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「お・おひ! 幽霊!そへとも霊魂かカァ!!」

 ピピアンが喚(わめ)く。

「偉ソウに、説教ブッコイテたろぉおおおおお!!助けろぉおおおおお!俺を助けろぉおおおおおおおおおおお!!!!」

 虚空に向かって叫び続ける。



「助けお! 助けお! 助けお! 助けお! 助けお! 助けお! 助けお! 助けお!」


 偉ぶって! 偉ぶって! 偉ぶって! 偉ぶって! この期に及んで、偉ぶって命令し続けるっっ!!!





「 助けぉおおおおおおおおおおおおオオオオオオ オ オオ オ オ オ オ オオ オ オ オ オオオ!!!!!」


 声の限り叫び続けて・・・。




 ハァッ! ハァッ! ハァッ! ハァッ!


 ピピアンボーイは、息を切らした。






 ー おいおい。虫が良いんじゃねぇーの?


 ー あんだけ言ってやったのよぉ。


  再び響くは、『霊』と呼ばれた者の声。








「謝っへやうぅうう! だぁっっから、助けお! 助けお!! 助ぁぁぁぁああああああけぉおおおおおおおおおお!!!」

 回らぬ舌で、偉ぶるボーイ。





 ー 悪ぃーな。俺は特別な力を持った存在じゃあねんだ。只の飼い犬なんでな。


 ー そして俺は、只の『お前さんの走馬灯の一部』。


 響き渡るは、意外な真実。




「そ・走馬灯ゥー!!? し・死ぬ前のアヘかぁ!!? し・死ぬのァ! 死ぬのァ、俺ぇぇぇぁあああああ!!!?」

 真実驚愕、ピピアンボーイ。




 ー 蹴り放つ時から、本能が直感してたんだよ。


 ー それからずっと、走馬灯ってたのさ。


 告げ続けるは響く声。




  ー そして、そろそろ始まるぜ?

   告げる・・・。





  ド”ゴ”! ! ド”ゴ”! ! ド”ゴ”! ! ド”ゴ”! ! ド”ゴ”! ! ド”ゴ”! !(叩かれている!)



  ド”ゴ”! ! ド”ゴ”! ! ド”ゴ”! ! ド”ゴ”! ! ド”ゴ”! ! ド”ゴ”! !(顛贅(テンゼイ)が!)




 ド”ゴ”ゥ” ! ! ド”ゴ”ゥ” ! ! ド”ゴ”ゥ” ! ! ド”ゴ”ゥ” ! ! ド”ゴ”ゥ” ! !(壊れていく!)



 ド”ゴ”ゥ” ! ! ド”ゴ”ゥ” ! ! ド”ゴ”ゥ” ! ! ド”ゴ”ゥ” ! ! ド”ゴ”ゥ” ! !(顛贅が壊れていく!!)







「ひぎぃぃいいいいいいいい!!! 機体が!機体が拉げて潰れて行ぐぅううううううううううううう!!!!?」


 絶えた望みに、恐怖するボーイ。




 ー 問答無用の奴さん(ギガント28号)の踏みつけ(ストンピング)ってヤツだ。


 ー 鉄クズになるまで、続くだろーな。


 現実告げるは、響く声。




「いやぁ!いやぁ!いやぁ! ぃぃいいいいいいいいやぁああんやんあななんあなななんあなんあああああああ!!!?」

 泣いて喚くは、ピピアンボーイ。




  ー そうそう。ずっと会いたいって言ってる奴等(走馬灯)が居てよ。


  ー もう時間も無いんだ。面会してやってくれよ。


  了解得ないで、頼むは声。





    スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。(顔が浮かび上がる。)




         ー 見覚えなくても面会してやってくれよな。




    スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。(皆こっちを見ている。)




         ー 皆、お前さんに『ゴミのように扱われてきた奴等』だ。




    スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。(何言わずにじっと見つめる。)




