悔しくて悔しくて仕方の無い事。憎たらしくて憎たらしくて仕方の無い事。
忘れてしまえ。忘れてしまえば良い。忘れると言う事は才能だ。
何かに捉われて続けているなんて、牢獄に居るに等しい。
だが・・・『牢獄から出られなくなってしまった人は、どうすれば良いンだろう?』
何かに囚われてしまったからこそ、『逃げ出せないんじゃあないのだろうか?』
囚われたら『逃げ出せない罰則』を、秩序とするのが世界だ。肉体と精神は別にしろと言うのか?
程度を弁えろと言うなら、夢だとか憧れを旨とする事をする時『常識から外れた行動』になるのは何故だ?
所詮、この世は詭弁だ。所詮、この世はまやかしに過ぎない。
真実は・・・。『己の内にこそ、存在をする。』
真実は・・・。『己の力で、掴み取るしかないのだ。』
コマンタレヴ・ラプソティ
第2話「だが、それで良かった。」
・・・・・
誰もが・・・。
踏み込めないで居た。
黒づくめの男こと・・・。『耐撃の百文字』が歩んだ道を。
百文字は、街の外れからこのスラム街に入り。
町の中心の『ベイビーおフランス(カジノ)』へと足を踏み入れた。
異様な男であった。
彼が歩く事。
それはモーゼの十戒に似て、人波が彼を避ける。
奇声が静まる。怒号が醒める。
その男だけが、この街の秩序であるかのように街は静寂を取り戻す。
シィン・・・。
誰もが彼を避けた。
誰もが・・彼が歩んだその道を『踏み込めないでいた。』
『 だが、それで良かった。 』
・・・・・
ゴ ゴ ゴ ゴゴゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
地鳴りがする。街の外れから。
地面の奥深くから響くように。
ドヨ・・!? ドヨドヨドヨドヨ・・!!?
人々は皆、どよめいた。
誰もが其処に佇んだ。異様なるその地鳴りに恐れを覚えながら。
『 だが、それで良かった。 』
・・・・・
ードゴゥ!
地響きである。
ードゴゥ!
マグネチュードは幾つだ?
ードゴゥ!
震度は?
ードゴゥ!
立っていられない。
ードゴゥ!
誰もが皆・・・。
ードゴゥ!
座り込んだ。
『 だが、それで良かった。 』
・・・・・
ああ!
皆、空を見上げる。
それで良かったのだ!
皆、そう思った。
これで良かったのだ!
皆、そう感じた。
まるでオバケだ!
皆、そう恐れた。
まるで化け物だ!
だが、怖くは無かった。
ー なんておっきくて。
ー なんて強そうなのだろう。
皆がその『巨人』に憧れた。
『 そう、それで良かったっっ!!! 』
・・・・・
ド ズ ン !
ー それは地より這い出た巨人。
ド ズ ン !
ー 大地に大穴を開け、這い出た巨人。
ド ズ ン !
ー それは呼び掛けに応じた巨人。
ド ズ ン !
ー 耐撃の百文字に応じた巨人。
ド ズ ン !
ー どこまでも鋼鉄で。
ド ズ ン !
ー どこまでも無骨なその巨身。
ド ズ ン !
ー 全長50m
ド ズ ン !
− 体重550t
ド ズ ン !
− 耐撃の百文字のみが真実であり。
ド ズ ン !
− 耐撃の百文字のみを盟友とする。
ド ズ ン !
− QX団が 最 終 兵 器 ッ ! !
「そう。そしてその名よ轟けッッ!!」
「 『 ギ ガ ン ト 2 8 号 ゥ ゥ ウウウウーーーーッ ッ ! ! 』 」
ー グ ギャ オォオオオオオ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オオオオオ オ オ オ オ オ オ ! ! ! ! ー
ギガント28号は、雄叫びを挙げ現れたッッ!!
ド ズ ン !
ド ズ ン ! ド ズ ン ! !
ド ズ ン ! ド ズ ン ! ! ド ズ ン !
ド ズ ン ! ド ズ ン ! ! ド ズ ン ! ド ズ ン ! !
ド ズ ン ! ド ズ ン ! ! ド ズ ン ! ド ズ ン ! ! ド ズ ン !
ド ズ ン ! ド ズ ン ! ! ド ズ ン ! ド ズ ン ! ! ド ズ ン ! ド ズ ン ! !
地が鳴り響く。
歩を進めるは『ギガント28号』。
街中をその巨体で持って歩いた訳だが・・・。
人的被害は一切出なかった。
28号が・・・。
百文字が歩んだ道を忠実になぞったのだから。
そう・・・・。
『だからこそ、これで良かった。』
・・・・・
黒き人々は皆、『唱和』をしていた。
自由(フリー)!
自由(フリー)! 解放(フリー!)
自由(フリー)! 解放(フリー!) 混沌(フリー!)
自由(フリー)! 解放(フリー!) 混沌(フリー!) 暴力(フリー!)
響き渡るその地鳴り。
ギガント28号の歩む音と共に。
ド ズ ン !
ド ズ ン ! ド ズ ン ! !
ド ズ ン ! ド ズ ン ! ! ド ズ ン !
ド ズ ン ! ド ズ ン ! ! ド ズ ン ! ド ズ ン ! !
・・・・・。・・・・・。
地鳴りが止まると同時に。
それで居て・・・ッッ!!
黒 人 ( ブ ラ ッ ク ! )だぁぁぁあああ ああ あ あ あ ー ー ー ー っっ っ ! ! !
