作者注記)公式設定(現時点)では、雀王機は『飛べません』ので御注意。まぁしかし、それを除けば『こういうのもあり』じゃないかと。(笑)



(草案1の別場面です)
目標:アムステラ帝国の前線基地。地上からの強襲作戦は決まったが、敵は何も地上に居るとは限らない。
航空部隊も同時に叩かねば、この目標を破壊する事は出来ない!  KGF本部ではまさに今、その対策を練っている所であった。

「私が、雀王機で出る」
「敵の推定戦力は飛行型羅甲、2小隊。なお、現在フェルグスは任務遂行中。ウィンドスラッシャーもですが、任務終了後、要請を出せば合流可能な地域に居ます」
「・・・援護は要らない。今回は雀王機だけで行く」
「なっ?!無茶だぜ!」
「何か策でもあるのか?・・・ふっ、愚問だったな。俺達は負けに行く訳じゃない・・・よし、今回はお前に任せた!」
「でもよぉ・・・しゃあねぇ!俺達じゃ空中戦は出来ないから任せるけど・・・無茶はするんじゃねぇぞ!」
(周りの皆は内心、「お前が言うか!」とツッコミを入れている)

〜前線基地の山岳上空〜
雀王機の接近を受け、飛行型羅甲の部隊が雀王機を包囲する。
数分後、激しい交戦の末に包囲網は縮んでゆく。リー棒シールド(電磁バリア)が羅甲の攻撃を食い止め続けるものの、まさに多勢に無勢。
とうとう、背後から羽交い締めを受けてしまった。
そして束縛された雀王機の前に角付き羅甲が。どうやら小隊長機らしい。

「・・・ハッ!噂に聞くKGFも大した事は無いな。この機数を相手にたった一機で挑むとは、馬鹿な奴め!こうも無謀な馬鹿ばかりなら、制圧するのは容易い事よ」
「・・・その言葉、返すぞ」

ドシュッ!
突然、雀王機を抑えて居た羅甲が紅い光に貫かれる。それを皮切りに、雀王機の周囲に雨あられと降り注ぐレーザービーム。

「なっ、何?!何処からの攻撃だ?!」

小隊長機の悲鳴じみた問いかけに応えられた者は誰も居なかった
。情け容赦無い136本の光線が、雀王機を取り囲んだ羅甲を上下左右から包み込んで居たからである。
接近しながら密かに配置した牌ビット。交戦しつつ雀王機が誘導した位置こそ、アリ地獄の中心。一度獲物を捉えたら逃さない必殺の陣だったのである。

「ば、馬鹿な・・・3小隊が瞬時に全滅するとは・・・」

ぐらりと揺れたかと思うと、各所から黒煙を吹きながら墜落する小隊長機。だが・・・

「だが、これで終わったと思うな・・・最終防衛網には新型機が・・・グワァッ!」

小隊長機、爆散。それを見つめながら静かに呟く槙絵。

「・・・私は、絶対に負けない」

飛行型羅甲部隊を壊滅させ、基地の防衛網を目指す雀王機。その前に立ちふさがったのは、羅甲より一回り大きな新型機であった。
半身を隠す程、大きな盾に全身を包む札状のパーツ。両肩にはビーム砲らしきものを備えて居る。機動力は無さそうだが・・・。

「・・・先手必勝」

雀王機の背中から扇状に牌ビットが飛び出し、新型機に苛烈な砲火を浴びせる。だが、相手も全身に纏った札を周囲に放出した。
どうやら札は一種のビットと言うかチャフらしく、レーザーを2〜3回食い止めては燃え尽きて落ちてゆく。しかし札の枚数は際限なく多い。
膠着状態か?と思われたその時。新型機の肩が輝き、強烈なレーザーが放たれる・・・雀王機の左右、何も無い方向へ。

「?・・・!!」

あまりのノーコンぶりに一瞬、動きが止まりかけた雀王機だったが。
天性の勝負勘が危険を知らせたのか、急激に上昇して回避行動を取る・・・ギリギリ間に合った。
今まで雀王機が居た空間を、左右から来た高出力のレーザーが灼いたのである。

「新手・・・いや。反射、か?!」

その言葉が終わらぬ内に再び新型機の両肩が輝く。今度は直接狙って来たが、難なく回避・・・直後に高速旋回。
螺旋状に下降する雀王機の後方を貫く光が4条・・・4条?!2条は先の攻撃が反射されて戻って来た様だが、後の2条は?!

「両方、か・・・」

センサーを精査モードにして周辺探査。数ヶ所に大型のビットが確認はできたが、札状のビットが妨害電波を出しているのと山岳地の地形による電波障害で、
潜伏位置を確定するには至らなかった。どうやら、大型のビットが高出力レーザーの反射鏡機能を持つらしい事は判ったが・・・。

ところが!戦況は意外な展開を見せた。
突如、山腹の岩の上から五色の煙が吹き出したかと思うと、煙の中からスーパーロボットが腕組みをした姿で現れたのだ!

「HAHAHA!我が名はファントム!我こそは世を乱す悪を討つ、龍の忍者っ!」

名乗りを上げるファントムを、情け容赦無く4条の光が貫くが、レーザーが貫通してるのに無傷?・・・いや、これは立体映像だ!
次の瞬間、空中に居る新型機の真下から急上昇する影が!慌てて盾を構えようとする新型機だが、真下は人間で言えば死角。
しかも、影の肩から射出されたブレードチェーンが突き刺さり、新型機の腕を封じつつ引き寄せる。その影はやはりファントム。
新型機を羽交い締めにしたかと思うと、頭を下にして錐揉みしながら墜落する。

「必殺ッ!ローリングイズナァァァ〜!!」

勢いよく地表に突き刺さる2機。しかし、爆煙が散った後には新型機の残骸が残るのみ。

そして潜伏したもう一機が茫然自失から覚め、再攻撃を仕掛けようとした時。既に勝負は決していた。
牌ビットが6機ずつ、花弁状に寄り添って同方向へレーザーを射出する。何も無い様に見える空中に向かって。
雀王機の謎の行動に戸惑いつつ両肩の砲を構え・・・今の攻撃の意味を悟って慄然とした瞬間!
高出力レーザーで反射攻撃する予定の軌跡を逆に辿ってきた牌ビットのレーザーの束が、発射寸前の砲を撃ち抜いたのである。


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