 望 的 な 虚 脱 感 』では無く・・・。
溢るるは『生命力』。
迎え討つは『困難』。
見据えるモノは『その先』。
そして・・・!!
『 生 へ の 渇 望 ・・ ・ ッ ! ! 』
否(いや)。
アリエナイ話であった。
否(いいや)。
アリエナイ話で、無ければならない。
デスロイドとは・・。
殺戮を旨とするゴーレムとは・・・!
『死刑囚』、または『怪我によってもう戦場には戻れない者』の『 肉体を 素 体 し 、作りだされた 兵 器 の 人 間 』で あ る !
ー 記憶、感情すべてが取り去られている。
ー 体のいたるところに、数多くの内蔵武器を搭載している。
ー 性能テスト兼、他のメンバーの戦闘データを取るため開発者の意向で八行衆に加えられている。
ー 強化人間開発とほぼ同時期に行われた『兵器人間(サイボーグ)計画』で作られた『 試 験 体 』・・・。
人間らしさ、生物としての意味合い、生きる事の素晴らしさ、その全てから『かけ離れた 殺戮を旨とする ゴ ー レ ム 』が・・・。
ー 『任務失敗』と判断をし、『機能停止』を採択したにも関わらず、
その身に溢るるは、無機質な『塊(かたまり)』では無く、生命力に溢るる『 魂(たましい) 』の 権 化 ・ ・・ ッ ! !
「 ・・・ッ! 」
電子頭脳は『機能』を取り戻し!
そしてこの現象を、否定する事無く『 ありのままに受け止めた!! 』
IF(もしも)・・・。
もしも、邪曲家(フーゴー)の戦闘方法が、データで測られるモノであったなら・・・。
IF(もしも)・・・。
もしも、教授(EEE)の最期が、死に恐怖をした無謀な行動と括れるモノであったのなら・・・。
闇夜八行衆(アンノーセス)”殺戮ゴーレム”たる、デスロイドは、
このような判断をしなかったであろうし、する意味すらも持たなかったであろう。
だが・・・!
今のデスロイドは『知り得ていた・・・!!』
それは!
『 人間とは! 』
『 生きとし生ける者とは! 』
『 例えその身を”機械化”させようともッ! 』
『 困難に立ち向かい!
勇気を持って、乗り越えていく!!
溢れんばかりの、エネルギーに満ちた ”奇 跡 の 存 在 ” で あ る と 言 う 事 を ッ ッ ! ! ! 』
そして、デスロイドは『 こ う 理 解 す る ! 』
「 (これは体躯の慟哭。) 」
「 (それは体躯の欲求。) 」
「 (体躯は望まない・・・。) 」
「 (機能の停止を・・・!) 」
「 (『 再び死するその事を・・・!! 』 ) 」
ー そうだ!
体躯は、こうと叫んでいた!
その細胞達は、こうも唸っていたのだ!!
”大脳が死にたいって、命令したって・・・ッ!”
”か弱く心臓が、鼓動を止めそうになったって・・・ッッ!!”
”体躯(おれたち)はッ!” ”細胞達(おれたち)はッッ!!”
” こんなにも 現在(いま)を、 生 き て い た い ん だ ッ ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! ”
ッ
ッ
!
この体躯・・!
この細胞・・ッ!
それは、自由を望んだ死刑囚の体なのか?
それとも「まだ闘いたい」と望む、再起不能(リタイヤ)した軍人の体を、殺戮ゴーレムと化したモノなのか・・?
・・・デスロイドは知り得ない!
知り得ない!
知り得ないが『理解』は出来た!!
ー 『 どんなに記憶と、感情が取り去られようとも!! 』
『 体 躯 は ! そ の 細 胞 達 は ・ ・ ・ ! ! 』
『 生 き る 素 晴 ら し さ を 、 忘 れ る 事 は 無 い と 言 う 事 だ ! ! 』
ー そ し て 、 生 き る 素 晴 ら し さ と は
『 現 在( い ま )を 、 生 き 抜 く 素 晴 ら し さ ! ! ! 』
ー 歓喜も!欲望も!!
慟哭も!絶望も!! 知 り 得 な い こ の 身 だ が ! ! !
『 現 在 ( い ま )を 生 き る と 言 う 事 は 、
素 晴 ら し い 事 で あ る と 理 解 が 出 来 た ッ ッ ッ ! ! ! ! 』
何 故 な ら 、 そ れ は ・ ・ ・ ・ ! ! !
ッ
ッ
!
「 『 肩 部 射 出 型 鋭 痺 地 雷 ( マ イ ン ・ パ ラ ラ イ ザ ー ) ! ! ! 』 」
シュババババババババ バ バ バ バ バ バ バ ッ ッ ! ! ! ! !
ー 肩部の球体から、前方!!
幾重にも幾重にも!!
『 電 磁 地 雷 』よ、 射 出 に 連 出 ! !
ー この地雷、特性特異にして、
踏みしめた時に発する、そ の『 爆 発 現 象 』は ・ ・ ッ ! !
体 躯 の 自 由 を 麻 痺 さ せ 、 奪 う ッ ッ ! ! !
ギュババババ バババ バ ! ! !
ギ ュ バ ォォオオオオオオ オ オ オオ ーーーー ー ー ー ー ー ッ ッ ! ! ! ! !
ー 爆発!爆発!爆発!!
爆(ば)ァァク 発(は)ァァツゥゥウウウウーーーーーッッ!!
ー 幾重にも、前方射出した『鋭痺地雷(マイン・パラライザー)』は、
迫りくる邪曲、鎮魂歌(レクエイム)『EEE(エロイ・エチャノバ・アイザック)』の怪音波によって『 爆 発 ! ! 』
『 幾 重 に も 爆 発 を し 、 幾 重 に も 誘 爆 を 繰 り 返 す ッ ッ ! ! ! 』
バォバ”ォ”ババォバ バ”ォ”バ”バ バォオ”オ”オ” ! ! !
オオ”オ”オ” ュ バ ォォオオ”オ”オ オ” オ” オ”オ” ーー ー” ー” ッ ッ” ! !” !” !”
ー そして、巻き起こった『凄まじい爆発力』は、
デ ス ロ イ ド を 吹 き 飛 ば す ッ ッ ! !
ー 特性故、被弾したデスロイドの全身に『 多 量 の 電 流 』が流れた モ ノ も ・・・ ッ ッ ! ! !
「 『 電 磁 フ ィ ー ル ド ! ! 』 」
ッ
ッ
!
バ ” リ ” バ ” リ ” バ ” バ ”リ ” ィ ” イ” イ ”
バ ” リ ” ア ” バ”リ”ァ”ヴ” ァ ”ヴ ” ァ ” ァ ” ア ” ッ ッ ! ! !
ー 電磁フィールドを貼り、『電流を体外に流す事』で 軽 減 ッ !
そして、これまでの挙動(ムーヴ)により、後部に吹き飛ばされた事により、
『多少なりとて、怪音波が達するまでに 猶 予 が 出 来 た ! ! 』
・・・ィィィイイイイイン ( その合間、電子頭脳は思考をするッ! )
ー 身に任すと言う言葉があるが。と。
ー 赴くままに行動をしてみるモノだな。と。
ー 鋭痺地雷(マイン・パラライザー)で受けた電流を、電磁フィールドによって体外に流す。
無記載(ノー・データ)。
こんな動き(ムーヴ)を、自分が起こせるだなんてな。と。
ー そして、これまでの『 挙動(ムーヴ) 』があったからこそ、
次の動作(ムーヴ)が行える。と。
そ れ は ・・ ・ ! !
『 怪 音 波 』が『 空気の振動 』を通じて、迫りくる以上、
『 空 気 の 壁 』を『 突 き 破 れ ば 』、『 事 は 済 み ・ ・ ・ 。 』
そ し て 、 宇 宙 全 域 、 空 気 の 壁、 突 き 破 る そ の 時 は ! !
『 鋭 利 な 先 端 で 持 っ て 行 う 事 を ” 良 し ” と す る ッ ッ ! ! ! 』
『 V i m ・・・ ッッ ! ! 』 ( デ ス ロ イ ド の 両 眼 が 煌 め く ッ ッ ! ! )
『 グ ゥ ・ ・・ ッッ ! ! 』 ( デ ス ロ イ ド が 動 く ッ ッ ! ! )
『 ゥ ゥ ウ ・・ ン ッッ ! ! 』 ( 吹 き 飛 ば さ れ る ま ま 、 体 を『 水 平 』 ッ ッ ! ! ! )
ー 『 頭 部 を 後 方 ! 爪 先 を 前 方 ! !
つまりは爪先を ”怪音波に向け ”、その状態にて ”バ ラ ン ス を 保 つ ! ! ” 』
ー 『 そ し て 、 繰 り 出 さ れ る は 、
デ ス ロ イ ド が ”内 蔵 兵 器 ィィィイイイイ イ イ イ イ イ ! ! ! ! ” 』
ーーー そ ・ の ・ 名 、もぉぉおおお お お お おお お お お お お お お お お お お お おおお ! ! ! ! !
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ッ
ッ
!
ーー「 『 ”変 足 尖 形 ” ダ ブ ル ・ フ ッ ト ・ ド リ ル ! ! ! 』 」 ーー
『ドリル』になったぁぁああああ あ あ あ あ ああ あ あ あ あ ああ あ あ ! ! ! ! !
両脚合わせて、両尖端を『中央!!』
付かずとも離れない、『双尖突起!!』
破っても見せよう、『振動の音壁!!』
準備は全ても、『整ったのである!!』
後 は ひ た す ら 、 ド ド ド ド ド ・ ド リ ル ゥ ゥ ゥ ウ ウ ウ ウ ッ ッ ! ! ! !
ドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリィ!!!
ルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドォォオオオオオオ オ オ オ オ オ オ ー ッッ ! ! !
ー 突き破れッ!突き破れッ!突き破れッ!!
突 き 破 れ ぇぇぇええええ え ええ え え ーー ー ー ッ ッ ! ! !
ー 鎮 魂 邪 曲 v s 二 つ の ド リ ル ! !
振 動 破 壊 v s 物 理 の 壊 撃 動 ! !
ー データにドコロか、有史にすら、有り得たかどうかすら、解らぬ『 衝 突 』だ !
少なくとも『殺戮を旨とする、兵器の人間』に置いて、必要とされなかった『 行 動 』だ !
ー だが、今、己(デスロイド)は、そんな行動を採択している!
