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ここはお馴染み アルバニア首都ティラナ
太陽が昇るにつれて街中は笑顔で賑わう街

そんな中、喫茶店で珈琲を飲んでいたスーツの男へ一つのメールが届いた

『緊急招集 直ちに戻られたし』

いつもなら見て見ぬフリをするが今日は違った
ここに来るまでに買ったメディア紙を鞄にしまい胸ポケットからサングラスを取り出し珈琲代を支払い、男は大きな欠伸をしつつも目的地へ向かうとした。



第二話α
〜迷うバカと泣くバカ〜




ここ、アルバニアの首都ティラナには大規模なジオフロントがある、世が世なら他国との交流のために作られるモノであったが今となってはティラナが戦場となったときのシェルター代わりになっている。
しかし大規模だったためシェルターのほかにティラナジオフロント内部基地が建設されたのであった。


だが、いつもは静かなティラナジオフロントなのだが今日は何かが違った

「……迷子?」
「そう、迷子」

どこもかしこも同じで「迷子」という単語を軸に話をしている、どっかに迷子でもでたのか?それともどっかのだれかが迷子なのか?
一体何のことやら、聞いてるこっちが迷子になりそうだ。

しばらくして目的地に着く
胸ポケットからハンカチを取り出しサングラスを軽く磨き、タバコを取り出し軽く一服

「あの、ここでの一服はお控え願えますか?」

ツナギを来た二人の整備員が近寄ってきて注意して来た。
それもそのはず、ジオフロント内部でそんな小さな煙でも探知すれば消火用のスプリンクラーがジオフロント全域に起動するからである。

「あぁ…すまんすまん 癖でな…シュガレットに変えるとするよ」

携帯灰皿に吸いたてのタバコをしまい、ポケットからシュガレットを取り出し口に咥えた
それを見た二人の整備員は、納得したのか呆れたのかその場を去って行った。

しかし、緊急招集だから来たのに誰も来やしない

「……場所、間違えたか?」

それから、何時間たったであろうか…
シュガレットを3本吸い終わる頃、サングラスの男は眼鏡をかけた爺さんに声をかけられた

「よぅ、結構早かったじゃないか。 何時も遅刻しかしないあんたがドキドキの遠足気取りか? まだまだ餓鬼だのう、中尉さんよぉ?」
「早いも何も、あんたを待ってたんだよクサレ爺…で、今日のスケジュールはなんだ?」

二人は格納庫へ足を向けた

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ティラナ内部基地 通信室
昨夜、ティラナ周辺にてアムステラの侵攻があった
それを阻止すべく機動兵器部隊を何機も出撃させたが帰って来たのがたった二機であった

「ちょぉっとぉー帰って来たのが2機ってどーゆーことなーのよー!!」

ちょっと奇声混じりの声を発する全身筋肉で構成されている男が涙鼻水口汁体液もろもろ身体全身から汁を出しつつ
報告に来た兵の襟首を掴み、上下に "ブン""ブン"と風を切る音を鳴らせながら問いたてた

「ロエルちゃんはー!?この基地のエンジュェェェルのローエルちゃーんはどーなったのよー!」
「そ、それが…げんざいそうさくちゅーでしてー」

捜索中 その言葉を聞いて振り回すのをやめた

「なんだ捜索中なの〜?それならそうと早く言ってよねん もーミックたんびっくりしちゃったー」

アリオン=ロサミックス
別名 剛腕の局長
元陸軍軍医中将であったが今はこのティラナ内部基地の全てを握る局長である
ちょっと脳内構造がおかしいが医学のエキスパートであり腕はとても器用

それ以上に優しさの塊である彼は非常に兵に信頼されている

「まぁいいわん、それよりはやくロエルちゃんを見つけて頂戴!」
「あ、アリオン局長…そのまえに"そいつ"を降ろしてあげてください」
「…降ろす?」

アリオンの腕の先には今まで振り回された兵が泡を噴き出して失神していた

「キャー!誰これ!誰がやったの!? ちょっと医療班!医療班来てー!」

(あんただよ、あんた……)

