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バカがロザリオ担いでやってくる

1話



〜バカがロザリオ担いでやって来た〜

とある月光に満ちた夜 アルバニア首都ティラナ

街中は光のイルミネーションで輝いていた夜
右には蒼く明るく、それは肌寒い夜風を温めるほど明るい光
左には歩く者の足を止めるほどの美しさを旋律として奏でるほどの輝きであった

だがその中でも人気は輝く光が街外でなおも輝きを増していた
その光は時間とともに消えゆく戦いの閃光であった

鳴りやまぬ銃声と鳴り響く爆発
倒れる者倒される者、どちらかが倒れるまで戦いの交響曲は終わらない

戦いの最中、敵の目から逃げ延びた6型はエレベーターを起動させ地下に潜った

アルバニア周辺の森林地帯には小規模だが地下補給施設が数か所ある
中では今、破損した2型と4型の応急処理の修理と補給作業が行われていた

「隊長、御無事でしたか!」

機体を降りた『隊長』と呼ばれたパイロットに二人のパイロットが詰め寄る

「あぁ…なんとかな……だが、現状はアムステラのほうが上手だ…」
「クソ、アムステラの野郎共め…」

補給班に機体を預けパイロット達は休憩室に向かう
それまでに現状はどうか?など結果を報告しあうのがパイロット同士の決まりであった
だが、休憩室についた彼らは休む事はできない、機体の補給が終わるまでに次の作戦を考えねばならない
アムステラの侵攻は誰も待ってくれないのだ

「どうやら…ここに残ってるのは俺達3人みたいだな……」

休憩室に着くと隊長は一帯の地図をモニタに広げた
そこには今も侵攻してくるアムステラのラコウタイプの数も表示していた
この森林地帯は山岳地帯並に地形の高差があり3型の身長分の高さの崖も多く存在する、その中でアムステラの侵攻経路は二つ。
一つは崖と崖の間を通りそのまま直進するコース もう一つは崖の上から狙撃しながら進む遠回りのコース

「しかし、これからどうしますか…15機あった我々はもう3機しか残っていない。それでいて連中は8機…どうみても勝ち目はありませんよ!」
「前線にいる5機のガードタイプラコウだけでも厄介なのに、遠距離から3機のスナイパータイプラコウで狙撃される…どうすればいいだ…」

部下達は不安でいっぱいだった
目の前で多くの友を失い、それでこの戦況…3人で何ができる?
圧倒的なアムステラの戦力差、このままでは全滅し首都ティラナがアムステラに占領されてしまう

「ふぅむ……」

隊長は考えた
直進コースには多くのトラップが存在するが相手は重装甲で編成されており足止め程度にしかならない
それに、崖の上のコースは狙撃型で編成されているためこちらの射程距離になる前に狙撃されてしまう

隊長は悩んだ
隊長の乗っていた6型は破損が少ないが、部下の乗っていた4型は右腕を破損し、
武器もバズーカ、アサルトライフル、ショットガンが1丁ずつに6型と4型に高周波ナイフ。
照明弾が5つ…そして、一番威力のある2型の戦車砲も右片方しか使えない状態

これらの武装で何ができる
ステルスユニットがあれば話は別だがあいにくそんな高性能なユニットはあらず
しかも夜間での長期戦、体力的にはこれ以上の戦いは無理だ
やるなら次で最後…

一瞬、一瞬でもレーダーが使えなくなれば……

「なぁ、お前達…俺に力を貸してくれないか?」

隊長はニヤリと笑みを浮かべた



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数分後

重装型羅甲の編隊は足止めをされど直進し首都ティラナを遠目で確認できるほどの距離まで進行して来た

『どうやら、地球の連中はもうでてこないみたいだな』
「狙撃班、油断するな。その油断を狙ってトラップ、また強襲される可能性もある」
『分かっているがお前らがノロマだから進むの待ってるこっちは退屈なんだよ』

狙撃部隊は重装型羅甲の編隊の後から進むため
少し進んでは止まり進んでは止まる行為に苛立っていた

「それは申し訳ないと思っている、だがこれも連中の作戦かもしれないからな」
『作戦ももうないだろ?連中は出てこ……っとお前らのほうに二機だ、それも真正面』

編隊の前に待ち構えてたのように片方の戦車砲潰れた機体と片腕の無い機体が立ちはだかり、
何を血迷ったのか不発弾を投げつけて来た。
それを見たアムステラのパイロット達は、なにを血迷ったのかと
数は二機、それも不発弾を投げつける事から、どう考えても圧倒的にこちらが有利なのだ
アムステラのパイロット達は確信した、我々の勝利だと

そして、一歩進もうとした瞬間、その時である

足元から光が破裂したかのように地帯全体を一気に照らし出したではないか

『こちら狙撃班!この光はなんなんだ!』
『な、なんだ!メ、メインカメラとレーダーが使えない!』
『一体どうなッう、うあぁぁぁぁ!!』

一瞬の出来事だった
正直何が起きたのかアムステラのパイロット達は分らなかった

唯一分かった事は、狙撃型羅甲が何者かに全滅させられた事だけだった
いままで夜間を戦ってきた兵士たちの目にメインカメラから眩い光は視覚を完全に奪った
その中での一方的な猛攻

視覚は光に奪われ聴覚は急な耳鳴りと通信が切れる砂嵐に奪われパイロット達は「自分がそこにいる」という触覚さえ奪われた
そこから突発的な不安や恐怖による混乱が一度に込み上がり……