だが、今、己(デスロイド)は、そのような行動に『 現在(いま)を賭けているッッ!! 』
ー 現在(いま)を!現在(いま)を!現在(いま)を!!
現 在 ( い ま )を、 生 き る と 言 う 事 は ! ! !
人 間 と は !
生 き と し 生 け る 者 と は ! !
例 え そ の 身 を 『 機 械 化 』さ せ よ う と も ・ ・ ・ ・ ッ ! ! !
ギ ” ャ ” ル ” ギ ” ャ ” ル ” ギ ”ギ ”
ャ”ァ” ア”ア” ル” ギ” ャ” ァ” ル” ギ”
ィ ” ィ ” イ ” ィ ” イ”ィ”ヤ”ァ”ァ” ル ” ゥ ” ウ ” ウ ” ゥ ”
ォ ” オ ” オ ” ォ”オ”ォ”オ” ォ ”オ ” ォ ” ォ ” オ ” ッ ッ ! ! !
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ッ
ッ
!
そ し て 、
そ の 結 末 と は ッ ッ ! ! !
・
・
・
・・・・
シィンとした、その場。
秘密組織QX団が本部・大講堂。
総統『Queen X(クイーン・エックス)』の大声(たいせい)にて、全隊員への『号令』を主旨としていた、その『 廃 墟 』は・・・。
ー 瓦 礫 と。
ー 静 寂 と。
そ し て ・・ ・ ・ 。
『 両の脚にて佇む ”殺戮ゴーレム”デスロイド にて、彩 ら れ い た ・ ・・ ! ! ! 』
その身は無傷では無い。
その身は万全とは言い難い。
だが・・・。
絶命と判断した『圧倒的な破壊空間』を前にして、
『回避不能』の状況に陥った事を考え見れば『 奇 跡 の 生 還 』と言わざるを得ないだろう。
V i m ・・・。 ( デスロイドの両の眼が光る。 )
ー ( 損傷率18.6528%・・・。 )
ー ( 行動。任務遂行に問題無し。 )
ー ( ・・!! )
ー ( ・・・・ッッ!!? )
それは・・・。無意識の行動であった。
無意識が故に、電子頭脳(ずのう)は驚き。
無意識が故に、体躯は、そう『 行 動 を し た 。 』
・・・・・・ ス ゥ 。
そ れ は ・・・・・・。
ーーーーーーーーーー 『 ” 敬 礼 ” ー Salute ( サ ル ー ト ) ー 』 ーーーーーーーーーーーーーーーー
ー 邪曲があった。
ー ゴーレムが邪曲家を止むる時。
ー 決した教授が、曲、紡ぎ・・・。
ー 邪曲は最期の鎮魂歌を、奏で上げた。
そして、その鎮魂歌は、死を悼み、死を惜しみ、死を慰めるモノだけに無くにもて・・・・。
人としての死を迎えた者、兵器として甦った者をも、呼びて醒ましたのである・・・。
そう・・・。
呼び醒まされた者、その名・・・・。
・
・
・
・
・
・
『 闇夜八行衆(アンノーセス)”殺戮ゴーレム” デ ス ロ イ ド 』
「 『 任 務 続 行 。 』 」
デスロイドはその手をおろす。
現在(いま)を生きる事は素晴らしい。
電子頭脳(ずのう)は、それが『真実』であるかどうかなど測りも知れない。
ノー・データ。
兵器の人間として必要としないデータであるからだ。
だが、現在(いま)。
現在(いま)の現在(いま)、デスロイドが感じる事は・・・・。
それは「震える体」と共に躍動をする『 ”生 命 の 咆 哮 ” 』
現在(いま)、自分は『生きているのだな』と感じられた。
それが『素晴らしい事であるな』と感じられた。
ー 素晴らしい。
ー 自分はこの言葉の意味を知らない。
ー だが、この言葉が『浮かびては思い』、
思いては『体躯が震え』、
そして躍動をする『生命の咆哮』を覚えるのだ。
『 生 き て い る の だ な 』と 感 じ ら れ る の だ 。
そ れ が『 素 晴 ら し い 事 で あ る な 』と 感 じ ら れ る の だ 。
ズシィ・・! (デスロイドは歩く!)
ズシィ・・! (デスロイドは歩を進める!!)
ー 任務を続行。
ー 残り2名を削除する。
ー 然る後に更なる指示を受ける為、『かの場所』にて待機をする。
ズシィ・・! (デスロイドは歩く!)
ズシィ・・! (デスロイドは歩を進める!!)
そして・・・。
邪曲にて呼び醒まされた者が、もう”二人”・・・。
・
・
・
・
・
・
・
・・・・
・
・
・
・
・
・
・
感動をした。心が震えた。
予想だとか。想像だとか。考察だとか。策謀だとか。
おおよそ『こうなるであろう』といったモノを超越しきったモノが其処にあった。
これまでの戦況。
推し量れる『侵入者(デスロイド)』の戦闘力。
QX団No.3の戦闘力を持つサイボーグ、企業戦機(モビルスーツ)・ジャック=ダグラスが、
柔装甲(ジェルメイル)を持ってしても打ち倒す事が適わなかった『 絶望にして脅威的な 戦 闘 力 ! ! 』
勝ち得る目など10割無く、如何にして『時間(とき)』を稼ぐか。
その時間(とき)を用いて、如何にして『活路(次の一手)』を見出すのか・・・。
幸いにして、邪曲家(エビルソングライター)・ダークフーゴーのサイボーグ能力は、
長時間の戦闘には不向きではあるが、短時間の戦闘に置いて攻略し難い『歪(いびつ)さ』がある・・・。
また、教授(シナプスアイ)・エロイ=エチャノバ=アイザックのサイボーグ能力にしても、
隙に乗じての一撃が成功し得るならば、僅かながらに『一矢報いる』と言う可能性も無いとも云えぬ・・・。
だが。
結論を言おう。
ー 期 待 は、 外 れ た !
予 想 よ り も 、 遥 か に 短 い 時 間 に て 、 決 着 !
そ し て 、 二 人 は 『 討 ち 死 』に し た ! !
この魔妖香酋長(まようがしゅちょう)・プカハンタの策謀。
銀装隠密(メタルハイド)・オレグレイ=カレロフの『真の覚醒』を望むなら『悲愴的で無様な死』こそが相応しかった。
この魔妖香酋長(プカハンタ)が望んだシチュエーションは・・・。
ー グロテスクで汚らしい死骸を晒す、邪曲家(ダークフーゴー)。
教授(EEE)は、目の当たりした『頼れるナイスミドルの変わり様』に絶望をし、発狂をする。
ー 逃げる!逃げる!逃げる!!言葉にならぬ、喚くちゃ声を発しながら、教授(EEE)は逃走。
だが侵入者(デスロイド)は冷静に。そして無慈悲に、教授(EEE)の脚部を撃ち抜く・・・。
ー 逃げる事も適わず、ズシリズシリと迫りくる侵入者(デスロイド)に更なる恐怖を覚える、教授(EEE)・・・。
その時、教授(EEE)は何を思うのか?
走馬灯に浮かぶモノは何?
こうでありたかったと言う希望?
あるべき日常を想いを寄せる切望?
だが何を望もうと、何を願おうと、侵入者(デスロイド)は止める事は無く、定められた運命の様に『教授(EEE)の顔面』を・・・・!!
・・ ・ ・ ブッッッ シ ャァァアアアアア ア ア ”ア ”アア” ア ”ア ア”ア ア” ! !” !” !”
このような最期。
このような結末こそが望ましかったハズ。
だが・・・。
今の今・・・。
この老婆の胸に去来をするモノ。
それは、実に『熱いモノ』。
既に4名の同志を屠り去った、憎きは侵入者(デスロイド)。
彼奴にすら『敬意』を覚えてしまうのは『 何 故(なにゆえ)に ? 』
ああ・・。
覚えがある。
覚えがあるぞ、同志・ヂェロニモよ。
そうじゃ。
踏み躙られたモノは『尊厳』。
全てはあの日より始まったのであったな・・・。
ー 住む土地を追われ、ようやく手に入れた辺鄙な土地にて『先祖伝来の生活』を送っていた我等が部族。
そうじゃ、ヂェロニモ。
お主の妹と、ワシの息子は『婚約者同士』。
お主の妹と違い、ワシの息子は不細工で・・。
下衆とも言える性格は、決して人から好まれるモノでは無く『釣るし上げられる男』とでも言うべき、ワシの息子を・・・。
お主の妹は・・・。
『 愛 し て く れ た な 』。
そしてあれだけ素行の悪かった、ワシの息子は『みるみるうちに、 変 わ っ て い っ た 』。
きっと二人は幸せになる。
そう思った『矢先の事』であった・・・。
・・・・
二人の婚礼前の話じゃ。
ワシは一族伝来の『祝物』を創る為に。
ヂェロニモと二人で、集落を離れ高山へと向かった。
薬学に長じた我らが部族にとって、最上の『祝物』とされるモノはやはり『 薬 物 』。
下世話な話じゃが『精力増強剤』の元。高山でのみ咲き誇る『薬草』を求め其処へと向かったのじゃ。
そして一月ほどして、ワシ等は山を降り。
思いを巡らすは二人の喜ぶ顔、と・・・。
「フヘラフヘラヒケェー!
帰ったら二人に、『夜もハッソーせいよ』と冷やかしてやろうかのぉ〜〜〜?」
「一口飲めば、WOOFHOFHOOOー!!(ウーフォーフォォォオオオオオオー!!)ってなモンだろーズラ。」
しっかしズラ。おはんの息子ッチも、モノ好きなものズラぜ。
あの口煩い妹のドコが良いズラやら・・・。」
「ヒヒヒヒケケケケー!
ヂェロニモぉ〜〜!!
お主も、とっとと『嫁さん』貰ったらどうなのじゃあ、ハホハホハホヒィイイイ〜〜〜???」
「ウララウララのウラウラよォ、ズラぜェー、婆っつぁん?
大きなお世話ズラぜよぉぉおおお、プカハンタの婆っつぁんっっよぉぉおおー。
HYaーHAAaーー?(ヒィャーハアアァーーー?)」
等々と・・・。
テンションの高い会話を交わしながら、訪れるであろう二人の幸せな時を思いながら・・・。
ワシ等は、集落へと戻った。
ー 其処で。
ワシ等が目にしたモノとは・・・!!
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ー それは・・・。
数多の銃弾を撃たれ、死した『部族の者達』であった・・・!
血の海であった!
叫び声を挙げながら死したのか、大口を開けて絶命をしている部族の者達!!