黒き人々は皆、『大喝声』を挙げた。
『 そう、これで良かった。 』
・・・・・
「黒き人々よ!」
『大喝声』と同時に百文字が叫ぶッ!
「今こそ、白き虚栄が剥ぎ落されッ!」
「黒き大波が、世界を統べるのだッッ!!」
ー うぎょぐぉぉおおおごぉおおおおおおおおおお お お お あ あ あ あ ああ っっ ! ! ! !
悲鳴にも似た歓声を上げ続ける『黒き人々』。
その場にて、絶叫を上げ続ける『黒き人々』。
『 そう、これで良かった。 』
・・・・・
「 『 ちぇりぃぃいいいぁぁぁあああ あ あ あ あ ああああ ーーーー ー ー ー ッ ッ ッ ! ! ! 』 」
蛮声と共に飛び出す百文字ッ!
「行くぞォー! ギガント28号ゥゥウウウーッッッ!!!」
そして、超人的な跳躍力によりてー・・・!
「トォォォォオオ オ オ ー ウゥゥウウウーーーー ー ッ ッ ! ! 」
全長50mを誇るギガント28号の『左肩』まで飛び上がるッ!!
ーガシィッ!
百文字は、28号の首の左側ッ!
金属蛇腹の凹凸を片手で掴んだッッ!!
「28号よ。」
「良い子だ。言いつけ通りにワシが歩んだ道を辿ってくれたようだな。」
ニィ・・!
百文字は微笑んだ。
感動の無い男。百文字にして微笑みを浮かべる。
『 そう、それは、これで 良 かっ た からだっっ ! ! ! 』
・・・・
「 『 レスラーへの賛歌その1! 今は亡きUWFへと『 こ の 技 』 捧げてくれよう ! ! 』 」
「 『 ギ ガ ン ト ォォォォオオオ オ オ オ オ オ オオオオオオ ー ー ーー ー ー ! ! ! ! 』 」
ー ア” キ” ラ”
28号は異音にて答えるッ!
「 『 当 た り 前 田 の ォ ー ッ ! ! 』 」
ー ク ” ラ ” ッ ” カ ” ァ アアアアア ア ア ア ア ア ア ア ー ー ー ーーーー ッッ ッ ! ! !
28号が 雄 叫 ん だ ッ ッ ! !
ー 助走ッ!
ー 跳躍、加るるに、
ー 横転にて、捻りを加えるッ!
その踵。
敵者の顔面や胸元に当てる事にて、『大車輪キック』と相成るが・・・ッ!
「 『 こ の度 は 特 別 だ ッ ! 』 」
ー ギガントよ!
ー 見えるなこのビルがッ!
ー 全長324mを誇る、このビルがッ!
「 この国の縮図であるかのように、黒き人々は低き階層にて!
「 白き人々は高き階層にてと、分け隔てられている『 こ の ビ ル 』がぁぁあああー ー ー ッ ッ ! ! ! 」
ー 今こそ、我らが『分け隔てくれようッ!』
「 『 ギガントォーッ! 』 」
「 『 324 / 2 = 1 6 2 m 付近を 狙 い て ッ ! ! 』 」
ー 「 『 前 田 独 特 の 軌 道 を 描 く ニ ー ル キ ッ ク ゥ ー ッ ! ! 』 」 ー
大ィィイイ イ イ イ イ イ イ イ 車 輪 ンン キ ッ ク を ブチかませぇええええ え え え え え え えええええいいいいッッ!!!
ー ダ ン ッ !
助走ッ!
ー グ ゥ ・・ ・ ン ッ !
跳躍ッ! 加るるにッ!!
ー ズ バ ァ ァアアアーー ン ン ッ ッ ! !
横転にて、捻りを加えるッ!
その踵。
高層ビルが『ベイビーおフランス』の162m付近を当てる事にて・・・ッッ!!!
ゴ ッ ッ ッ バァ アアア アア ア ア
アアア アア ア ア ア ア ア ン ン ン ! ! ! ! !
「『大車輪キックと相成るモノなり・・・・ッッッ!!!』」
ー 轟音ッ!
ー 全長50m誇るギガント28号の、驚愕の大車輪の一撃にてッ!!
ー 高層ビルの上部は ぶ っ 飛 ん だ 。
ゴォオ ッ ッ オオオオ オ ォ ォ ォ オ オ オ オ オ 〜 〜 〜 〜 〜 〜 ッ ッ ッ ! ! !
ぶっ飛ばされた上部、空を孤を描きて飛び・・・。
程無くして・・。
ズッッ ッ ガ ァァ ァ ァ ァアアアアア ア ア ア ア アア ア ア ア アアア ア ア ンン ン ン ! ! ! ! ! !
大地との『衝突』。
そして『破壊音』。
気持ち良い程に飛んで行った、高層ビルの上部は、スラム街の街外れ。
28号は、地に大穴を開けて派い出た場所へと落下をした。
ー誰もが踏み入れなかった道を上通し。
ー誰もが凝視した大穴へと至る。
ー故に・・・。
ー黒き人々の被害は『 ゼ ロ 』 。
そう・・・。
『 それで良かったのだ。 』
百文字は呟いた。
ー いいや!
ー それでは良くありませんなァーーー!!!
「むぅ!」
バババ バ バ バ バ ババ ババ バ ッッッ!!
プロペラ音ッ!
そして、上空より甲高い声が『 響 き 渡 っ た ッ ッ ! ! 』
ーーーーーー
・・・続く。