         ー 最後の最後。死ぬ直前のお前さんを・・・。



    スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。(暗い顔して、瞬きもせずに。)




         ー 恨めしそうな面(ツラ)して、見送りたいんだと。



    スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。  スゥ・・・。(数え切れぬ程、ソレは多い。)




         ー ほれ・・・。さっきお前さんが、蹴とばして踏み潰した・・・・。





        スゥ・・・。(そして。)


         ー 俺の部下達(ダチ公)も・・・。


          スゥ・・・。(ラスト) 



            スゥ・・・ッ。(3人・・・。)






 ブ ツン (照明が消える。)




 ・・・ ・ ・・ 。 (暗闇の中、ピピアンボーイは。)





「ィ。」

 走馬灯に恐怖し。



「ィ。」

 走馬灯に恐れを無し。



「ィ。」

 こんなハズじゃないと思いながら。





「イ ギ ャ ア  ァァァぁぁぁァァアアああああァァぁぁッァあぁぁァァアアああ あ ア ア ! ! ! ? 」



 言葉にもならぬ『 悲 鳴 』を挙げ。





      ヴ チァ ・・・・・・・ ッッッ !!!! ( 潰 れ て 圧 死 し た 。 )






  ー ピピアン・クラケット 男 年齢24

    乗機 対宇宙怪獣用試作操兵・暴顛贅(アバレテンゼイ)