パイロット達はパニックシンドロームを引き起こしたのだ

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照明弾が閃光弾の如く照らし出す様をみて2型、4型のパイロットは唖然としていた

「すげぇ…流石隊長だぜ……」
「あぁ、しかも長時間照らす照明弾だ。ちょっとの時間じゃ消えないしな…」

照明弾は遠くから長時間戦場を照らすために使うもの
それを敵の零距離から照らす事により下手なトラップよりも長時間足止めを可能とさせたのである

『お前達、何をやっている!こっちは片付いたお前達も撃って撃って撃ちまくれ!』
「りょ、了解!!」

隊長の通信で目が覚めたのか唖然としていた二人は左右の崖に向かって狙いを定めた


隊長の作戦はこうだ首都ティラナに近づくにつれて崖の間が狭まっていく、その一番狭まった地形で照明弾を使用。
動けなくなったところで隊長が狙撃班を強襲し破壊またはカメラ、レーダーを使えなくさせる。
それが終わり次第、バスーカと戦車砲を崖に使用し崖を崩しそのまま生き埋めにするという作戦だった

二人は言われた通り崖を崩した。
照明弾を直に受けた重装甲タイプの羅甲は身動きもできずそのまま大地に埋まった

「どうやら、うまくいったようだな」

狙撃班を仕留めた隊長は笑みを浮かべて戻って来た

「はい、これも隊長のお陰です! まさか、照明弾にこのような使い方があったとは…」
「隊長がいなければ俺達だけじゃなく首都も大変なことになっていた…ありがとうございます、隊長!」

隊長のおかげで救われた 隊長のおかげで助かった
隊長がいなかったらこの国はアムステラに占領されていただろうっと二人は喜びでいっぱいいっぱいであった

その瞬間であった

その一瞬スパァンと言う狙撃音が鳴りいた



それまで目の前に立っていた6型はゆっくりと地面に伏せられた

6型の背部に大きな穴が空き、さらにそれはコクピットをも貫通していた

「「た、隊長……」」

二人は不意に声を合わせた
それは失望感でも罪悪感でもなく…目の前で隊長を撃たれたという事実であった

二人の目の前には頭部のない狙撃型羅甲がこちらを目掛けて構えていた

バズーカを捨て高周波ナイフに持ち替えた4型の右足を撃ちぬき
2型の戦車砲を左サイドに避けハンドガンで戦車砲を破壊されその爆風で地面に叩き付けられた


「チッ…手古摺らせやがって…」

二体の機動兵器は失神したのか倒れたままピクリとも動かない

「こんな連中にここまでされるとは…まぁいいこれでもう邪魔する奴がいなくなった…今のうちに連絡を」

パイロットは緊急通信を起動させた
先程メインカメラ、レーダーと一緒に通信機器までダメージを受け
駐衛している地上戦艦に増援を申請し一気に首都を占領するという考えだった

「…こちら、侵攻部隊。応答してくれ、こちら侵攻部隊。」

しかし、幾度も幾度も問いかけるもその返答は帰ってこなかった

「チッ、故障か…しょうがない、一度帰還するか……」

狙撃型羅甲が帰路を進もうと反転したその時である


チリン っと遠くの方から何かの音が鳴った

アムステラのパイロットは即座に銃を構えた
レーダーとメインカメラは死んでいる、それに三体の機動兵器はピクリとも動いていない
今まで気が立っていたのか錯覚だったのかそれともまだ伏兵がいるのか

「冷静になれ…今の今まであの三機しか出てきてない…大丈夫だ、俺は大丈夫だ」

自分に暗示をかけた
下手に考えると神経を削られどんな状況も対応できない、冷静を保てば急に現れようとも対処できる
狙撃用ライフルをリロードし、いついかなる時でも対応できるように態勢を整えた

また チリン と音が鳴った

狙撃型羅甲は足を止めた…
今の音はどこから鳴ったのか右か左か後ろか、まさか崩れた崖の上か…それとも前か
崩れたとはいえ、暗い崖と崖の間 さっきまでは戦いの轟音で分からなかったがここは自分一人だけ、鳴るのは足音だけ…

その後 チリン という音は響きを増し、進むにつれて音の数も増え、さらに近づいてくる

この チリン という音に耐えられなくなったアムステラのパイロットはいつしか銃を捨て走り出していた
それは不安、恐怖などという次元ではなく「ここから出たい」ただその一心で狙撃型羅甲を走らせた

そして、目の前に微かな光が道を照らし始めた


「出口…出口だ! 俺は生きている!俺は死んでない!!」

一心不乱に狙撃型羅甲を走らせた
そして目の前に月光が広がる…だが目の前に広がる風景は…

まさに地獄であった

破壊された地上戦艦、焼け野原になった前線基地

そして、黄金のロザリオを担いだ1体の機動兵器

「ハロー そして」

その刹那

「グッバイ」

担いでいた黄金のロザリオで狙撃型羅甲は両断され、今まで加速していた勢いで上下共々吹っ飛ばされ爆発

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数分後

焼け野原にただ1体残った機動兵器は動き出した
左腕に持った黄金のロザリオを担ぎ、首都ティラナへ歩き出した

「まーこんなもんでしょ。 ロエル=セレナーデ少尉、ヴェスタロッサ。任務完了っと」


ロエル=セレナーデ、それがこの物語の軸になる者の名前だった
しかし、そこには大きな問題があった……


「…あれ、どっちが右でどっちが左だっけ? ちゅか首都どこだっけ?」


それは、取り返しのつかないほどの御馬鹿であった……

果たして、首都ティラナへ帰る事が出来るのか。


続く…