地獄だ!
悩み多き生なれど、今此処で目の当たりしているモノを『地獄である!』とワシ等は言い放てる!!
次に目にしたモノは・・・!!
ー それは・・・。
それは・・・!!
裸で横たわり!
額の銃痕(キズ)から鮮血が爛(ただ)れて、流れ出る!!
無残と言うには余りにも無残な姿にて、死に絶えた『 ヂ ェ ロ ニ モ の 妹 』で あ っ た ! !
これが『婚礼前の花嫁の姿』であって良いモノかッッ!!
何があったのかなど・・・!
何があったのかなど、口 に し た く も な い ッ ! !
そして、もう一人!!
ー 出血は多量・・・!!
四肢両手足に、何発もの『銃弾をブチ込まれてッ!!』
動くにも動けなく『 悔やんでも悔やみきれぬ! 』と 言 っ た 顔 を し な が ら ! !
今にも”絶命しようとしている”『 ワ シ の 息 子 』が、 其 処 に 居 た ッ ッ ッ ! ! !
ワシ等は息子へと駆け寄った!!
何と言う事じゃ!
かける言葉すら、鞭打つようなモノ!!
だが慌てふためく事だけは、せまい!!
こうして駆け寄ろう!こうして寄り添おう!!
嗚呼、息子よ!息子よ!息子よ!!
息子よぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
そして息子は、息も絶え絶えに。
しかしながら『ハッキリとした口調』でワシ等に『こう伝える。』
それは・・!
それは突如!!
それは突如にも集落に現れた『白いタキシードを着たキザな男』とその『取り巻き達』ッ!!
その男は銃口を向けながら、こ う 言 っ た の だ ッ ッ ! ! !
「ンッウゥーン♪
やあ。お初にお目にかかります。私は白いタキシードを着た『キザな男』だ・・♪
今日は、ちょっと『カウボーイな気分』でねぇー。
だから、君達『悪いインディアン』をやっつけに来たんだよ、 西 部 劇 の 王 道 ゥ ー ! ! 』 」
バキューンバキューン!
奇声を上げながら、銃を乱射する白いタキシードのキザ男。
バタバタと倒れていく一族の者を見ながら、絶好調に男はこう言う!
「あーはっはっは!
こんな原始的な生活してるんだ!
何も手立ては無いですよね!! ねっ! ねっねっ!!」
「クレー射撃よりもお手軽だなんて、同じ人間として恥ずかしい!
いや、君達のような原始な存在は『 人 間 じ ゃ あ な い ! ! 』 」
「 ”獣”だ! 汚らしい”ケダモノ”どもだ!!
”ケ ダ モ ノ”は、 人 間 に 狩 ら れ る ん だ よ 、
バ ッ ッ キ ュゥ ゥ ウウ ウ ウ ー ー ー ー ン ! ! ! ! 」
俺は撃たれた体で、必死に婚約者へと這いずり寄る!!
それを見た、白いタキシードのキザ男は!!
憎たらしいという言葉では、とてもに足りぬ憤怒を覚える口調で、俺にこう言う!!!
「へぇ〜〜〜。ふぅむ・・。
ケダモノにも『愛』ってあるんだぁ・・・。」
「教えて上げようかぁ〜〜。
人間の『愛』ってモノはだねぇ・・・。」
「取って! 取られて!!
奪い合い! しのぎを削る!!
デ ィ ・ モ ー ル ト 『 ス リ リ ン グ な モ ノ 』な ん だ よ 、 ン ッ ウ ゥ ー ン ♪ ♪ ♪ 」
独善極まり無い、自分勝手な利己主義な主張で・・!!
『楽しんでますよー』ってカンジに、あれやこれやと俺を罵る『白いタキシードのキザ男』!!
俺はこの時!
ハッキリと解った・・!!
この男に、満ちてくる、ドス黒い『悪意の塊(かたまり)』が!!!
この男が、これから、俺の婚約者に『何をするのか』を!!!
俺はそれだけは『 耐 え ら れ な か っ た 』 ッ ッ ! ! !
それだけは!
それだけは!
それだけは!!
・ ・ そ れ だ け は ぁ ぁ あ あ ああ あ あ あ あ あ あ あ ! ! !
だが!!
白いタキシードのキザ男はッ!!!
そんな俺を尻目に、ニ タ ニ タ と 嗤 い な が ら 、
俺 が 最 も し て 欲 し く な い 、 そ の 事 を 今 に も ッ ッ ! ! ! ! !
ッ
ッ
!
「 『 イ ン デ ィ ア ン モ ノ 、
サ イ コ ォ ォ オ オ オ オ オオ オ オオ オ オ オ オ オ ! ! ! ! ! 』 」
・
・
・
・
・
・
・
「 『 ヂ”グ”ジ”ョ”ォ”ォ”ォ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”!”!”!”!”!” 』 」
慟哭であった!慟哭であった!!
その身がもうじき死に絶える程、衰弱をしているのに対し、息子は文字通りの『 断 末 魔 を 挙 げ る ! ! 』
そしてヂェロニモは、ワシの息子に手を掴みながらこう叫(い)う!!
「 オ ラ に ッ ッ ! ! 」
「 『 オ ラ に 何 を し て 欲 し い ! ! ! ! ! ! 』 」
息子の答えは!!
「 『 オ”ッ”ッ”ッ”ツ””ツ””ツ””ン”ギ”ュ”ヴ”
ア”ブ”オ”ヴ”ァ”グ”グ”バォ”ォ”オ”ヴ”バ”ゴ”
ギ” ッ” ツ” ツ”ヴ” ゴ” ゴ” ォ”オ”オ” 〜”〜”〜”〜” ッ” ッ” ッ” !”!”! ” ! ” 』 」
ッ
ッ
!
言葉にもならない『嘆きと渇望ッ!』
だが、言葉は要らなかった!
言葉など『必要としなかったのである!!』
ヂェロニモが絶叫(こた)えるッッ!!!
「 果”た”し”て”や”る ッ ! !
そ”の”願”い”果”た”し”て”や”る” ズ”ラ”ァ”ァ”ア”ア”ア” ッ”ッ” !”!”!” 」
「 オ”ラ”は”、今”此”処”に”誓”う” ッ”ッ” !”!”!”
『 こ”の”身”、悪”魔”に”魂”を”売”り”渡”そ”う”と”も”、 白”い”タ”キ”シ”ー”ド”の”キ”ザ”男”を”、
地” 獄” に” 叩” き” 込” ん” で” や” る” ズ” ラ” ァ”ァ”ア”ア”ア” ア” ア” ア” ア” ア” !”!”!”!” 』 」
そして・・・。
ワシの息子は・・・。
『 息 絶 え た 』 。
親である。母である。
このプカハンタよりも、早くに・・・!!
アイツはダメな奴と、レッテル貼られていようとも・・・。
愛して止まなかった『我が子は』。
己の愚かさに気付き『幸せを掴むハズだった息子は!!』
このプカハンタを置いて、『 死 に 絶 え た の だ ! ! 』
『 このプカハンタ、たった一人を残して 逝 っ た の で あ る ! ! ! 』
元より我らが部族は、滅びゆく運命なのかも知れない!
この生活に嫌気がさし、集落を出る若者は後を絶えずであった!!
だがしかしであるッ!!
『大切な何かを、踏み躙られた最期』など!!
望 む べ き モ ノ で は な い の で あ る ッ ッ ! ! !
大粒の涙を流しながら、絶叫(ほ)えるはヂェロニモ!!
ワシは・・・!!
このプカハンタは『 涙 を 流 さ な か っ た ! ! 』
許せなくて!
許せなくて!!
気が狂いそうな位に『殺してしまいたい』と思っている憎っくき仇が!!
今日の事を『嘲笑いながら、酒でも飲んでいるのだろうか?』とでも考えると・・・!!!
哀しんでなんか、いられなかったし!!
や る べ き 事 は、 一 つ で あ っ た の だ ! !
ワシはヂェロニモに『こう告げる!!』
「 言うたな、ヂェロニモ!!
悪魔に魂を売り渡してでも『 地 獄 に 叩 き 込 む と な ! ! ! 』 」
ヂェロニモが絶叫(ほ)える!!
「 言うたズラぜ、プカハンタの婆っつあんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!
オラさ自慢の『トマホーク・チョップ』で!!
キザ男のドタマ『 カ チ 割 っ て や る 』ズ ラぁ ぁ あ あ ああ あああああああ あ あ あ あ あ ! ! ! ! ! 」
そして、このプカハンタは、
ヂェロニモに『こうと言い放つゥーッッ!!!』
「 ならば、ヂェロニモよぉおおおー!
共にこの魂(いのち)『 悪 魔 へ と 捧 げ よ う ! ! 』 」
「 そう!それは!!
この土地を買い入れる為『魔道へと身を落とした女・プカハンタ』にして、こうと言い放つ!!
そうじゃああ! その名も忌名ぅうう!
『 魔 妖 香 酋 長 ・ プ カ ハ ン タ 』ッ ッ ! !
そして・・・!!
この魔妖香酋長・プカハンタにして・・・!!
巡りも巡った魔道の中で!!
知 り え て 恐 れ た 『 悪 魔 の 頭 脳 』を、 今 こ の 時 の 標(しるべ)と し よ う ! ! 」
ー そう・・・!!
それは『 悪 魔 の 頭 脳 を 持 つ 科 学 者 』・・・!!!
ー その名も・・ッッ!!!
『 D r . 劉 』 ・ ・ ・ ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! ! !