ただ、ちょっと間が抜けているのが不安要素である
アリオンの大声(奇声)で早く医療班が早くたどり着き泡を噴き出した彼は奇跡的に一面を取りとめた

「まぁ、こういう日もあるわよね。 ミックたん反省反省」

本当に反省したのかわからないがこういうときのアリオンは触れないようにしようという暗黙のルールに新たな項目が出来上がった

「しかし、アリオン局長…幾らロエル少尉でももう見つかってもいいはずですが…」
「そうねぇ…ティラナ周辺は全域探したし…」

昨日戦場となったところは酌まなく探したが、足跡一つも見つからない
そして、捜索はいつしか夕方になるまで時間が経過していたが一向に見つかる気配がしない

ただ、時間だけが過ぎていくのであった…



あれから、何時間たったのであろうか夕日は沈みかけ辺りは星が見え始める頃。
ティラナから遠く離れた、アルバニアのドゥラス州『クルヤ』の山脈地帯に一機ぽつんと体育座りをしていた。

「……んにゃ、おはようございます」

ヴェスタロッサのコクピットでは今まさにロエルが目覚めた状態であった、寝起きなのでおめめはしぱしぱして喉もカラカラ、腹部からおなかすいたーと言いたそうな音も鳴る。

とりあえず自分がどこにいるかわからないため状況確認。


……
………

見渡す限りの"山""山""山""山"というか四方八方山ばかり何をどう間違えたらこうなったのか自分に問い建てたい気分であった。
昨日はティラナに向かったはずだったロエルであったがここ何時間かの記憶がない。
ロエルの直感が正しければ、今のロエルはマーケットでお母さんから離れた子供、簡単に言うと……

「…迷子」

ロエルは絶望感に包まれた、生まれて初めての迷子、迷ったら近くの人に聞けばいいが近くに人はいない。
しかも空腹ついでに喉も渇きこのままだと餓死する可能性も見えて来た。

ただ幸いにも今まで体育座りをして移行一切も動かなかったためヴェスタロッサの残量エネルギーは自動充電で充電済み。

動こうと思えば右へだろうが左へだろうがどこへでも行ける。
しかし、どちらへ向かうべきか…この選択は賭けである

この選択を1つでも間違えれば確実に餓死する…

そして現在地をもう一度確認しレートを考える

まず初めに、直進コース
地形スキャンで見ていたが大きな山へ繋がっているため時間がかかる
それにこんな山中に町がある確率はとても低い、よってオッズは2.45倍

次に右斜め上コース
初めは緩やかな道だが進むにつれて急な崖が多く存在する
一歩間違えればヴェスタロッサでも致命傷になる可能性もある、よってオッズは2.00倍

続けて、右コース
よくよく見てみると何か街道みたいなものが見える
このまま右に直進すれば街が見つかるかもしれない、よってオッズは1.01倍

右斜め下コース
右斜め上コースと同じような崖が多い地形。
しかし、結構小さめの崖なのでジャンプを繰り返せばここから簡単に降りれそうであるが湖しか見れない、よってオッズは1.55倍

後進コース
はっきし言ってこの道は無い、というか道がない途中から断崖絶壁になっていて進むにも進めない
うまくブースターを使えたとしても武装が重すぎて意味がない即死ルート、よってオッズは5.00倍

左斜め下コース
ちょっと回り道をしそうな下りだけどすぐ平地が見える
運が良ければ街もあるかもしれない、よってオッズは1.01倍


左コース
所々岩が転がっており進むのに時間がとられそう
ただ、森林地帯が見えるのでもしかしたらこの道を進めばティラナに着くかもしれない、よってオッズは0.85倍

左斜め上コース
山以外何も見えないこの道は行かないほうがいいだろう
しかし、こういう道に限って街がすぐ近くにあったりする、よってオッズは1.15倍

「…あれ、でも待てよどっちが右でどっちが左なんだ?」

今さっき、直感で浮んだレートを考えなおしても"後ろが危ないよ"としか思い出せない

「まぁーなんだ考えてもしょうがない進むならやっぱ、まっすぐだよな」

とりあえず、水分がほしい気もするが餓死する前に食事優先。
ティラナに向かうことを忘れ、ヴェスタロッサは歩き出した

その時である

急なアラーム音が鳴り響く。
例え三歩歩いて忘れるロエルでも、このアラーム音だけは覚えていた…
近くに敵機、アムステラの機動兵器が存在するという事だからだ。
しかし、ヴェスタロッサのレーダーでは敵数の確認や識別をすることはできない