        ・・・ ・ ・ ・ ・ 『  死 亡 ッ ッ ! ! ! !  』









            ・
            ・
            ・
            ・

            ・

            ・


            ・





・・・・




○クロガネの賛歌 第3.5章 ー 短編シリーズB  ー



 「 走 馬 灯 」




・・・・








・アムステラの牢獄


暗い。暗くて。暗黒たるは。その場所。

光りさえも逃げ得る事の出来ない、暗黒の重力・・・。

『 ブ ラ ッ ク ホ ー ル 』

ある者は嘆き。ある者は嘔吐し。ある者は寝そべったまま動かない。


此処はそのブラックホールの重力波に影響受ける『宇宙空間』。そして『宇宙刑務所の内部』。

刻々と重力が変動する“地獄”で強制労働を続ける『終身刑』が執行される場所・・。


“世にも奇妙な鋼鉄の赤ん坊”『ドクトル・ベイベー』は、その“アムステラの牢獄”に居た。


高重力の発生の為、強制労働は中断。座禅を組み。重力が緩和される“その時”を待ちて望む。


そんなベイベーの前に・・・。

1人の“虚像”が現れる。


その虚像は、憔悴し切った顔をして。

凍りつくような冷や汗と、ガクブルリと震えながら・・・。

文句の一つや二つがあると言ったカンジに、ベイベーに話しかける。



「ヒギヒギ!ヒギイ!!」


「俺は死んだ!死んだ死んだ死んだ死んだぁぁぁぁあああああああああ!!?」


「そんな俺も走馬灯として登場だ!このピピアンボーイ様のご登場だぞぉ!!」


ベイベーは答える。


「それは久しき事でちゅね、ハァイ。」


走馬灯(ピピアン)は続ける。


「俺、死にたく無かった!!」


「一杯!一杯!一杯!生きて、Hも一杯したかった!!」


ベイベーはこう言う。


「君は天才だった。それ故に傲慢であった。」


「己の力を過信し、相手の力量を見誤った。」


「結果は戦死。お悔やみ申し上げまちゅよ、ハーイ・チャン・バブゥー。」


ピピアンは続ける。


「お!お!お○○○!! いや“お悔やみ”で済むかー!!」

「死んだんだぞ!もう息しないんだぞ!HもHもHもHも出来ねェー お ち ん ち ん ! ! ! 」

「そんな鋼鉄の体をしているアンタにゃ解らないだろーが、俺の前で股開く女はワンサカいたんだ!!」

「S○Xしてぇぇぇえええええええ!!!マッハでマッパになって、パンパンしちまいてぇぇぇええええええ!!」


ベイベーは答える。


「認めるのでちゅ、ピピアンボーイ。君は死した。今こうして僕の前に現れたとしても何の意味も無き事。」


「眠るのでちゅ。其処に死した者の安息があるハズではございまちぇぬか?」


だがピピアンはこう言う。


「全ては!全てはお前がクラケット家の前に現れたからイケナイんだ!!」


「俺は憧れた!性能が良い兵器を!高速キックを繰り出せる羅甲を!!」


「強い者に憧れ、強き事を望む「少年(ボーイ)」そのままに、このピピアンは『ピピアンボーイ』となったんだ!!」


「確かに良かった!“クラケット家”が持つ『軍人として汚名』を!この俺が返上して行く様に“俺って天才”なんだなって確信出来た!!」


「事実、俺は“天才”だった!男は俺に敬服し、女は俺に股を開いた!!」


「おちんちん!おちんちん!お○○○!S○Xッッ!!!」


ベイベーは答える。


「君は気付くべきでちた。確かに君は有能であった。」


「だが、その戦功の半分以上は・・・。」


「『闇夜八行衆(アンノーセス)』“迷宮の道化師”ゲン・ドルベルの『計略』に起因ちゅる事を・・・。」


「素行にも問題があった。社会的弱者を人と見ないその性格・・・。」


「顔立ちと勇名により、異性にモテたと言う優越感が、過剰に自分を有能だと勘違いさせてしまった事もあれば・・・。」


「その為、驕り高ぶってしまった性格が、ピタリと止まった君の成長を“気付く余地が無かった事”を・・・。」



ピピアン。


「・・・・。」


ピピアンは何も答えられない。


ベイベーが続ける。

「思えば、11年前の事でしたかね。」


「君が僕の創った兵器の数々に、感動を覚え。」


「汚名著しいにも関わらず・・。」


「『クラケット家出身の軍人』を志すようになったのは。」


ピピアンが続ける。

「・・・・・・。」


「純真だった。自分の手でこんな凄い操兵(モノ)を動かせる事に感動を覚えた。」


「どんな目でこのピピアンを見ようとも、必ず羨望の眼差しに変わる“快感”。」


「このピピアンは、それに“酔い痴れた”。」


ベイベーが続ける。


「その名を決定的にしたのは『惑星ブルーツポンチの“造反”』。」


「ゲン・ドルベルの指揮の元、君は自分が持つその力を遺憾無く発した。」


ピピアン。

「その力を己のモノと過信した。世界は自分を中心に回っているかのように思えた。」