・
・
・
・
・
・
・
そして、ワシ等は・・・。
かつてこのワシ『魔妖香酋長・プカハンタ』が、幾度となく『違法毒物』を作成し続けた『秘密結社ブラッククロス』を頼り・・・。
旧知『Dr.劉』と再会をした。
劉は『改造人間の素体になるのなら?』との条件を出し。
ワシ等はそれに『YES』と答えた。
劉はヂェロニモに『人体改造』を施す。
ヂェロニモは『鋼線(ワイアード)』と呼ばれる、強靭な肉体を手に入れた。
動物の細胞を組み合わせる事により、飛躍的に向上した”身体能力”で・・・。
ヂェロニモは『米国・地下プロレス協会』のリングにて、幾度と無くその手で『対戦相手を 殺 め た 』。
それが研究データを欲する『劉』の望んだ”成果(データ)”であり。
ワシ等もまた『白いタキシードのキザ男』を探し出すのに『金銭』を必要したからである。
ワシもまた『一族秘伝の薬学』を劉へと伝えた。
その事柄が一因となったのか・・・。
日々完成へと進む『劉クリーチャー(RC)』の研究に、劉は愉悦を覚えているようだった。
殺戮に次ぐ殺戮。そして仇を探し出す『復讐の日々』・・。
遂に『待ちも望んだその日』が訪れる。
白いタキシードのキザ男は『日本地下プロレス』の『常連客』である事を知る。
ワシ等は『この地、最早、用は無し』と、日本へ向かった。
米国・地下プロレスにて連戦連勝を続けたヂェロニモは、すぐにもさま『地下プロレスの絶対王者』との対戦が決まった。
そして・・・。
その日が『 訪 れ た 』。
・・・・
「レスラーへの賛歌 その8!」
「北斗の流星と呼ばれた、戦う国会議員へと!!」
「 ワ シ は 、 こ の 『 G I A N T S W I N G 』 を 捧 ぐる ゥゥウウウーーーー ッ ッ ! ! ! ! 」
グォォオオオ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オオンオンオンオンオ ンオ ン ン ン ン ォ オ オオ オ オ ! ! !
「貴様の口内ごと顎を掴みッ!」
「ワシの剛力で持って、振りまわし続ければッッ!!!」
「その肺に溜め込んだ空気を、声帯を通して吐きだす事は出来まいッッ!!!!」
「 『 ちぇりぃぃいいいぁぁぁあああ あ あ あ あ ああああ ーーーー ー ー ー ッ ッ ッ ! ! ! 』 」
グォォオオオ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オオンオンオンオンオ ンオ ン ン ン ン ォ オ オオ オ オ ! ! !
剛力に任しッ!
ヂェロニモをブン回し続けるは『地下プロレスが絶対王者ァー!!』
その名も『百文字 豪介ッ!』
『 ” ジ ・ ハ ン ド レ ッ ド ” で あ ぁ ぁぁ あ ああ あ る ゥ ー ッ ッ ッ ! ! ! ! 』
それを見やるは観客席!
魔妖香酋長・プカハンタは、驚きも慄いたッ!!
ー 馬鹿なぁぁあああああああ!!!
Dr.劉が創り出した超肉体!
更には、一族が英雄!
かつてアメリカ大陸を『その足のみで横断をした男!!』
”音を奏でる男”サンド・アパッチオが伝承の、必殺奥義『 ア パ ッ チ の 雄 叫 び 』を 屋 内 で 受 け て 、
何 ぁ ぁ あ あ あ ああああ 故、 動 け る ぅ ぅ ぅ う う う う う う う う う う う う う う う ! ! ! ?
ああ、ほんの一瞬!
あと、ほんのもう一瞬あれば・・・!
『 断 固 相 殺 叫 技 ! ア パ ッ チ の 断 末 魔 ! ! 』
ヂェロニモが放たんとする『アパッチの断末魔』にて!
『白いタキシードのキザ男』もろとも、『 死 す 事 が 出 来 た 』の に ・・ ・ ・ ! ! !
ー 止めろぉぉおおおおおお!!
ー 止めろ止めろ止めてくぅれぇぇえええええええええええええええええ!!!!
グゥゥウウウウウン!!(最後の一回転ッ!)
ウォォオオオオオオオオオオ!!!!(剛力終着、遠心力となりてッッ!!!)
ゴォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!(観客席、目掛けてッ!!)
ヂェロニモを、ブン投げッ! 放り飛ばしたぁぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
「 『 ウ ラ ラ ラ ァァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! ! 』 」(ヂェロニモは叫び声を挙げるッッ!!)
ドッッ ッッ ッ パ ァ ァァ ァ ァ ァ ァア アアアアア ア ア ア ア ア ア アアア ア ア ア ア ン ン ンン ン ! ! ! !
・
・
・
・
・
・
・
破裂音がした。
そして次の瞬間。
真赤な液体と・・・。
千切れて、爆(は)ぜた無数の肉片が飛び散って。
霧散をする・・・。
ネイティブ・アメリカン。
『ワイアード・ヂェロニモ』と呼ばれる男は・・・。
もう其処には『存在しなかった。』
そして、彼と。
魔妖香酋長とが、憎んで止まなかった・・・。
復讐と運命との決着を、望んだその男・・・。
『白いタキシードもキザ男』もまた・・・。
も う『 其 処 に は 』・ ・ ・ ! !
ー 王 者 が 下 し た 絶 対 の 審 判 は 、
ー 我 等 の 意 す ら も 汲 み 取 っ た『 粛 清 』。
静寂。
どよめきすらも起こらなかった・・・。
・
・
・
・
・
・
・
この時・・・。
この老婆の胸に去来をしたモノは。
それは、実に『熱いモノ』であった。
同志・ヂェロニモを屠り去った、憎きは絶対王者(ジ・ハンドレッド)。
だのに彼奴に『敬意』を覚えてしまうのは『 何 故(なにゆえ)に ? 』
ー それは・・・。
『 取り戻してくれたからだ 』 。
こ の 老 婆 の ・ ・ ・ っ 。
一 族 の『 尊 厳 』 を ・ ・ ・ っ っ 。
ー そして・・・。
何よりも。
何よりも。
何よりも・・・。
『 ワ シ は 、 百文字(ハンドレッド)を、 愛 し て し ま っ た の じ ゃ よ ・ ・ ・ っ 。 』
ー それは、実に『熱いモノ』であったっ。
女としての幸せなど、とうの昔に捨て去った、魔道を行く女、魔妖香酋長にして・・・っ。
彼を想うと『 熱いモノが込み上げてくるのだ・・・っ!! 』
ー 理解(わか)っている!
彼とレディ(・ミィラ)との間に、踏み込めない事など!!
だが・・・!
彼等が月夜の下で、愛を語り合う『ロミオとジュリエット』ならば、
私はその足元で咲く『月見草』でも構わない・・・!!!
ー 私は彼の・・・!
彼の側に居たいと思ったのだ!!
ー 彼が『表の世界』で生きる事が『許されぬ体』のなら、私もまた『許されぬ体』となろう。
何の伝手もコネも持たぬ男が、得たいも知れない金属で構成をされた『サイボーグ』と言う存在になると言う事。
表の世界どころか、裏の世界でさえも『研究材料』とされかねないその体・・・!!!
ー 守 っ て や る !
ー 守 っ て み せ る ! !
ー そ の 『 尊 厳 』を !
ー そ の 『 生 き る 場 所 』を ! !
ド ド ド ド ド ド ド ド ドドドド ドドド ドド ド ドド ド ド ド ド ド ド ド ド
そう、この時!!
響き渡る『邪曲』と!!!
生と死とが織り成した『鎮魂歌』が結末はッッ!!
魔妖香酋長・プカハンタの最も『熱いモノ』に、
『油をブチ撒けた』が如くの『大火の信念』を生み出す結果となったのであるッッッ!!!
何故に生き!何故に死すのか!!
目の前の鼻の先に迫りくる『殺戮ゴーレム』を前にし!!
切り抜けなければならない、その為に為すべき事があると、その事のみに集中をし、
雑念一つ無く、邪道外道も辞さずに、
手を染めてきた老婆の細胞に『最も熱いモノ』を灯した事によりッッ!!!
老婆はッ!
魔妖香酋長(プカハンタ)は!!
『 最 終 最 後 の 、” 覚 悟 ”が 完 了 し た ぁ ぁ あ あ あ あ あ ! ! 』
そ れ こ そ 、 そ れ は あ あ あ あ あ あ ああ あ あ あ ああ あ あ ! ! !
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ッ
ッ
!
「 『 イ ン デ ィ ア ン モ ノ 、 サ イ コ ォ ォ オ オ オ オ オオ オ オオ オ オ オ オ オ ! ! ! ! ! 』 」
ー それは!!
最も口にしたくない”言葉”にて、策を遂行する”覚悟”であった!!
”インディアンモノ、サイコォォオオ”の掛け声を皮切りに・・・ッ!!!
魔妖香酋長(プカハンタ)は、息子の口から『耳』にした『ドス黒い悪意の塊(かたまり)の数々』をッ!!
目の前で己の婚約者が『嬲(なぶ)られた挙句に殺された時』に耳した『D4C(いともたやすく行われるエゲツナイ行為)』をッ!
もう二度と『耳にしたくない』『思い起こしたくない』『口にするなど持っての他』なその言葉の数々を・・・ッッ!!!
ー 今 こ の 時 、『 口 に し た 』 ッ ッ ! ! !
ッ
ッ
!
「 『 ヒヘラヒヘラヒケェェェェェ!!!!
辺鄙な土地(世界の僻地)で、必死こいて原始生活(生きる)だなんて、”ニート”だって生きてるちゃあ生きてわぁぁあああ、ンンッッウゥーン!! 』 」
ッ
ッ
!
「 『 ニートが先祖(曲)だの伝来(科学)だのと、なぁに、ちっぽけな『辺鄙な場所(僻地)』でカッコつけてんだい!!ハァー!クンカクンカ!! 』 」
ッ
ッ
!
「 『 プレイ終了(死闘の果て)して、コレモンよのぉぉおおお〜〜〜!!!
キザ男(侵入者)に婚約者(二人)は絶頂(殺され)て、『イッた表情(無様な姿)』晒してらぁぁあああ、オエップップ汚ったねぇ顔(死に方)ッッ!!! 』 」
ッ
ッ
!
「 『 ケダモノ(足手まとい)ってより、ムシケラレヴェル(裏切り者レヴェル)じゃてぇぇぇええええええええええええ!!!!
ムシケラ汚ねぇ( 大罪許しがたきは、裏切りモノよのぉぉおお、)
殺 虫 ( 銃 ぅぅぅ 殺 ) じゃ あ あ あ ぁぁああ あ あ あ あ ああ あ あ あ あ あ あ ! ! ! 』 」
バ キ ュ ー ン 、 バ キ ュ ー ン !
バ キ ュ ー ン 、 バ キ ュ ー ン ! !
バ キ ュ ー ン 、 バ キ ュ ー ン ! ! !
バ キ ュ ー ン 、 バ キ ュ ー ン ! ! ! !
そ の ・ ・ ・ 。
瞬 間 刹 那 で あ っ た ッ ッ ! ! !
ゴ”ッ”ッ”ッ”ッ”
キ”ィ”ヤ”ァ”ッ”ァ”ア”ア”ア”ア”ア”ア” ア ” ア ” ア”ア”ア”ア” ア ”ア ”ア” ! ” !” !” ! ”!”