まずは、ギリギリまで近づき敵の状況を把握するのが第一
幸いにも山に囲まれたこの地形ちょっとやそっとの事では気づかれまい

ロエルはレーダーを頼りにヴェスタロッサを進ませた

双眼鏡を使えどアムステラの機動兵器を目で確認できる範囲まで進み待機させる

「数は…1、2、3の…4か……」

敵数は4機、ノーマルタイプのラコウが4機、それと運搬用のトレーラーが1台

「まぁ、どう見てもありゃー護衛だわな」

例え帰り道が分からなくなったロエルでもこの現状は見るだけで分かった。
あのトレーラーは補給物資、どんな物が入ってるかわからないが護衛をつけてでも持っていかなければならない物、
さらに護衛はノーマルタイプのラコウといえど4機も配備されている…
よってあのトレーラーに入っているものは"重要"だと言う事。

だが、この空腹で喉もカラカラの状況で4機のラコウを相手できるのか?

「ま、なんとかなるか」

ロエルは考える事をやめ、ダッシュローラーで一気に駈け出した


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「クルヤ山脈地帯で戦闘でっすってぇ〜!?」

通信室にアリオン局長の奇声が響いた
それもそのはず何度も偵察機が通過した点でなんの異常もなかった地帯での戦闘
さらに山岳地帯には地球軍の基地などあらず戦闘が起きるなどありえない話なのだから。

「間違えありません、どうします?あそこなら輸送機で飛ばせば数分で着く距離ですよ?」
「あら、そうなの? もしかしたらロエルちゃんがいるかもしれないわねん…輸送機の使用を許可するわよ」


クルヤ山脈地帯で戦闘の情報はすぐ格納庫の整備班とパイロット達に伝えられた
輸送機には6型、7型を中心とした編成で格納され、輸送機は一斉にクルヤ山脈地帯に向かった

「んぉ、クサレ爺なんか誰もいなくなったぞ?」
「アムステラが攻めて来たかなんかあったんだろう、それよりお前は局長に挨拶に行ったのか?」
「…会うだけあったが、俺ここに住むの無理 お家に帰ってニートになりたい」

サングラスをかけた男は全身小刻みに震えていた…
眼鏡をかけた爺さんは彼の肩をぽんっと叩きそのまま手を振って去って行った

「あら、ショウリ=アズマ中尉。こんなところで小刻みに震えてどうしたのん?さっさと手続き済ませましょ?」

サングラスをかけた男、ショウリ=アズマ中尉はゴスロリファッションで身を固めたヒゲマッスルに担がれ格納庫を後にした……


果たしてロエルは何時になったら帰れるのか。
サングラスをかけた男、ショウリ=アズマ中尉はヒゲマッスルから逃れる事が出来るのであろうか…


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道は緩やかだが大きな山波を一気に下山するのは二足の足ではとても難しい。
それに、急なくだり坂を下る時、踵に重心をかける、人間は本能的に"転倒しないように"と自己防衛が働き歩きにくいフォームを取ってしまう

だがヴェスタロッサは違った
膝を曲げ低めの態勢を保ち、まるでスキーを楽しむスキーヤーであるかのようにダッシュローラーで急加速しながら下山していた

もちろん護衛部隊のパイロット達にその反応は探知されるだろうが今はただ突っ込む
ロエルはそれ以上の事を考える頭を持ち合わせていなかった


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アルバニア クルヤ地域 駐留アムステラ地上戦艦

「護衛部隊が襲われただと!」

現在交戦中の護衛部隊から地上戦艦へ通信が送られた
その、通信内容は援護の要請であった

「まさか、あんなところに伏兵が居たとは…」

艦長はあまりの驚きを隠せなかった。
間もなくこちらに届く物資が、まさかあんな山岳地帯から襲撃を食らうとは思ってもいなかった。

「おんやおんや、艦長さん一体なーにがあったヅラ?」
「エッシッシ、なーんかあっせってるみたーいディスよ?」
「おなかすいたのかなー?」

そこへ何しに来たのか、黒いパイロットスーツを着た三人がブリッジに現れた

「御三方…ここはブリッジです、パイロットは直ちに格納庫で待機してください」
「やんや、お固い事。俺ら毒蛇三兄弟はここに配属されて日が浅いヅラからねぇー」
「どうやらなーにかおこまりなんじゃなーいかなーと立ち寄っただけディスよ」

毒蛇三兄弟、長男の"スガート"と次男の"デクニー"、三男の"セン"で共に、
アムステラ地球侵攻軍EU部隊に配属されたようだが部隊内で問題を起こしこちらに左遷された三兄弟である
長男を頭にし常に三人一緒に行動を取っており、軍内での名は広がっていないが、この態度だけに腕は確かのようだ