「死した、あの日。このピピアンは聞いていたハズだった。作戦でも警戒を良しとした。」


「だのにギガント28号を甘く見て、こんな結果になってしまった・・・。」


ベイベー。


「お悔やみ申み上げまちゅよ。」


「ピピアンボーイ。」


ピピアン。


「・・・。ドクトル・ベイベー。」


「この重力下、走馬灯を見るほどの生命の危機を覚えながら。」


「錯乱するこのピピアンを、諭し沈めるとは恐ろしい人ですね・・・。」


ベイベー。


「褒め言葉、有難くハァイ。しかし決して余裕がある訳ではありまちぇん・・。」


「動く事すら困難なこの重力下。決して生易しいモノではございまちぇぬ。」


「だが一つ言うなれば・・・。僕は揺るぎまちぇぬ。僕はただただ“信じている”。」


「必ずや。そう必ずや僕は『この“永遠の鎖縛”』から『“未知なる力”』に目覚めるだろう事を。」


「そしてQueenXが、必ずや惑星オオウに蔓延る宇宙人食い熊レッドヘルムを打ちて倒す事を・・・。」


「僕はただただにして・・・。“強き意志”で持ってのみ、それを 信 じ て い る 。 」


ピピアンが続ける。


「伝聞。・・・いや、このピピアンは“ベイベーの走馬灯”だから、解るのか。」


「バトゥロが駆る『鷲蘆鋼人(シュウロ・コウジン)』と、デスロイドが駆る『鐵玄戦車(テツゲン・センシャ)』の戦いを収めた時も・・・。」


「“ベイベー”、君は『決死の覚悟』で立ち振るまい。決戦を『 止 め 得 る 事 』が出来た。」


「そして暗愚の上司(ボギチオ)を尻目に。実質作戦責任者として『 ギ ガ ン ト 破 壊 指 令 』を発案した。」


ベイベー。

「才無き者が取るべき行動。それは“努力”以上に・・・“覚悟”でございまちゅからね。」


「“覚悟”を持って取り込む事。さすれば、出来得る手段と不可な行動が見えてくるモノでちゅよ。」


「そんな“覚悟”と“決断”の中。一つだけ運の良さは感謝するのなら、それは1年前のお話。」


「偶然とは言え“ギガントバディ”の適合者を、引き入れる事に成功した事でちゅね。」


「そしてその姿その性格は、これまた偶然・・・。」


ピピアン。


「“バトゥロの娘”と瓜二つであった・・・。フッ、ベイベー。もしあの時、このピピアンがギガントを倒し。」


「あの場にいた『名無しのルーキー』を殺していたら、どうするつもりだったのですか?」


ベイベー。

「その時はその時でちゅよ。」


「君が死んでしまった事は想定外でちたが、銃を持った事すら無い人間に急ピッチで『狂剣客(クルイ・ケンキャク)』に適合させる為には・・・。」


「どうしても、厳しい局面に直面して貰わなければならなかったでちゅからね。不慮の死は覚悟の上の行動でちた。」


ピピアン。

「このピピアン。自身の走馬灯にも言われましたよ。ギガントは決して勝てぬ相手では無かったとね。」

「今更、その結果をどうこうと言うつもりはありませんが・・・。」

「しかし、数奇なモノだ。あの戦闘でこのピピアンが死したからこそ、ルーキーは生き延びて。」


ベイベー。

「この僕は彼女(ルーキー)と遭う事が出来た。」


「そして、想像以上に彼女は強くなっていた。」


「僕が本星に戻った以降の事は解りまちぇぬが・・・。」


ピピアン。


「バトゥロはギガント破壊指令を『ベイベーの計画通り』行うでしょうね。」


「彼は良くも悪くも青過ぎる。このような偶然を軽く見る事は出来ないでしょう。」


「だが一つ懸念点があるとするならば・・・。」


ベイベー。

「 “ 毒 針 ” ア ク ー ト 。 」


「彼が同基地内に居る事が、どんな結果をもたらすのか予想が出来まちぇん。」


「実直なバトゥロ君と、何かしらのトラブルが起こり得る事は避けられないでちょう。」


「無能なボギヂオでは、そのトラブルを抑える事は出来ない。」


「願わくば・・。そう願わくば、不備無く進む事を祈るのみでちゅね・・・・。」


そうこうしていると・・。


「このピピアンの虚像が消え行く。」


「そうか。高重力の山場は過ぎたと言う事か。」


ベイベー。


「なれば今の内食料の搬入を行いまちゅか。」


「強制労働とは言え、重力が低い内に行うしかないでちゅからね。」


「何時まで経っても慣れまちぇぬよ。この死を孕んだ高重力にはね。」


ピピアン。

「全くアムステラの牢獄とは良く言ったモノですね。」


ベイベー。

「しかし必ずや抜け出してみせまちゅよ。」


ピピアン。

「脱獄を祈っております。」


「それでは。」


そう言うと、ピピアンは消え行った。


ベイベーは呟く。

「バトゥロ君。全権は君にありまちゅ。」


「僕が戻る頃には必ずや『ギガント28号を“打ち倒し”』」


「“ユリウス・アムステラ様の栄光”の為、共に邁進ちましょうぞ。」


そしてベイベーは、労働に向かった。






ーーーーーー




     ー 『 完 』 ー