ッ
ッ
!
ーーーー トテモ ニブイ ”オ ト” ガ、 ヒ ビ キ ワ タ ッ タ ・・・・ ! ! ! ! ーーーー
・
・
・
・
・
・
・
老婆は苦悶の表情を、浮かべると共に、内 心 笑 み を 浮 か べ る 。
耐撃の百文字(ジ・ハンドレッド)と鷲鼻のバトゥロ(エイグロン)が、
その身を構成させる金属『スターシルバー』によって”過敏過ぎる神経”を持ち、その結果、
個々が持つ”肉体の限界”を超えたパワーを生み出すのと『 原 理 は、同(おんな)じ 』・・・。
銀装隠密(メタルハイド)オレグレイ・カレロフのサイボーグ能力、
背景の投影による”透明人間化”など『その副産物』に過ぎないのだ。
それは『筋力』では無く!
『 1 0 0 % の 意 志 の 力 ! ! 』
そ れ す な わ ち は 『 体 躯 内 の 念 動( サ イ コ キ ネ シ ス ) ! ! 』
『 念 動 に て 、 己 が ボ デ ィ を 動 か す 事 』に よ り ッ ッ ! ! !
『 筋 力 』 や 『 神 経 系 統 』 ッ ! !
い い や 『 体 格 の 限 界 』を も 超 越 し た 、
『 超 人 間 バ デ ィ 』が 形 成 さ れ る の で あ る ! ! ! !
ー そ れ は 、突 然 変 異 に よ り、
生 ま れ つ き ”黒 い 肌”を 持 っ て、
生 ま れ て し ま っ た 男 の 秘 め た る ”能 力 ” ッ ッ ! !
”精 神 感 応 能 力 者 ”オ レ グ レ イ ・ カ レ ロ フ だ か ら こ そ 出 来 た 奇 跡 の ”肉 体 ”! !
QX団が総統!
そしてレゼルヴェ計画発案者『Queen X(クイーン・エックス)』が、
魔 妖 香 酋 長 プ カ ハ ン タ に 下 し た 、 極 秘 の 指 令 ぃ ぃ い い い ! ! !
も う 一 つ の ”Q X 団 ・ 最 終 兵 器 ” の 『 完 成 ッ ッ ! ! ! 』
そ ・ の ・ 名 も ぉ ぉ おお お お お お お おお お お お お おお お お お お おおおおお ! ! ! ! !
ッ
ッ
!
” 超 人 間 ( ギ ガ ン ト ・ バ デ ィ ) ” オ レ グ レ イ ・ カ レ ロ フ の『 誕 ッ ッ 生 』で あ る ッ ッ ! !
○『 QX団最終兵器 ー 超人間(ギガント・バディ) ー 』
レゼルヴェ計画・極秘指令に基づき、本部の警備よりをも優先事項にして調整をされている、
耐撃の百文字の戦闘データと、レディ・ミィラの科学力との結晶が生み出した、QX団が最終兵器ッッ!
『 超巨人(ギガント・マシィン) 』と対を為す、QX団もう一つ『 最ッッ終! 兵 器 』で あ る ッ ッ ! !
その理論『精神感応能力者』のサイボーグ化!!
たださえ少ない精神感応能力者の中から、千人に一人とも言うべき適合性ッ!
更には『強い能力者ほど、適合をする訳ではない』と言う技術的問題も合わせ、
『非現実的な兵器』と言わざるを得ないモノも、非現実的であるが故に『現実となれば、驚天に動地ッッ!!』
正に!『世界に打って出る作戦ッ!!』
『超人間』が『超巨人』を動かすその時!
世界最強を誇る『KGF』とも、対等五分に戦えると踏んだのである!!
そして!
その最終兵器が今、完成をしたのである!!
もう一度言おう!!
その名もぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!
”超 人 間( ギ ガ ン ト ・ バ デ ィ )” オ レ グ レ イ ・ カ レ ロ フ の『 誕 ッ ッ 生 』で あ ぁぁあ る ッ ッ ! ! !
・
・
・
・
・
・
・
・・・・
・
・
・
・
・
・
・
俺は。
俺は・・・。
俺はいつも”一人であった”。
物心が付いた頃。
俺は両親から、はっきりとこう言われた。
「私達はお前を愛していない。」
「それはね、オレグレイ。世間が見る私達への偏見がそうさせるのだよ。」
「肌の色だけ『突然変異(ミュータント)』。」
「そんな話『皆は信じない』。多くの者達は私達の事を『こう思っている』。」
「 お前の両親のどちらかは『伴侶を裏切った”淫らな人間”である』。とな・・・。 」
「貧乏で取り得も無い私達の”慎ましい幸せ”は、お前が生まれる事によって『奪われてしまった』のだよ。」
ー だから、私達はお前を『愛していない』し、『その”肌の色”を見たくもない』。
ー お前は、私達の子なんかじゃない。
お前は『 悪 魔 の 子 』だ 。
オ レ グ レ イ 。
お 前 は ね ・ ・ ・ ッ !
『 黒 い 色 を し た 悪 魔 の 子 』な ん だ よ ・・・ ッ ッ ッ ! ! !
・・・。
マルチャーニエ − ズナーク サグラースィヤ (『沈黙は承知の証し』)・・とは言ったモノだ。
両親は俺を『承知していなかった』。
両親は俺に『愛してなんかいない』、そう告げたのである。
ー ドーブライェ ウートラ(おはよう)の言葉も。
スパコーィナイ ノーチ(おやすみ)の言葉も。
ー スパスィーバ(ありがとう)も。
イズヴィニーチェ(ごめんなさい)も。
ダー(はい)も、ニィエート(いいえ)も求められない日々。
ー 求められている言葉があるとすれば・・・。
それは、何時その日が来るのであろうか?と思っているだろう、
プ ラ シ ャ ー イ チ ェ ( さ よ う な ら )を 告 げ る『 別 離 の 言 葉 』。
暗闇の夜の如くに真っ黒、黒い『俺の肌』。
ある日、俺は、何度も何度も『この黒い体を、擦って洗った』。
黒が消えるように!白くなるように!!
そして・・・。
『俺の事を愛してくれるように・・・ッッ!!』
しかし・・・。
俺の肌色は変わらなかった。
滲むは血。赤いモノが、爛れ流れるばかり・・・。
程なくして、両親はこう言う。
「やめておくれ。」
「その傷。私達が『虐待をしている様に見える』じゃあないか。」
「勘弁しておくれよ、黒い黒い『悪魔の子』。」
「お前は何処まで、私達を『苦しめる』つもりなのかい?」
その言葉に一欠片すらの『愛』は無かった。
・・・・
QX団。世界を我が手に。
人間であった時、身に付けた『コマンドサンボ』と、最強の一角を担う『銀装隠密(メタルハイド=透明人間)』のその能力。
俺がQX団のサイボーグとして『 生きざるを得なくなった そ の 時 』。
俺は望んで『 この能力(見えない体) 』を得た。
耐えがたかったのだ、この体色(トラウマ)が!
我忘れる程に、ブチ切れしてしまうのだ、この心傷(トラウマ)で!!
だが・・・!
手にしたモノは『 真の孤独 』であった!!
ー 俺は此処だ!
此処に居るのだ!!
ー そんな明後日の方向などに、俺は居ない!!
俺は此処だ!
此 処 に 居 る の だ ! !
ー 誰も・・・!
誰も俺を『 見 る 事 が 出 来 な い の だ ! ! ! 』
何一つ、変わっちゃいない!
俺はいつも”一人である”のだ!!
ステルス能力の高さ故、任務以外の外出を許可されない・・・俺ッッ!!
はっはっは!笑い話にもならねぇ!!
強いだけで『ただのニート』じゃあねぇか!!!
その強さだってな!
俺のコマンドサンボのスパーリング相手は『QX団最強のサイボーグ・耐撃の百文字(ジ・ハンドレッド)』なんだぜ!!
何が俺すら捕捉が出来る『超聴力』だよ!
何がヴォルグ・ハンに捧げる『レスラーへの賛歌』だよ!
(そんな20世紀後半の人物なんて、俺知らねぇーし!!)
強い能力言ったって、俺は何時も『百文字(ハンドレッド)』に敗れちまうんだ・・・。
自信だなんて・・・持てやしない・・・。
それに俺は『いっつも全裸(マッパ)』で変態みてぇーだし・・・。
そら、開放感があるし、優しい風が撫でていくけど、ただそれだけのコトじゃあねぇか・・・。
孤独と敗北の日々だけ続く、無色透明で何にもない毎日・・・。
そんな毎日に・・・。
変化の”吉兆”・・・。
それは。『あの男』がやってきた時の事である。
・・・・
「パガジーチェ(待ってくれ)・・・ッ!」
「俺は基地内が改築された等、聞いてないぞ・・・!!?」
呟けども、後の祭り。
何時ものように十字路を進み、自室に戻ろうしたが、何やら込み入った道に入ってしまった俺。
『うざってーぜ!俺は早く、部屋に戻りてぇんだよ!!』と無理くり進んだのが失敗であった。
完全に迷路だ。俺にはそうとしか見えない。
何せ『ニートみたいな生活』してるからな。
見えない俺が言うのもなんだが、こう見えても『土地勘』と言うモノが『てんでない』。
決まった道を歩むだけ。
任務だって、事前に敷地内の見取り図を頭に叩き込む。
諜報機関の調べに間違いは無いし、PPPのP国は『ゴブオバ・ボブド暗殺』の時だって、
『見えない俺の陽動殺傷(アイ・アム・”メタルハイド”・キル・ユゥー)』により、暗殺成功の一因を担ったモノだ。
しかし、こうも全く『解らない状態』では手の打ちようもない。
しかも運の悪い事に『ルイ=アルベルト=ギヨーム(=現ルイヌーヴォー)の独立推進』とやらで暗躍しまくってるから、基地内はほぼ無人だ。
こんな『辺鄙な場所』。そうそう見つかる訳無いよなぁー・・・って、俺見えないんだっけ・・・。
「・・・。」
俺はどうしようもない位に『哀しい気持ち』になってきた。
ズキィ・・ッ!