「おにーたま、おにーたま。どーやらえんごようせいがきてるみたいですよ」
「それは本当ディスか弟よ?アニキ、ここはオレらの腕の見せ所ディスな!」
「おんやまー軽く行くヅラか?」

そして謎めいた奇声を上げつつ三兄弟はブリッジを後にした

「艦長、良いのですか? あいつらを野放しにしておいて……」
「分かっている。だが、連中を引き取る際野放しにしろとの事だ……」

連中が一体どんな問題を起こしたか深くは知らんが、あまりかかわるとこちらの身も危ない。
それに、言葉だけではなく連中の腕を見ておきたかった

「三兄弟が何時でも出れるようにカタパルトを開けておけ…射出後、一旦基地へ帰還する」


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山を下り終えたヴェスタロッサに次はマシンガンによる弾幕が向かって来た
すぐさま、ダッシュローラーで右足を軸に旋回し砂埃を発て態勢を整える
数は少ないがこうも弾幕があると迂闊に接近できない、それに迂回するにしても距離があってゴールドクラウンでの攻撃は難しい

「だったらこいつの出番か…」

両腰のプッシュ式スラップスイッチは軽く弾くと左右から十字型の銃が射出、それと同時にキャッチしエネルギーケーブルを接続する。
十字二丁銃−シルバーゴッデス−はヴェスタロッサの動力エネルギーを使用したビーム兵器。
しかし、ダッシュローラーで一気に下山したため満タンだったエネルギーも結構減ってしまった。
ここはエネルギーの節約と考えて狙うはコクピットの部分を一発で撃ち抜き行動不能にさせる事。
だが、全機同じように撃つと4機×5個所…弾幕を避けつつ撃つとしてもエネルギーが足りるかわからない。

「まっ考えてもしゃーないか、突っ込むのみ!!」

ロエルは考える事をやめた、どうせ考えても今動かなきゃ意味がない。
しかし、マシンガンの弾幕は止まる事を知らず、今まで旋回していたヴェスタロッサの姿勢を低くし、護衛のラコウ目掛けて加速。

まずは弾道を易々とかわし1発、そのまま護衛部隊の中心点に潜り2発、通過後ラコウが振り向いた瞬間に1発


「See you Again」

コクピットを撃ち抜かれたラコウ達は一瞬持ちこたえたかのように見えたが、数秒後にゆっくりと地面に伏せられた
エネルギーの節約を狙って一撃必中を心がけたがレッドラインに突入してしまった、こうなったヴェスタロッサはもって数分しか動けない。
とりあえず運搬トレーラーだけでも破壊しなければと、引き金を引いたその瞬間

大きな爆音と同時にヴェスタロッサは宙を舞った。
いや、正確には吹っ飛ばされたのである。
それも、バズーカやミサイルランチャーをも受け止められるゴールドクラウンを背負った状態で……

その後地面を3度ほどバウンドしトレーラーから数十メートル程離れたところで、ヴェスタロッサは動かなくなった


……
………

「エッシッシ、流石ァ砲戦型のレール砲ディスね」
「おにーたま、すごーい」


ようやく砂煙が収まって来た頃、3機の羅甲がトレーラーの方へ姿を現した
一体の羅甲は自分がやったとアピールするかのように何度もガッツポーズを繰り返し
もう一体の羅甲はガッツポーズを繰り返す羅甲に拍手を送っていた

「おろろろろ、おみゃーらそげんとこつっ立っとらんでトレーラーを戦艦まで送るズラよ」
「あーい」
「了解なのディス」

3機の羅甲は牽引ワイヤーを取り出しトレーラーに接続させ、スカコラサッサとその場を後にした

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それから十分後、輸送船がたどり着いた
砂に埋もれたヴェスタロッサを搭載していた全機で力を合わせ回収。
ヴェスタロッサのコクピット内では完全にのびてているロエルを引き上げストレッチャーへ

輸送機が帰還し気絶しているロエルを見たアリオン局長は滝のように流れる涙を片手に新隊員を担いで医務室へ突っ走った



その後、ロエルが目覚めたのは2日後のPM10:30であった。
とりあえず目の前でおいおい泣き喚くアリオン局長を他所に、一人食堂へ向かった

「今日の朝食なんだろう……」

ロエルはスキップしつつ、今日も食堂へ向かうのであった。



次回があれば続く