百文字とのスパーリング最中に痛めた『首』と『腕』が痛む。
「(この怪我で、作戦外されたんだよな・・・。)」
「(『鷲鼻のバトゥロ(エイグロン)』が来てからと言うもの、只でさえ少なかった俺の任務が更に少なくなっちまった・・・。)」
「(それだけじゃねぇ。
対抗意識燃やしてんだが、何だか知らねぇが、
『耐撃の百文字(ジ・ハンドレッド)』のスパーリングが、やたらと激しいってか厳しいモノになってきやがった。
挙句の果てに『この怪我』だ。
『レスラーへの賛歌 その10 首極め腕卍』。
”千のサブミッションを持つ男”に捧げる『レスラーの賛歌』で、この有り様と言う訳だよ!)」
ー だから、何でそんなに『ヴォルグ・ハン』が好きなんだよ!アンタはよ!!
『大車輪キック』と良いU系の技が好きかと思えば『ディック・フライ』のようなハイキックをする訳でも無いし、
昭和の技が好きっつーか、典型的なプロレス技を好むって言うか・・・!!
ええい、 ク ソ ゥ ッ ! ! ) 」
ゴロン。
俺は横たわりながら、大の字になる。
そして・・・。
ブワ・・ッ!
涙が流れた。
続けて俺は。
臨界点まで膨らんだ”風船”に、鋭い針でも、突き刺したみてぇーに、
”パァン”と音を立て破裂するが如くに『 不満を”ブチ撒け”始める!! 』
「(悔しいんだよ、俺は!)」
「(寂しいんだよ、俺は!!)」
ー 誰にも見える事無く!
ー ほぼニート暮らしをしていて!!
ー 打ちのめされるかのような『敗北』ばかりが『身に染みているッッ!!!』
ー 何が、QX団が誇るサイボーグ1の『暗殺能力』を持つ男だッ!
ー 何が、『銀装隠密(メタルハイド)』だッ!!
実態はこんなモンだ!人より強い能力だなんて、何の意味も持たない『永遠の孤独だァーッッ!!』
『 嗚呼、無情! この世に神が居るのなら、俺は神を憎み、己に与えられた”この運命”を呪ってやるッッッ!!!! 』
「 『 ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”!”!”!”!”!” 』 」
絶叫(さけ)んだ!
雄叫(さけ)んだ!!
喚叫(さけ)んだ!!!
そして・・・・。
シィ・・・ン。
静寂が訪れた。
この静寂が『全てを物語る』。
俺 は い つ も ”一 人 で あ る の だ ”と 。
俺は・・・。
布団の中で咽び泣くみたいに、シズシズと泣き続けた・・・。
寂しかった。
寂しかった。寂しかった。
寂しかった。寂しかった。寂しかった。
寂しかった。寂しかった。寂しかった。寂しかった。
寂しかった。寂しかった。寂しかった。寂しかった。寂しかった。
と・・。
その時である。
それは”聞きなれない声”であった。
「銀装隠密(オレグレイ)さん・・・。」
「ですね・・・?」
ッッ!!
ムクリ・・!
その声に俺は立ち上がる!!
其処には。
『ビクゥ!』とした顔をした、中肉中背のフツメンが居た。
スペイン系っていうかラテン系と言ったトコロであろうか?他の団員と比べて『年が若い』。
問いに対して。
俺は『そうだ』と答えようとしたモノも・・・。
「ィッグ!ィッグ!!」
号泣の為、しゃっくりが止まらなかったので、そう答える事が出来なかった。
その男は続ける。
「己(オレ)は、教授(シナプス・アイ)EEE(エロイ・エチャノバ・アイザック)と言います。
科学(ボディ)が科学(スタートアップ=起動)したのは良いのですが、
『Queen X総統』を始め、主要団員が皆、出払っているので、しばらくの間、貴方を頼るようにと指示を受け、此処に来ました。」
更に続ける。
「なの・・・ですが・・・。
あの・・大丈夫ですか?銀装隠密(オレグレイ)さん??」
更に更にこう言う。
「こう・・言ってしまうのは『失礼』に当たるのかとも思うのですが・・・。
”科学(アクチュォル=現状)”を把握する為には、
『聞かざるを得ない』し、あえて『言わざるを得ない』のですが、えーとあのぉー・・。」
何やら『まごまご』しているようだ。
俺は次の言葉を待ちつつ、そんな教授(EEE)の様子をジィーっと見ていた。
程なくして俺は『それに気付く』。
「(そうか・・・。)」
「(そうなんだよ。))
「(この男は・・!)」
「(この教授(EEE)と言う”男”は!!)」
「(俺を『目視』しながら、”話している”では無いか・・・ッッ!!!』)」
ー それはッ!
衝撃の目視編とも言うべき、ビックなニュースッ!!
オレグレイはその事実に”感激”をするッ!!
ー 天にも昇らんが如くの『ハラショー×3(万歳三唱)』な気分ってヤツだッッ!!
世の中これ程嬉しい事があるだろうか?『いや、無いッッ!!』
オレグレイの頬(ほお)が緩むゥーッ!!
ッ
ッ
!
ニッッッ マ ァ ァァァアアアアア ア 〜 〜〜〜〜〜ンン・・・ッッ♪♪ ♪ ♪ ♪
とってもとっても!
とってもとってもとっても『俺はッ!』
歓喜と言う名の”悦楽”により、頬の緩みと、首が竦(すく)まれていく”肉体的な至福感”を覚えたァーッッ!!
ー パズドゥラリャーユッ!! (おめでとうッ!!)
パズドゥラリャーユッ!! (おめでとうッ!!)
パズドゥラリャーユ、オレグレイッッ!! (おめでとう、オレグレイッッ!!)
そして、教授(EEE)は言い放つ!!
「あ・あのぉ・・・。
何やら取り込み中らしく、とても話しかけづらいのですが・・・。
何故・・。
貴方は・・・・。
『 科 学 ( オ ー ル ヌ ー ド) で 、 ニ マ ニ マ と 嗤 っ て い る の で し ょ う か ? ? ? 』 」
ッ
ッ
!
ド” ッ”ッ” ギ” ャ”ァ”ァ”ア” 〜” 〜” 〜”
〜”〜” 〜” ア”ア”ア” ン”ン” ッ” ッ” !”!” !” !” !” !” !”
数年来ッ!
誰も突っ込まなかった故に『 忘却していた、その 事 実 ゥ ー ッ ッ ! ! ! 』
そうだ!
俺はスッパテンコーな、どこぞのマンハッタンみたいにッ!
アパッチだよベースボールと言わんが如くにッッ!!
『 俺 は 全 裸 で あ り ッ ! 』
『 全 裸 で あ る と 言 う 事 は ッ ッ ! ! ! 』
ッ
ッ
!
『 俺 の ア レ 』が、『 ○ 見 え 』っ て 事 だ ぁ ぁ あ ああ あああ ああ あ あ あ あ ! ! ! ?
ヴ”ァ”ッ” ヴ”ァ”ァ”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア” ー”ー” ー” ー” ー ” ン ”ン ”ン ”ン ” ! ” ! ”
OH!羞恥心ッ!!
俺は慌てて『股間のソレ』を、『 隠 遁 的 陰 部 ( シ ー ク レ ッ ト ・ ペ ニ ス ) 』す る ゥ ー ッ ッ ! ! !
き・気まずいィーッ!
気まずいぞ!気まずいぞ、これはァー!!?
嗚呼、でも、見られる事が嬉しいと言うか『 い や 違 う ぞ ッ ッ ! ! 』
『アレ』が見られるって言うのが『嬉しいって訳じゃ な い か らな ッ ッ ッ ! ! ! ! 』
そ・そうだ!
俺は今まで誰にも見られる事が無かったから、その事柄が嬉しくて仕方が な い ん だ ッ ! !
ー 『 だ か ら 違 う ん だ Y O ッ ! ! 』
ー 決 し て 『 ソ コ の 事 』じ ゃ な い ん だ H O ッ ! ! !
自分でも!
念を押すとか!!
変な言い方だとは思うが!!
決して決して『 ア ソ コ の 事 』 じ ゃ あ な い ! !
そう!
俺の孤独な生い立ちと!
孤独なニート生活からきた『心の傷(トラウマ)』は!!
その!
解放感によってぇええええ、うぉぉおおおおおおお!!?
ち、ちょ!!?ま!!!?
『教授(EEE)』が!
『教授(EEE)』が!!
気まずそぉぉぉぉおおおおおに、『 顔 を 背 け てい る ゥ ウ ウ ウウ ウ ! ! ? 』
第 一 印 象、 最 悪 ゥ ー ! ! ?
俺が教授(EEE)だったら『二度とコイツと 関 わ り た く な い ! 』って、感じるぞぉぉぉおおおおお!!!?
間 違 い な く、 そ う 思 う ね ッ ッ ! ! !
なんてこった!!?
何故こうなった!!?
この奇跡と言うべき『巡り合いの宇宙』は『謀ったなシャア!』とも言うべき、運命の策謀によって・・・って、
何だ、そのセリフは、俺は企業戦機(ジャック=ダグラス)じゃあねぇっての、チクショークソォー、うぉぉおおお俺は今、動転しているぅうううう!!?
どうするゥーッ!?
どうするゥゥウウッッ!!?
どぉぉぉうすれば、良いんだぁぁぁああああ!!!?
時折ッ!
そう夢想をするみたいにッッ!!
柔装甲(マハン=ガン)の柔装甲(ジェルメイル)って、
『スライムモノ』みたいな事やって『楽しめる事が出来るのかな?気になるぜ、ムッハー!』とでも考えとくべきなのか!!?
(いや、決して、そのイメージが、柔装甲(マハン)では無く、目の前の男に変化(かわ)っていると言う事は無くゥー!!?)
はぁああ・・・。
はぁー。
ああ・・・。
しかし・・・。
この気まずさが、『 快感(KAI−KAN) 』と言うか。
『 頭がフットーしそうだよ・・・ 』と言うか・・・。
・
・
・
・
・
・
・
「 『 ア ッ ー ! ! 』 」
俺は思わず、悦楽の声を挙げた。
そして、教授(EEE)は・・・。
養豚場の豚でも眺める様に『ドン引き』しながら、その様を見続けていた。
この日から。
嗚呼、この日からであったのだな。
俺は『変わって』いった。
俺の孤独に『一筋の光』が差し込まれたのだ。
そう。
それは、この一人の”男”で出会う事によって。
(い・いや、変わったと言うのは、そう言う意味じゃあないんだ。つまりはその)(略)
・・・・
あれから半年が経った。
俺は『猛烈過ぎる気まずさ』故に、与えるハズの指示(=新人の心得などetc)を他の者に任せた。
見えない俺が『コキャっとされたくなれば、お前がするんだ』と言えば、大体の者はそうする。
そして、色々合って、教授(EEE)は邪曲家(ダークフーゴー)と組になり行動をする事になった。
だが、そんな事はどうでも良かった。
教授(EEE)の両手から放たれると言われる『振動衝撃波』。
あれで『俺のソレ』に、優しい『振動(バイブレーション)』を放ちながら『どうですか?銀装隠密(オレグレイ)さん??』と言われたら、どんなに・・・。
って、違 ぁ ぁ ああ あ あ あ あ あ あ あ ああ あ あ う ッ ッ ッ ! ! !
マジで違うんだ!!
俺はそんな『淫らな人間』ではない。
って、クッソー、あの愛情の欠片すら無い、両親の言葉使うとか鬱だ死のう。
(第一、俺はサイボーグだっての!欲求はあっても”生殖能力”は無ぇーし!!)
否(いいや)、死んでなんかいられねぇーな。
何故なら、それは・・・!
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
「何時も通りである・・!」
「気を抜いた時点で『ヘシ折る』ッッ!!」
低くて、太い声が耳に響く。
それはQX団最強のサイボーグ。
その二つ名は『耐撃』。
如何なる攻撃にも倒れ伏す事無く、敵者を屠り去り”粛清”を行う、猛禽類の眼差しを持った『黒衣の男』・・・。
その名『耐撃の百文字』。
耐撃の百文字(ジ・ハンドレッド)の一声が響き。
その一声に俺は『こう答えるッ!』
「ダヴァイ(来な)。百文字(ハンドレッド)。
スパーリングの枠はとうに超えた。互いに練磨を求めるなら、生半可事じゃあ意味がない。」
百文字(ハンドレッド)と戦うて事はだ。
邪念や。雑念。
そう言った『不純物』入り混じって、遣り合える相手じゃあねぇッッ!!
そして、俺には『そうまでしてでも、今を戦う訳があるッッ!!』
百文字(ハンドレッド)がこう言うッ!
「フッフフ。青二才がデカイ口を叩くようになったモノだ。」
俺は答えるッ!
「張られた頬の数だけ強くなった。
そろそろ恩返しの一つぐらいさせて貰うぜ?」
百文字(ハンドレッド)ッ!
「『創り(アングル)』としては美味しい話だ。」
「だがこれから始まるモノは『虚構(フェイク)』ではない。」
俺ェー!!
「生憎。高みに達した俺の流儀・・・。
”アサシンサンボ”と言うモノには”プロレス(エンターテイメント)”とは違い『虚構(フェイク)』も『仕掛け(アングル)』も存在しない。」
「あるモノのは”コマンド(リアル)”のみだ。」
「来ないつもりなら・・・俺から行かせて貰うぜ・・?
耐 撃 の 百 文 字 ( ジ ・ ハ ン ド レ ッ ド ) ッ ッ ! ! 」
そして、百文字(ハンドレッド)はッッ!!
「来るが良い・・ッ!
そして、目にモノを見せてやる・・・ッッ!!」
そして、俺はァーッッ!!
「銀装隠密(メタルハイド)オレグレイ・カレロフッッ!!
精度増し続ける”見えない俺”を捕捉し切れるか、”超聴力”ゥーッッ!!
『 ダァァアアアアアアアアア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! ! 』 」
・
・
・
・
・
・
・
ッ
ッ
!
そう、俺にはッ!
今を戦う訳があったッッ!!
それは今ッ!
俺の中に流れる油(オイル)が引火して、
爆発しちまうんじゃねぇーかってぐらい『熱いモノ』が、全身を駆け巡っているからだッ!!
ー 教授(EEE)!
ー なぁ教授(EEE)!!
伝える事無い、秘めたる『 誓(この想い) 』ではあるが・・・!!
この俺、『銀装隠密(オレグレイ・カレロフ)』は!!
『 この世で唯一人、俺を見る事が出来る、お前の為に 戦 い 続 け る 事 を 旨 と し よ う ! ! ! 』
そ の 為 に 一 体 何 が 出 来 る ?
そ う だ !
『 強 く な る っ き ゃ あ ねぇ ぇ え え だ ろ ぉ お おおお おお お お お お お お ! ! ! ! 』
ー 強 く な る っ き ゃ あ ね ぇ ッ ッ ! ! !
ー 強 く な る っ き ゃ あ ね ぇ ッ ッ ! ! ! ! !
そ し て、 ” 俺 達 ” は ッ ッ ! !
あ の ” 運 命 の 日 ” を 迎 え る 事 と な る ッ ッ ! ! !
・・・・
プッッチィ〜〜〜〜ン!!!
切れた!
銀装隠密(メタルハイド)オレグレイ・カレロフが『 ブ チ ン と 切 れ た ッ ッ ! ! 』
そしてッッ!!
ニィッ! マァァ〜〜〜ンッッ!!!
そして『鬼笑(きしょう)』をするゥー!!
銀装隠密(オレグレイ)は、ブチ切れたその時に『 自 称 世 界 一 ま ぶ し い 笑 顔 』を行うのだッッ!!!
即ちそれはッッッ!!!!
「 俺の皮膚を『差別った時』にも匹敵する『 消失感を伴う激しい憤怒 』でッッ!!!!!!
俺の顔面筋肉が、ピクピクピクピクと『 震 え 笑 っ て ら ぁぁぁああああああああああ あ あ あ あ あ ! ! ! ! ! 』 」
過去最大級に『 熱くも燃ゆるは、彼 の 胸 ( オ レ グ レ イ ・ ハ ー ト ゥ ー ! ! ) 』
だがッ!!
そんな熱情も『 次の瞬間で 瞬 く 間 に ッ ッ ! ! 』
ドッ ッ ッ ! !
サァァ ァ ア ア ア ア アアアアアアアアアアアアア〜〜〜〜〜〜ーーーー ー ー ー ー ー ー ッ ッ ッ ! ! ! !
倒れたッッ!!!
倒れて伏したッッ!!!
・
・
・
・
・
・
・
動けない!
動けない!!
どうしちまったんだ、俺は!!
クソゥ!俺は今『怒(いか)っているんだ!!』
許さねぇ!許さねえぞ、教授(EEE)を殺した奴をぉぉぉおおおおおおおお!!!
ン・・・。
いや?何だ??
様子がおかしいぞ・・・。
よ・良かった。『教授(EEE)』は無事だ。
しっかし、邪曲家(ダークフーゴー)の野郎!!
救命措置とは言え『俺の教授(EEE)』に何かあったらどうするつもりだ!!?
(い・いや、違うんだ。『俺の』と言うのは決して『やましい意味は一つも無い』訳でぇぇぇ!!?)
とは言え・・。
なんてぇこったい・・・。
はっはっは・・・。
俺は・・。
『やっぱり”ダメ”なんだなぁ・・・。』
初対面以来の再会。
ようやく訪れた『教授(EEE)との”共同作戦”』。
この護衛『大事は無い』と思いつつも・・・。
『凄いんだぜ俺?』てトコロが、見せられる訳でも無いと思いながらもよ・・。
俺は・・・。
ー 嬉しくて・・・。
ー 嬉しくて・・・。
ー 嬉しくて、仕方が無かった。
気持ちの悪い話だろ?
男が男にって話だけでも『アレ』なのによ。
俺が教授(EEE)の前でしている事は『ド変態な事』ばかりだ。
目の前に『全裸な男』が居て、イった表情(フェイス)しながら『隠遁的陰部(シークレット・ペニス)』をするという事。
どうよ・・?
嫌われねぇって事の方が、おかしな話だ。
でもな。
そうだよなって、思っていてもな。
『俺を見える事が出来る』て事一つで、『 俺 は 、”こ の 胸 ”が 熱 く な る ん だ 。 』
ソイツを旨に、数年間頑張って来てよ。
強ぇー百文字(ハンドレッド)とのスパーリングだって、決死の覚悟で切り抜けて来てよ。
数少ない任務だって、確固たる信念で遂行して来てよ。
俺はな。
自分に『自信が持てて来た』んだ。
なのに・・・。
『 何 な ん だ よ 、 こ の 結 果 は 。 』
ー 誰にも見えぬ、その姿にて。
ホロリと一筋の涙を零し・・。
眠りも続ける『銀装隠密(オレグレイ)』を姿を『 誰も知らない 』・・・・。
ー その涙は、孤独が故の泣きっ面か?
はたまた、想うは仲間の死。
憂いて流すよ、哀悼の涙か・・・?
そ れ は ・ ・・ 。
”絶 望 の 涙 ”で あ っ た 。
”打 ち ひ し が れ た 者 ”が、流 す ”悔 恨 の 涙 ”で あ っ た の だ ・ ・ ・ 。
はっはっは・・・。
俺は何も変わっちゃいなかった。
そして聞こえる。
教授(EEE)が絶望する声が。
状況は絶望的だ。
動ける者は周りの3人。
百文字(ハンドレッド)も、バトゥロ(エイグロン)も居ない状態で、
戦闘力No.3の『企業戦機(ジャック・ダグラス)』がやられちまったとか、どぉーしようもねぇーじゃん。
ああ、聞こえる。
教授(EEE)が恐怖する声が・・・。
スマネェ・・・教授(EEE)。
ピクリとも動けねぇんだ。何も出来ねぇ。
もっとも。
『 俺 な ん か、 期 待 し ち ゃ あ い ね ぇ ー だ ろ う が な 。 』
疲れた。
考える事も億劫だ。
そして俺は・・・。
『考える事を止めた・・・。』
・
・
・
・
・
・
・
考える事を止めた、銀装隠密(オレグレイ)は。
周りの声すらも『街のざわめき』と同じように、耳に入らず、ただただ『殻に閉じこもり』、もう心が動く事は無かった。
ー 邪曲家(ダークフーゴー)の『守ってやる』と言う言葉も。
ー 死地へと向かう『教授(EEE)』の決意も。
ー そして、魔妖香酋長(プカハンタ)の『毒舌』も・・・。
何一つ・・・。
何一つとして、心に響くモノは無かった・・・。
・
・
・
・
・
・
・
コ ノ マ マ 、 終 ワ ル ハ ズ デ ア ッ タ 。
ダ ガ ・ ・ ・ 。
ソ レ ハ 、 離 レ タ コ ノ 場 ニ モ ” 耳 ” ニ 届 イ タ 、 そ の 『 邪 曲 』 。
ッ
ッ
!
ーー 蒼 い 運 命 の 鎮 魂 歌 ( ブ ル ー デ ィ ス テ ィ ニ ー レ ク イ エ ム ) ーー
ーー E E E ( エ ロ イ ・ エ チ ャ ノ バ ・ ア イ ザ ッ ク ) ーー
ド ド ド ド ド ドドドド ドドド ドド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
強い力が、生まれ出るッ!!
滾(たぎ)り溢れるパワーが、そそり出るッ!!
持て余すって言うよりも『破裂するんじゃないのか?』ってぐらいのエネルギーが、この身を襲うッッ!!!
体に”電流”が・・・ッ!!
否 ァ ー ッ !
体躯(からだ)にッ!!
”稲妻(稲光)”が迸(ほとば)るようなッ!!
『 凄 ま じ い パ ワ ー 』が、 俺 の 中 を 駆 け 巡 っ た ッ ッ ! ! !
そして俺は!
呟きも続ける『魔妖香酋長』の言動から『 そ れ を 知 る ッ ! ! 』
ー 勇敢なるは、教授(EEE)の『死』をッ!
ー 荘厳たるは、邪曲家(ダークフーゴー)の『最期』をッッ!!
ー そして・・・ッッ!!
侵 入 者 ( = デ ス ロ イ ド ) の 『 敬 礼 』 ・ ・ ・ ッ ッ ! ! !
どいつもッ!
こいつもよッ!!
”カッコ良い”じゃねぇーか!!
妬 け る ん だ よ 、 お 前 等 に ・ ・ ・ 『 よ 』 ッ ッ ! !
クッソォー、教授(EEE)!
お前、そんなにも『スッゲェー野郎』だったのかよ!!
邪曲家(ダークフーゴー)!
アンタは最高だ!最ッッ高ォーの邪曲家(エビルソングライター)だ!!
そして、侵入者(=デスロイド)・・・ッッ!!!
チックショー、カッコ付けやがってよぉぉおお・・ッ!!
良いじゃねぇーかッ!!
良いじゃあ〜ねぇええーかッッ!!
”熱血”って言うのかよ?
そーゆうのな!
”嫌 い じ ゃ あ ね ぇ ー ぜ ”ッ ッ !
ああ、熱い!
熱いッ!!
熱いッ!
体躯(からだ)が、熱くて仕方が無ぇッッ!!
『 マ ジ で ”爆 発 ” す る ん じ ゃ ね ぇ の か ? って、 カ ン ジ だ ぜ ッ ! ! 』
だが、今俺の中で駆け巡ってる気持ちはよォッ!
ー ヤバイって気持ちよりも!
ー 恐ろしいって気持ちよりも!!
スッゲェー”確かな気持ち”が キ て い る ん だ ! !
そ し て 、
確 か な だ け に ”モ ヤ モ ヤ ” し て 仕 方 が ね ぇ ッ ッ ! !
ー 俺はッ!
ー 俺はッ!!
ー 俺はッッ!!!
『 俺 は 今 、 何 を す れ ば 良 い ッ ッ ! ! ! ! 』
そ し て 、俺 は 、 そ れ を 知 る ッ ッ ッ ! ! !
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ッ
ッ
!
「 『 イ ン デ ィ ア ン モ ノ 、 サ イ コ ォ ォ オ オ オ オ オオ オ オオ オ オ オ オ オ ! ! ! ! ! 』 」
そ れ は ッ ! 抗( あ ら が )う 事 だ ァ ー ッ ッ ! ! !
「 『 ヒヘラヒヘラヒケェェェェェ!!!!
世界の僻地で、必死こいて生きるだなんて、”ニート”だって生きてるちゃあ生きてわぁぁあああ、ンンッッウゥーン!! 』 」
抗
え
!
「 『 ニートが曲だの、科学だのと、なぁに、ちっぽけな『辺鄙な僻地』でカッコつけてんだい!!ハァー!クンカクンカ!! 』 」
抗
え
!
「 『 死闘の果てして、コレモンよのぉぉおおお〜〜〜!!!
侵入者に二人は、殺されて、『 無 様 な 姿 』晒してらぁぁあああ、オエップップ汚ったねぇ 死 に 方 ッッ!!! 』 」
抗
え
!
「 『 足手まといってより、 裏 切 り 者 レ ヴ ェ ル じゃてぇぇぇええええええええええええ!!!!
大罪許しがたきは、裏切りモノよのぉぉおお、
” 銃 ぅぅぅ 殺 ” じゃ あ あ あ ぁぁああ あ あ あ あ ああ あ あ あ あ あ あ ! ! ! 』 」
抗
え
!
バ キ ュ ー ン 、 バ キ ュ ー ン !
バ キ ュ ー ン 、 バ キ ュ ー ン ! !
バ キ ュ ー ン 、 バ キ ュ ー ン ! ! !
バ キ ュ ー ン 、 バ キ ュ ー ン ! ! ! !
ーーー 抗”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”え”え”え”え”え”え”え” え ” え ” え ”え ”え ” え ” え ” え” え ” ーーー
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ッ
ッ
!
そ の ・ ・ ・ 。
瞬 間 刹 那 で あ っ た ッ ッ ! ! !
ゴ”ッ”ッ”ッ”ッ”
キ”ィ”ヤ”ァ”ッ”ァ”ア”ア”ア”ア”ア”ア” ア ” ア ” ア”ア”ア”ア” ア ”ア ”ア” ! ” !” !” ! ”!”
ッ
ッ
!
!
!
不 自 由 に 抗 う 、 そ の 時 !
ド ス 黒 い 悪 意 の 塊(かたまり)に、抗 っ た、 そ う そ の 時 ! !
俺 は !
こ の 体 躯(からだ)か ら 溢 れ 出 る パ ワ ー を 、
” ど う 扱 え ば 良 い か ? ”理 解 を し ッ ッ ! !
そ し て ” 動 く 事 が 出 来 た ” の だ ッ ッ ! ! !
筋 肉 と は 、 ま る で 違 う ” 不 思 議 な パ ワ ー ”だ !
意 思 そ の ま ま で ” 稼 働 ” を す る 、
イ マ ジ ネ ー シ ョ ン の 中 の ” 出 来 事 ”の よ う だ ! ! !
抗 う 事 ! 抗 う 事 ! 抗 う 事 ! !
そ れ は !
『 今 あ る ”自 分 ”を 捨 て て で も 、
持 ち 得 る 全 て を 持 っ て ”打 ち て 倒 す 事 ” ッ ッ ! ! ! 』
そ し て 、 俺 は 全 て を ” 理 解 ” を す る 。
・
・
・
・
・
・
・
「 『 魔妖香酋長(プカハンタ)・・・ッ。 』 」
「 ”コレ”だったんだなッ。
”コレだったんだな”、アンタがしようとした事は・・・ッッ。 」
ー それは、Queen X総統からの直々指令。
各団員へと、別々に与えられる。俺にも与えられた、その指令。
遂にも世界へ打って出る第一歩『レゼルヴェ計画』の極秘の指令・・。
俺への指令。
それは・・・。
『 Q X 団 が 最 終 兵 器 の ”発 見” 』 。
俺には何の事やらサッパリだった。
だがッ!
『 今 、 そ れ が ”理 解 ” が 出 来 た の だ 。 』
「 理解(わか)ったよ、魔妖香酋長(プカハンタ)・・・。 」
「 今、全てが『 理 解 』が 出 来 た ッ 。 」
「 『 俺 が ! 』 」
「 『 俺が、侵入者(=デスロイド)を 倒 し て や る ッ ッ ! ! 』 」
「 こ の Q X 団 が『 最 終 兵 器 』・ ・ ・ ッ ッ ! ! ! 」
ッ
ッ
!
「 『 ” 超 人 間 ( ギ ガ ン ト ・ バ デ ィ ) ” オ レ グ レ イ ・ カ レ ロ フ が な ッ ッ ! ! ! 』 」
ー 静寂の中・・・。
『銀色に輝く体躯』を持つ、その”男”は・・・。
抱きかかえる『老婆』を、そっと床へと”安置”した。
ー 老婆は安置をされたまま、もう二度と”動く事”は無かった。
老婆の死に顔は、”安らか”であった・・・。
それは、魔道へと身を落とした女へと訪れた”至福なる最期”であったのだ。
・
・
・
・
・
・
・
終 わ っ た よ 、 百 文 字 ( ハ ン ド レ ッ ド ) 。
時 期 に 、 お 前 の『 帰 る 場 所 』を 奪 う 者 は 消 え 去 る で あ ろ う よ ・ ・ ・ 。
ーーー 愛 し て お る よ 、『 耐 撃 の 百 文 字 ( ジ ・ ハ ン ド レ ッ ド ) 』 ーーー
・
・
・
・
ー 『魔妖香酋長(まようがしゅうちょう)』プカハンタ 女 年齢 60代前半
サイボーグ能力 ありとあらゆる有害物質を生成し『 毒 霧 』として放出する。
・・・ ・ ・ ・ ・ 『 死 亡 。 』
・・・・
ズシィ・・! (デスロイドは歩く!)
ズシィ・・! (デスロイドは歩く!)
ズシィ・・! (デスロイドは歩を進める!!)
ー デスロイドは感じていた。
それは「震える体」と共に躍動をする『”生命の咆哮”』。
ー それと同(おんな)じ位にも、身を焦がし。
そして、”猛け狂う”モノ・・・。
それは・・・。
『 死 へ の 恐 れ 』。
ー”生きる喜び”を知ると言う事は、それを失う”恐怖”を知る事も意味する。
デスロイドは、自分の中に芽生えつつある”負のエネルギー”を理解していた。
ー だが・・・。
ー それでも・・・。
それでも、デスロイドは”前へ進む事”を止めない。
ー それは”任務”だから?
そう電子頭脳が”指令”を下すから?
それとも”生命の咆哮”が、それをされるから?
ど れ で も な い 。
それは・・・。
今、自分がある前から、ずっとずっと眠っていたモノ。
「濃密」「根深い」「業深き」”原 動 力(エ ネ ル ギ ー)”・・・。
デスロイドは、それを知りながらも、それが”何か”と『解り得ない。』
『負のエネルギー』をも凌駕する『 原 動 力 』。
先の邪曲を切り抜ける事、同様に・・・。
『身に任す』まま。
その原動力(力)に、”身を任す”まま、
『前へ前へと 進 み て 出 る は 、侵 入 者( デ ス ロ イ ド ) 。 』
そして・・・。
侵入者(デスロイド)は、
” 場 ” へ と 、 辿 り 着 い た ・ ・ ・ッ ッ ! !
ーーーーーー
・・・続く。